佐野研二郎氏の五輪エンブレム“盗作問題”「損害賠償」を恐れる利権構造の闇

佐野研二郎氏の五輪エンブレム“盗作問題”「損害賠償」を恐れる利権構造の闇

 五輪エンブレム盗作問題への批判が拡大する中、これに関わった広告代理店周辺の関係者からは「損害賠償」というNGワード4文字がささやかれ始めているという。

「もしこのデザインが使われなくなったら、数十億単位の損失が出る。一体それを誰が払うことになるのか、“損害賠償”という4文字を恐れるような話がチラホラ聞かれ始めてます」

 匿名を条件に語ったのは、大手企業のロゴマークも手掛けた50代の日本人デザイナー。自身はこのエンブレムにまったく関わっていないが、周辺事情は「いやでも耳に入ってくる」という。

「新国立競技場の問題はよくある箱モノ行政の典型だったけど、こっちは世間に知られていない利権の巣窟があって、必死にそれを守ろうとする動きがあります。この利権の中では“損害賠償”という4文字がNGワード。絶対に回避したいものです。いま各方面が必死の火消しに走っている感じ。大会組織委員会が白紙撤回できないのもそれが理由でしょう」

 実際、2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムの盗作問題については、これだけ世間から「変更しろ」との声が出ていても、組織委は使用の姿勢を堅持。ベルギーの劇場側から著作権侵害で使用差し止めを訴えられていることにも、劇場のロゴが商標登録されていない「法律論」を盾に「このような劇場側の態度は公共団体の振る舞いとしては受け入れがたい」と異例の非難声明を出した。

「この必死の抵抗は、損害賠償と利権構造にメスが入ることを怖れているんですよ。エンブレムの選定はもともと広告代理店の仕組んだ出来レースみたいなもんで、応募要項からして八百長。応募資格に組織委が指定した過去の7つのデザインコンペのうち2つの受賞者に限っており、多くの有力デザイナーを排除している。これは、内輪で商標の著作権ビジネスを展開するためで、審査員も佐野と親しい身内ばかりなのは、そのせい。そもそも佐野がアートディレクターなんていう肩書きを名乗っているのも、デザインより著作権での金儲けに特化したチーム運営に走ったからで、これに欠かせないのが大手企業とメディア。両者をつなぐ広告代理店を軸に利権の構図があって、関係者はみんなこれを守ろうと徹底抗戦です」

 聞けば、今回の問題に対する同業者の反応も、そのスタンスで分かれるという。

「利権の恩恵を授かりたいビジネス志向派は、絶対にこれを批判できないですからね」

 しかし、作者の佐野氏は別件でのデザインの盗作問題で、その信頼は地に堕ちている。サントリーのキャンペーンでは、「スタッフ教育が不十分だった」と自身がデザインしたものではなかったとする逃げ口上で一部の盗作を認める始末。

「それでもサントリーが8種類だけ取り下げる中途半端な対応をとったのは、大々的に損害賠償請求しなくてはならなくなる事態の回避で、広告代理店などが、必死に裏で手を回している」とデザイナー。

「今後もしサントリー製品の不買運動なんてことが起これば、さすがにこれだけで済まされなくなる。その場合は当然、佐野ひとりの問題ではなくなってくる」(同)

 一部デザインには、オリジナルのデザイナーから新たな訴訟が起こされるという話があるが「法廷に持ち込まれたら、実際にデザインした部下とやらの実名も明らかにしなくちゃならなくなると思う」とデザイナー。

「でも、その仕事の中身を明かせば、困るのは佐野ひとりじゃないですからね。金を積んで和解に持ち込んででも、そこはひた隠しにするのでは」(同)

 一説には、佐野氏の部下のひとりが知人に「俺はやってない。それなのにもし自分の名前が犯人みたいにして表になったら最悪だから、その前にこの泥船から抜けたい」と相談していたというウワサも聞かれるが、いずれにせよこのままでは組織委も叩かれる一方だろう。

 新国立競技場の問題では建築家の安藤忠雄氏が記者会見で大声を上げて責任逃れの弁明に終始したが、損害賠償がチラつくエンブレム問題では、なお逃げ出そうとする人が出てきそうだ。
(文=ジャーナリスト・片岡亮)

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