名古屋市昭和区のアパートで無職の女性を殺害した疑いで名古屋大の女子学生(19)が逮捕された事件で、5日発売の「週刊新潮」(新潮社)が女子学生の実名と顔写真を掲載した。

 女子学生は昨年12月7日、アパートの自室で顔見知りだった森外茂子さん(77)の頭を斧で数回殴り、マフラーで首を締めて殺害した疑いが持たれている。

愛知県警の取り調べに女子学生は「相手は女性でなくてもよかった」と供述。女子学生のものと見られるTwitterには事件当日、「ついにやった」との投稿があり、取り調べでは人を殺した達成感を口にしているという。

 同Twitterにはこのほか「硫酸タリウムの半数致死量は1グラム(成人男性)だろ?」という書き込みや、2008年に東京・秋葉原で起きた無差別連続殺傷事件の加藤智大被告の名を挙げ「なんとなく人間らしさがありますよね」と述べている。

 衝撃的な事件を受け、ネット上では女子学生の顔写真や実名が瞬く間に拡散したが、一方で女子学生の地元である愛知県弁護士会は「少年本人とわかる報道を禁じた少年法61条に明らかに違反する。厳重に抗議する」「少年の社会との関係を断ち切り、更生を妨げかねない。メディアによる私的制裁だ」という声明を出している。


 「新潮」編集部は「事件の残虐性と重大性に鑑み、19歳という加害者の年齢も加味して総合的に判断した上で、顔写真と実名を報道することにした」と説明しているが……。

 「ジャーナリズムではなく、売り上げ増を狙ったものですよ」とは出版関係者。

 ライバルの「週刊文春」(文藝春秋)が雑誌業界で“一人勝ち”なのを尻目に、「新潮」はここ数年、売り上げが落ち込んでおり「新潮社の中でも、大赤字媒体で有名。取材にかかる経費も、以前に比べて切りづらくなったそうだ。なかには『5年以内に潰れる』という人もいるほど」(関係者)という。

 今回の実名報道も、ジャーナリズムよりも、話題性による売り上げアップを狙った部分が大きいという。
とはいえ、逮捕された女子学生は近く精神鑑定を行う見込み。

「それで異常が認められれば、犯罪そのもののトーンが変わる。新潮が批判を受けることは免れない」(週刊誌記者)

 新潮が優先したのは、“社会的利益”よりも“会社的利益”だったようだ。