先日、オリコンの「第11回 好きな女性アナウンサーランキング」が発表され、日テレの水卜麻美アナが堂々の二冠を達成した。そこで今月の「女子アナ名鑑」では、このランキングから女子アナたちの人気の傾向について考察してみたい。
まず、上位にランキングされた女子アナから思い浮かぶ言葉は「規格外」ということ。前年に引き続いてトップに輝いた水卜アナは、飲食レポートで完食してしまう天真爛漫すぎるキャラクターがブレークのキッカケとなった。その後も、ドッキリ企画でけなげな一面を見せたり、いつもいじられている有吉弘行から優しい言葉をかけられて泣きだすなど、およそアナウンサーらしからぬ言動が視聴者からの好感度を集めている。
そんな水卜アナと同様というか、それ以上にアナウンサーらしからぬアナウンサーであるのが3位にランクインしたNHKの有働由美子アナだろう。有働アナは入社24年目を迎えた大ベテランであり、しかもお堅い印象のあるNHKのアナウンサー。この年次の女子アナは番組でも落ち着いた雰囲気を醸し出し、スキのない貫禄を感じさせる存在であることは当たり前なのだ。しかし、彼女は担当する『あさイチ』のオープニングで、前番組の連続ドラマ『マッサン』を見て涙を流したりする。本来は担当する番組内のニュースであっても、アナウンサーは感情をあらわにすることを許されないものだが、彼女に見られるこの気さくな言動は視聴者の共感を呼んで、おおむね好意的に受け取られているから驚きだ。
そして、初登場6位にランクインしたテレ東・狩野恵里アナもまた、担当する『モヤモヤさまぁ~ず2』での破天荒すぎるキャラクターが人気の要因となっている。狩野アナはあけすけでサバサバした性格ということもあり、前任者であるテレ東・大江麻理子アナよりも一歩前に出るタイプ。特に、番組でたびたび行われるさまぁ~ずとの対決では本気モードになり、勝つと「●れんしょ~う(連勝)」とドヤ顔で勝ち誇るのが定番となっているが、それもサブとしてのアナウンサーの役割から逸脱したものだ。ほかにも、お風呂シーンではプロレスラーの故・橋本真也さんの衣装にそっくりの全身を覆う水着を身にまとい、さまぁ~ずと一緒に入浴してしまう。
オリコンのランキングで入賞することは、単に男性ファンの票を獲得するだけでは難しい。老若男女、すべてにおいてバランスよく好感度を与えていることが必要となる。その点を踏まえると、これまでの“女子アナ像”の理想といえば、「清楚」や「知的」という“完璧さ”が求められてきたが、昨今は視聴者がより身近に共感できる素養こそ、女子アナにとって必要な素質に変わってきているのだ。
とはいえ、ランキングには「規格外」ではない女子アナの名前も見られる。2位のカトパンこと加藤綾子アナは、同ランキングで殿堂入り(5回連続1位)になった高島彩アナのように、“アナドル性”とアナウンサーとしての実力を兼ね備えた逸材。今年は水卜アナの台頭や体調不良で人気低迷がささやかれたが、ランキングの結果でやはり王道のアナドルは強いということを証明してくれた。また、テレ東・大江アナはこれまでに述べた女子アナとは一線を画して、「控えめ」かつ「清楚」という昔ながらの女子アナ像を体現する存在。注目されやすいバラエティ番組が減ったり、結婚をしていながらも4位に食い込み、健在ぶりをアピールしてくれた。
このランキング結果を見ると、現在は実に多種多様な女性アナウンサーが活躍していることが分かる。今年は入社1年目で冠番組の『ユミパン』とスポーツ番組MCを担当したフジ・永島優美アナや、同じく入社1年目で伝統のある『熱闘甲子園』のキャスターに抜擢されたテレ朝・山本雪乃アナなど、新人の台頭も目覚しかった。来年は、さらなる女子アナたちの人気レースが白熱することは間違いない!
(文=百園雷太)