恋人にスマホを見られて浮気がバレた、といった話はよく聞く。とはいえ、短時間の操作ではメールやLINE、写真アプリなどをチェックするくらいが限度だろう。それで証拠を押さえられたなら、油断しすぎ。頭が回るヤカラは、もっとちゃんと証拠を隠している。
以前、「カレログ」というアプリが話題を集め、販売中止になり、果てはウイルス認定された。アプリをインストールしたAndroid端末の居場所を遠隔地から確認できるのが特徴で、バッテリー残量も表示されるので、電池切れの言い訳もできない。月額課金の高いプランなら、通話記録やインストールしたアプリまでわかる鬼畜っぷりだった。現在、このアプリは姿を消したが、さらに凶悪なアプリが登場している。
「mSPY」(http://www.mspy.jp/)は、広範囲にわたって遠隔地の端末を監視するアプリだ。スマホ版もあり、Android/iPhoneに対応している。アプリをインストールされた端末を使うと、遠隔地のPCで何もかもが確認できる。通話した場所や時間、通話時間、相手の名前と通話回数。なんなら、浮気相手からの着信を拒否させることだってできる。SMS・メールの履歴は確認できるし、GPS機能で現在の居場所を特定するのも簡単だ。エリアを指定して、そこに立ち入ったらメールでアラートをもらうこともできる。ウェブサイトの閲覧履歴もブックマークも丸わかり。恥ずかしい検索キーワードまでバレバレだ。カレンダーも写真もビデオも筒抜けで、スカイプやiMessage にも対応。最近ではLINEもサポートし、メッセージのやりとりだけでなく、相手の名前や電話番号までわかる。
mSPYが入った端末を持たされたら、プライバシーは丸裸になること間違いなし。価格は基本版が1カ月29.99ドル(約3,700円)、フル機能版が1カ月69.99ドル(約8,700円)と少々お高いが、必要に迫られている人にとっては支払える価格。もはやスマホは肌身離さず、目を離すことさえできないのか?
ちょっと安心できるのが、「mSPY」のフル機能を利用するには、Androidならルート化、iPhoneなら脱獄している必要があるという点。どちらも、特殊なソフトを利用して、端末の管理者権限を取得するものだ。すると、キャリアやメーカーが禁止している使い方が可能になる。この操作は5~10分ではできないので、一般ユーザーなら仕込むのは難しいだろう。
ただし、恋人の家にスマホを1日忘れてしまった場合などは、仕込まれる可能性は否定できない。また、もっと恐ろしいのは、「mSPY」をプリインストールしたスマホが発売されたこと。mSPYの開発元が Nexus 5や iPhone 5S、HTC One、Galaxy S4などをルート化した上、「mSPY」をインストールして発売したのだ。価格は、端末の値段に200ドル(約2万5,000円)を上乗せした程度。さすがに端末メーカーが黙っていないのでは? と思ったら、現在は販売ページにアクセスできなくなっている。
目も当てられないのが、2015年5月に「mSPY」のデータがハッキングされ、先日お伝えした「ディープ・ウェブ」(記事参照)に流されたのだ。見知らぬうちに、ありとあらゆる恥ずかしい個人情報がパッケージで「ダーク・ウェブ」で拡散されるなど、想像しただけで恐ろしい。
今のところ、筆者の周囲で「mSPY」の被害に遭った人はいない。しかし、シチュエーションがそろえば、いつ仕込まれるかわからない。対策は、仕込まれないようにすること、ただそれだけ。自分の端末からは、目を離さないようにしておこう。
(文=柳谷智宣)
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