25日から始まるプロ野球・日本シリーズ。今年は阪神、ソフトバンクと西日本の球団同士の対戦ということもあり、とかく関東方面での盛り上がりはイマイチ。

だが現場では、中継の主導権をめぐって「在京キー局 vs 在阪準キー局」が壮絶なバトルを繰り広げている。

 今年の日本シリーズは無事、7戦とも全国ネットで地上波でのテレビ中継が決まっている。1戦目がテレ朝系(ABCテレビ)、2戦目がTBS系(毎日放送)、3戦目がテレ朝系KBCテレビ)、4戦目がフジテレビ系テレビ西日本)、5戦目がTBS系(RKB毎日放送)、6戦目がフジテレビ系(関西テレビ)、7戦目が日本テレビ系(読売テレビ)。それぞれ、レギュラーシーズン中の中継実績なども考慮して、最終的にこの順番になったという。

 野球中継といえば近年、巨人戦を中心に視聴率が低下。いまや“優良ソフト”とはいえない状況だが、今年の場合は「球団がある両地域での野球熱が高いのと、中継が根付いているのが大きい。
さらに、三井住友銀行が冠スポンサーに入ったこともあり、すんなりと中継が決まった」(テレビ局関係者)。だが、安心はできない。次に勃発するのが、系列局同士の「主導権争い」だ。

「今年の場合、ややこしいのは、キー局に唯一、物言いができる準キー局が担当する球団(阪神)が進出したこと。これにより、1、2、6、7戦は『うちが実況、解説の主導権を握る』と、当然ながら言ってきました。だからといって阪神一辺倒で実況されると、キー局に視聴者から反発が来る。
かといって、一辺倒でやらないと、準キー局に熱烈な阪神ファンから苦情が入る。『中立で中継したいキー局 vs 阪神応援団の準キー局』という図式ができて、大モメになっているんです。近年は、日本シリーズやオールスターはキー局が代表して放映権を購入する形になったため、今年の甲子園のオールスターゲームはテレ朝の陣営が中心に中継した。それもあって、ABC側は今まで以上に『俺たちにやらせろ!』と、テレ朝側に迫ったそうです。それと、もう一つ争点になるのは中継車のチーフディレクター。これも、どの映像をいつ映すかの権限を持っていて、いかようにも中継の雰囲気を変えられる。
九州の局では『たとえキー局から中継番組の出演者が送り込まれても、中継車ディレクターだけは譲れない!』と、頑なにキー局の侵食を拒否するところも。それだけ今回の日本シリーズは、両地域のテレビ局にとっては一大イベントなんですよ」(在阪テレビ局編成マン)

 違った視点で野球中継を見るのもまた、マニアな楽しみ方だ。