お笑い芸人の金谷ヒデユキが、田中じゅうこう監督の『道しるべ』で映画初主演を果たしたことが話題となっている。
金谷ヒデユキは1990年代にギターに毒気のある替え歌を乗せた芸風でブレーク。
ボキャブラ終了後は、一時芸人を引退しミュージシャン活動に専念していた。その後、声優業を始めアニメやゲームに声の出演を行っている。さらに2008年からは芸人活動も再開していた。
「金谷さんはきっちりと作り込んだネタに定評がありました。ただ、番組内でもイジられていた通り、アドリブに極端に弱い。フリートークを主体として、瞬間的な状況判断と切り返しが求められる、ボキャブラ以降のバラエティで生き残ることは難しかったように思います。もともと自身で作詞作曲を手がけたCDも出していましたし、ミュージシャン志向も強かったのでしょう」(放送作家)
『ボキャブラ天国』には多くの若手芸人が出演していた。爆笑問題、ネプチューン、海砂利水魚(現・くりぃむしちゅ~)、アンジャッシュなど現在もテレビで活躍する芸人がいる一方で、ひっそりと業界から消えた者も多い。ボキャブラ芸人たちのその後の行方は大きく3つに分かれる。
1つ目は、芸能界の異業種へのシフトだ。江頭2:50の相方として知られた男同志のコンタキンテや、底抜けAIR-LINEの村島リョウは俳優に転身している。
2つ目は、芸人は引退するも、裏方に回り業界に残る場合がある。フォークダンスDE成子坂の桶田敬太郎や、MANZAI-Cの森光司などは放送作家に転身している。サービスパンダの飯田ヒロシはレコード会社取締役、吉岡ヤスタカは芸能マネージャーとして活躍している。
3つ目は、芸人を廃業し一般人となるパターンである。現在はピン芸人として活躍する元U-turn土田晃之の相方であった対馬盛浩は引退しサラリーマンに転職、MANZAI-Cの西野健一は地元に戻りペットショップを開いている。現役女子大生芸人として知られたアンラッキー後藤は編集者をしているといわれる。
「最近は過去のバラエティ番組のDVD-BOXが発売されることがありますが、ボキャブラ天国の場合は難しいでしょう。その理由としては、出演者の中に芸能界を引退して一般人となっている者も多く、現在、消息不明で連絡もつかない、といった事情があるようです」(同)
芸能界は厳しい競争世界であることが知らされるが、その中でマルチな活躍を続ける金谷ヒデユキには芸人としての底力があるのだろう。
(文=平田宏利)