昨年から、全国的に爆発的なブームになった「街コン」。一つの街の複数の飲食店を会場に使い、街全体を合コン会場にするこのイベントは注目を集め、特に地方では地域活性化の起爆剤、町おこしの有力な方法として開催される事例が相次いでいる。

 しかし、2012年も終わりに近づき、一時の勢いは失われ、主催者の中には「もう街コンは終わった」と公言してはばからない者も出てくるようになってきた。

 街コンが急速に勢いを失っている最大の理由は、イベントの乱立だ。ちょっとした小遣い稼ぎと考える素人から、町おこし関連の団体、果てはお見合いパーティーを業務にしてきたような企業までが参入し、週末になれば全国各地で街コンが開催されているような状況だ。中には、同じ街で二つの街コンが競合してしまうこともある。

 そもそも、街コンが開催されてメリットが大きいのは、会場となる飲食店だ。日中、あるいは開店早々の客が少ない時間に店を街コンの会場として提供すれば、幾分か儲けを増やすことができるからだ。

しかし、地域の中でも会場として使える飲食店はほんの一部。それ以外の飲食店のメリットは、まったくといってよいほどない。また、街コン参加者は、客筋としてもよいものではない。

「男性の側が、思ったより女のコと話ができないといった理由で、主催者にケンカ腰でクレームを入れてくるのは日常茶飯事です」(ある主催者)

 そうした理由から、都内の一部地域では、商店街が「街コン禁止」を打ち出しているところもあるという。さらに、こんな指摘も。

「いくらブームになっても、街コンに参加する人数には限りがあります。

早い話が、女はかわいい子から、男はイケメンから売れていくわけじゃないですか。すると、結果的にイベントは次第に残り物だけ……という状態になりますよね。今じゃ、いつまで立っても出会えない常連ばっかりになっている地域もありますよ」(同)


■減る一方の収益をめぐって醜い争いも

 さらに、どんどんと減っていくパイをめぐり、街コンを運営する人々の中でも血で血を洗う争いが起きている。

 現在、街コンの情報はいくつかのポータルサイトで掲載されている。多くのサイトは掲載自体は無料だが、それとは別に、主催者に有料の参加者申し込みフォームなどのシステムを貸し出して収益を上げている。この、いくつかのポータルサイトが生き残りをめぐって争っているのだ。

 互いに「ウチが最も多くの開催情報を掲載している」というアピールを可能にするために「ウチで掲載するならば、アッチには掲載しないでくれ」という要求が今では当たり前だ。街コンポータルサイトの大手とされるある企業では、ブームに乗って大幅に社員数を増加させたそうだが、やがて退潮期が来ることを予測できなかったのだろうか。

 また、主催者も減少する参加者を確保するのに必死だ。良心的な主催者は、男女比を同数にするために、どちらかの性別(大抵は男性)の数が上回った場合には、参加を断るところもある。だが、多くの主催者は男女比がアンバランスでも、まったくケアしない。結果、男性の数が圧倒的に多くなってしまい、まったく女性と話せないままにイベントが終わってしまうことも。

結果、話せない男性はイライラが募るし、雰囲気も悪くなり、リピーターも失われることになる。

 末期的状況を迎えつつある街コン。その打開策は何もない。結局は、早期に参入した主催者、あるいは参加者のみがトクをしたということだ。もはや、残っているのはカスばかり。ブームだからと参加してみても、おいしい思いをできる可能性はほとんどない。

合掌。
(取材・文=三途川昇天)