アンジャッシュの渡部建が、下町の安くておいしい、でも意外と知られていない居酒屋を飲み歩くグルメバラエティ『ハシゴマン』(TOKYO MX/毎週木曜23:30~)。2011年10月にスタートした同番組がいよいよDVDとなり、11月21日に2巻同時リリースされる。
番組は、「ハシゴマン」と化した渡部が、芸人の「ハシゴボーイ」と、女性ゲストの「ハシゴガール」を引き連れ飲み屋をハシゴし、自由なペースで飲み、煮込みなどをつつき、会話をする。
それだけなのに、次第にたがが外れる出演者や、ひとクセある大将、突然話しかけてくるお客さん……それらが複合的に存在する空間が至極魅力的に感じられ、テレビの前で「今すぐ飲みたい!」とウズウズしてくることだろう。
いまやグルメ芸人としてもおなじみの渡部氏に、番組の魅力や、ブレイク中の相方について聞いた。
――自身のブログ「アンジャッシュ渡部建のわたべ歩き」で居酒屋を紹介されていますが、『ハシゴマン』はそれのテレビ版という感じでしょうか?
渡部建(以下、渡部) そうですね。休みの日に、町を決めてから、4~5軒下町の飲み屋に行くことがよくあって。それを番組にしちゃおうかって感じで始まりました。安くておいしい飲み屋を紹介するカタログ的番組であるのと、さらにほかでは見られないユルい展開や、出演者の酔っ払い具合なんかを楽しんでもらえればと思います。
――決まりごとは「1軒につき酒1杯と、おつまみ1品のみ注文」。とてもルールの少ない番組ですね。
渡部 最初は「女性ゲストがこれだけ飲んだら写真集が宣伝できる」とか、テレビっぽい企画も考えたんです。でも、それだと普通のバラエティになっちゃうし、空気感を楽しむ番組にしたかったのでやめました。それでも最初は「ただ飲むだけの番組が、面白いのだろうか?」っていう葛藤もあったんです。
――そんな自由な番組が、いよいよDVD化されますが。
渡部 DVD1本に9軒分の飲み屋情報が入ってますし、お店情報のブックレットも付いてくるので、東京の飲み屋事情を知りたい方にはおすすめです。
――1、2巻に収録された6エリア中、町屋、北千住、鐘ヶ淵の3エリアにオアシズ・大久保(佳代子)さんがハシゴレディとして出演されてますね。
渡部 大久保さんは本当に酔っ払ってくれるし、この番組って男芸人が出ても、意外とセクハラみたいなことをしないんですけど、大久保さんはゲストのカワイコちゃんに、ぐいぐいエロく責めてくれるんです。男性視聴者の代わりをやってくれるという意味では助かってますね。ただあの人は、すっごい高いピンマイクをトイレに落として逆ギレしたりするし、もうめちゃくちゃでタチが悪いです。
――番組最多出演はドランクドラゴン・鈴木拓さんのようですが、今回のDVDには登場されてませんね。
渡部 もしかしたら、3巻以降に出てくるかもしれないですね。ただ、世間にあまりバレてないと思うんですけど、あいつって人力舎の中でも群を抜いて性格が悪いんですよ。番組では、そのへんがお酒の力で出ちゃってるので、DVDには入らないかもしれないですね(笑)。まあ、お酒の力でその人の意地の悪さや、逆に人のよさが出るところも『ハシゴマン』の魅力だと思うんですが。
――お酒の力といえば、ハシゴガールの緑川静香さんも、身の上話をしたあげく泣き出してましたね。
渡部 ほかにも、塚っちゃん(ドランクドラゴン・塚地武雅)が記憶をなくして、ハシゴガールに担がれて家に帰ったこともありますし、それに飯塚悟志(東京03)はいつもひどいですね。オンエアにはのってないですけど、とあるゲストとイチャイチャしすぎて、オールカットになった回もありましたよ。
――番組では、渡部さんは飲んでもしっかりされてますが、プライベートではお酒で失敗したこともあるんですか?
渡部 ありますよ。前に、お酒の席で「食にあふれ返ってる日本だけど、食べ物を残すのはよくない!」みたいなことで友達と口論になったんです。でもその後記憶がなくなって、家に帰ったらポケットにパンパンに唐揚げが入ってたことがありましたね。あとは、知らないおじさんのループタイとベストを着て帰ってきたり(笑)。一緒だった後輩に聞いたら、横にいたおっちゃんと「服を交換しよう!」ってなったみたいで。だから、僕の革ジャンやハットもなくなってたんですよ。
――(笑)。プライベートでは、誰と飲むことが多いですか?
渡部 人力舎の後輩を3人くらい連れていく感じですね。芸能界の友達は、芸人ばっかりなので。
――堀江貴文さんとも仲が良かったと聞きましたが。
渡部 昔は、堀江さんがしょっちゅうパーティーをやってたんで、そこに参加したり、おうちに行ったり、何度か遊んだことはあります。堀江さんは酔っ払うと穏やかになって、なんでも「いいよ」って言ってましたね。
――ところで、最近は『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)などに出演中ですが、芸能界での自分の立ち位置って、どこだと思いますか?
渡部 “便利屋”じゃないですかねえ。役割を与えられて、制作意図をくみ取りながら、役を一生懸命まっとうする。悪く言うと、“テレビ制作の犬”ですよね。月曜日に「僕、烏龍茶が大好きでねえ」って言ってたのに、火曜日には「僕、烏龍茶が苦手なんですよ」って言ってますから。それをやり始めてから仕事も増えましたしね。ただ、相方もあんな感じでテレビに出るようになっちゃったので、どうやら最近、世間ではアンジャッシュがコントをしてるイメージがないみたいで。なので、ネタ番組にいっぱい出られたらうれしいですけどね。
――相方の児嶋一哉さんのブレイクをどう見てますか?
渡部 いや~、彼の本質を世間に浸透するくらいまで知ってもらえたのは、ありがたいですよ。ホントに周りの芸人さんのおかげだなって思いますね。
――仕事以外で、児嶋さんとしゃべることはあるんですか?
渡部 遊びにも絶対行かないですし、楽屋でも全然しゃべらないですね。でも、『ハシゴマン』の1周年記念企画で、19年ぶりに2人で飲んだんです。考えてみたら、ネタ作り以外で2人で飲みに行ったのって、それが人生で2回目だったんですよ。
――ちなみに弊社では「サイゾーテレビ」というのをやってまして。そこでは渡部さんの事務所の後輩のキングオブコメディを前面に押し出してるんですけど。キンコメ・高橋(健一)さんのあの“ダメさ”も、児嶋さんみたいに世間に認知されてブレイクしないかなあ~なんて。
渡部 児嶋も高橋もダメではあるんですけど、高橋は生い立ちが良くないですからねえ。嫌いじゃないんですけど、人間的に卑しいじゃないですか。だから、残念ながら愛すべきポイントがないんですよ(笑)。逆に、高橋の全部が世間にバレたら、テレビに出れないんじゃないんですかねえ。あいつ見てると、親の教育や愛情って大事だなって思いますよ。
――なんだか湿っぽい話になったので、話を戻して、最後に『ハシゴマン』についてPRをお願いします!
渡部 とにかくお酒好きな方や、飲み屋情報に困ってる方、あと東京観光をする地方の方に、ぜひ買っていただきたいです。家でお酒を飲みながら、映像付きカタログだと思ってラクに見ていただけたら一番うれしいですね。沿線やエリアごとに収録されてるので、これ通りに店を巡っていただくのも楽しいと思いますよ。
(取材・文=林タモツ)