中国の「城管」とは、路上で違法に営業している露天商や交通違反、駐車違反を取り締まる治安要員のこと。本来なら街の秩序維持に貢献することで市民から尊敬されるべき存在のはずだが、彼らはその権力をかさに着て、時には立場の弱い露天商などに対して横暴な振る舞いをするため、多くの人たちから嫌われ、軽蔑されている。



 そんな城管が、CAのような制服を着た若い女性たちと宴会を開いている写真が中国のウェブサイトに掲載された。彼らの後ろにはデカデカと「新年を迎え、深センの文明執行者に敬意を表する!」と書かれた垂れ幕が張られている。しかも、この女性たちの制服がやけにセクシーで、胸元は大きく開き、ウエスト部分は素肌モロ見えで、なんと巨乳ばかり。一方の城管は、ニヤけた顔つきで女性たちを見つめている。

 これを見た中国のネット民は大騒ぎ。これはうらやましい……ではなく、けしからんとばかりに、「城管の幹部が賄賂を受け取ってドンチャン騒ぎをしているぞ。
中紀委(中国共産党中央紀律検査委員会)は調査をするべきだ」などと書き込みをする人まで出てきた。

 しかし実はこれ、深セン市の隣にある東莞市のホテルの宴会場で撮影したイタズラ写真で、CAも城管もお金で雇われただけのニセモノだった。この宴を催したのは、広東省内に住む、ある企業家。この男性の話によると「日頃、汗水たらして深センの治安を守っている城管に対して敬意を表するために行ったもので、ほかの市の城管も、彼らを見習うべきだ」と語ったという。

 真相を知ったネット民の中には「こんな敬意の表し方は、城管のイメージを壊すものだ」と批判する者もいたが、多くは「これぞ、城管の本当の姿だ!」と評価。主催した企業家も“皮肉”としてやったことは明らかだろう。


 これに対して怒り心頭なのが、メンツ丸潰れとなった当の深セン市の城管当局。いくらイタズラ写真とはいえ許せないとばかりに、ネット犯罪を取り締まる深センのサイバー犯罪対策課に告発したという。

 しかしこの程度のイタズラ、笑ってやり過ごすのが大人の対応というもの。実は図星だったからこそ、ここまで騒ぎ立てたのかもしれない。
(文=佐久間賢三)