韓国が60年以上も不法占拠を続けている日本固有の領土、竹島(島根県、韓国名・独島)について、韓国の街中で挑発が目立っている。日韓関係の冷え込みから日本人観光客は激減しているが、官民を挙げて、これ見よがしに「独島」と宣伝する行為は、ただでさえ少ない日本人観光客の出足にトドメを刺すことになりそうだ。



 観光客への「独島」洗脳は、空港に到着してすぐに始まる。仁川空港からソウル駅を43分で結ぶ空港鉄道のモニターには、竹島の領有権を主張するため、歴史的経緯を説明する映像が映し出される。その上で「日本が独島を略奪したのは、日露戦争をきっかけに朝鮮半島の侵略の足掛かりにするためだ」という被害妄想に近い歴史観を主張する動画が、繰り返し流されている。

 動画は韓国外交部(外務省)が作成し、ネットで公開している5分ほどのもの。空港鉄道内で流す動画は英語版で、明らかに外国人がターゲットだ。

 問題はその内容。
そもそも日本政府が竹島を日本領土と閣議決定したのは、1905(明治38)年1月。前年9月に、鳥取県出身の実業家がアシカ漁の開発を目的に貸下げ願いを政府に出したのがきっかけだった。「朝鮮半島への侵略への足掛かり」という肝の部分が間違っている上、ほとんどが日本批判の内容だ。日本人の利用客も少なくない、列車内という公共の場で政治性の強いメッセージを流すとは、不愉快に思った観光客やビジネスマンも数知れない。

 韓国メディアによると、空港鉄道を運営する韓国鉄道公社(KORAIL)は、昨年3月にも韓国高速鉄道(KTX)内のモニターで、「独島洗脳」映像を終点に到着するまでに2回流していたことも判明。韓国人は幼稚園から大学受験までみっちりと領土教育を受けているのに、あえて列車内で流す意義はあるのだろうか……。


 また、外国人も多い博物館のミュージアムショップには独島ふせん、独島消しゴム、独島クラフトなど、独島グッズが目につく。骨董用品や土産物店が軒を連ねる観光地、仁寺洞には「Do you know Dokdo?」と描かれた店のシャッターが……。ここは「シュー・シャイン・マダム」と呼ばれるオバさんが、独島Tシャツを着て、外国人に独島の存在を知らせながら靴を磨いてくれるという。取材当日はたまたま休みだったが、こうした“独島アピール”のおかげで、日本人の足が遠のくばかりではないだろうか。一体、どういうメリットがあるのか、謎だ。
(文=金正太郎)