「いったい何が理由なのか?」

 老舗アダルト系出版社・コアマガジンが原因不明の家宅捜索を受けた。背景にはやはり、今国会での審議が予定されている児童ポルノ法改正案が密接に絡んでいるのではないかとの説が浮上している。

 今回、家宅捜索の目的が判然としない理由は、捜索の対象となったのが「ニャン2倶楽部」と「コミックメガストア」だったこと。前者は素人投稿系雑誌、後者はエロ漫画雑誌。当局は容疑をワイセツ図画頒布としているが、実写とエロ漫画の捜査が一度に行われたために、具体的にどの描写、あるいは消しが問題だったのかをわからなくしている。

 結局コアマガジンは両誌の休刊を発表したが、そうした中で警察当局の“本命”は「コミックメガストア」であり、「ニャン2倶楽部」はオマケだったという話も浮上している。

 出版業界の消息筋は語る。

「昨年、コアマガジンでは『PETA ぺたっ!』というタイトルのロリ漫画専門ムックを3号まで発行しています。このムックには、当局が気にするとされる“消す意思を感じられない”作品、あるいはほぼ修正がないような漫画も掲載されていたんです」

 コアマガジンは昨年、関連会社が常習賭博容疑で捜索された件をはじめ、過去には暴走族の暴走行為を煽ったとして家宅捜索を受けたこともあったりと、警察当局からは厳しい目を向けられている側面がある。また、ロリ関連では2006年に、出版社とし初めて児童ポルノを製造した容疑で家宅捜索を受け、編集長が逮捕される事件も起こっている。

 そうした「実績」もあるため、警察当局は同社に対して、見せしめ的な行動に出たのではないかと考えられている。

 それでは、なぜ警察はこの時期に動きだしたのか。別の消息筋は、まもなく法案審議が始まる予定の児童ポルノ法改正問題が原因だと話す。

「与党の動きと連動しているかは分からないが、警察当局としては、ひどいロリ漫画が氾濫しているという状況をアピールすると共に、警察の権限を拡大することを狙っているフシもあります。

コアマガジンは、その見せしめとして利用されたのでしょう。“この出版社には、何をやっても構わない”といったスタンスでね」

 多くのアダルト系出版社では、今回の事件を対岸の火事とは見ていない。「次はウチも狙われるのではないか」と、戦々恐々としている出版社もある。これまで一部のアダルト系出版社では「18禁の枠内ならば、すべて架空の表現なので問題ない」という意識が蔓延してきた。今回の事件は、警察当局は刑法175条という伝家の宝刀を握っていて、たとえ18禁マークがついていても安穏とはしていられないことを、あらためて明らかにした。警察当局が逮捕まで含めた強硬な措置に出るかは分からないが、今後、さらなる締め付けが起こりうる可能性は十分にある。
(取材・文=昼間たかし)

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