
2020年の東京オリンピックに向けて、景気のよい話が繰り広げられている。特に、晴海から豊洲・有明といった湾岸地域は、東京オリンピック開催によってさらなる開発が進むと予測されている。いまだ反対の声もあるものの、移転が決定している築地市場の跡地も、どう再開発されるか注目度は高い。
これから起こるであろう開発ラッシュの中で、最も期待値が高まっているのは、新たな交通網の整備である。
そうした中で、選手村などが設けられる中央区が独自に計画しているのが、路面電車の復活である。中央区では、晴海をはじめとした湾岸地域の開発で人口が大幅に増加中。しかし、区内で最も栄える有楽町・銀座界隈と晴海あたりを結ぶ交通手段は、都営バスに頼っているのが現状である。かつて晴海通りには都電8番系統が築地まで通っていたのだが、昭和42(1967)年に廃止されてしまった。中央区の計画は、それをさらに海側に延ばし、次世代型路面電車(LRT)を走らせようとするものだ。
中央区では、平成28(2016)年までに、まずバス高速輸送システム(BRT)の導入を計画している。ここで計画されているBRTとは、2両の車体を連結した大型のバスを専用レーンで運行するというもの。現状、晴海通りは常に渋滞している区間なので、平成27(2017)年に開通予定の環状2号線を通ることになりそうだ。将来的にLRTを実現するかはまだ不透明だが、BRTだけであれば、かかる費用は18億円程度。財力の豊かな中央区では、今年中に事業者を選定する方針と、かなり本気度は高い。将来的には、東京駅やお台場への延伸も検討されているそうで、湾岸地域の交通地図は大きく変わることになりそうだ。