「いまだに信じられない……」

 東京・渋谷のNHK放送センター、アナウンス室までガサ入れされる事態に局内は騒然となったが、同室に出入りする情報番組ディレクターは、逮捕されたアナウンサー、塚本堅一容疑者とはときどき食事に行く仲でもあった。

「こういう事件で『あの人が、まさか!』ってよく言いますけど、まさにそう。

ドラッグをやるような人にはまったく思えなかったし、興味があるようにすら見えなかった」(同)

 塚本容疑者は10日、厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部に危険ドラッグ所持の医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕。東京都文京区の自宅マンションに2本の小瓶に入った液体の薬物を持っており、これについて「自分で使うものだった」と認めている。

 2003年入社で、京都、金沢、沖縄放送局を転々としたのち、昨年2月から渋谷のアナウンス室に配属。主に『ニュース シブ5時』のリポーターを担当していたが、9日から休暇を取っていた。

「明るくて、優しい。初出演のゲストの緊張をほぐすのも、彼の役目でした。もともと明治大学で演劇を学んでいて、宝塚とか歌舞伎にかなり詳しく、前にFMで真琴つばさと宝塚番組の司会をやったこともあるほど。猫とスイーツが好きで、自作のケーキを同僚に配ったり、“女子力”が高い。東京に来たのは昨年春開始の『シブ5時』に合わせたもので、一緒に昼食を取ったとき『いろんな番組をやりたい』とうれしそうに話していて、実際、野球の実況を任されたり、仕事は充実している感じでした。彼の口から薬物の話が出たことは一度もなかったです」(前出ディレクター)

 一方、上京してから容疑者が失恋してショックを受けていたとする局員もいる。

「塚本さん本人は、局内ではまったくそんな話はしていなかったんですが、彼の友人が偶然、私の元同級生で、局内の人物にフラれたという話を聞いたそうです。恋愛にかなり思い悩むタイプみたいで、深刻になっていたとか。
それが薬物に手を出した原因かどうかはわかりませんが……」(同)

 また、麻取に薬物所持の様子をキャッチされたのが、塚本容疑者の局内での友人関係にあるという衝撃のウワサもある。今回、麻取は容疑者の薬物入手ルート解明に動いており、購入先の摘発で所持が発覚したという流れではなかった。

 塚本容疑者自身が薬物をほかの人間に受け渡していた形跡も現時点では見当たらないことから、局内の家宅捜査は「仕事仲間からの密告だった」という説も浮上。NHK内では「ほかにも逮捕者が出るのではないか」という不安感も広がる。

 表向きは仕事も趣味も充実している朗らかなアナウンサーだが、一方で社会問題になっている危険ドラッグに手を出すという意外すぎる行動に、容疑者を知るNHK関係者の動揺は隠せない。
(文=片岡亮)

編集部おすすめ