13日、J2第3節ファジアーノ岡山VS京都サンガF.C.が、岡山・シティライトスタジアムにて行われた。U-23日本代表候補・豊川雄太(岡山)の技ありループシュートや、後半ロスタイムの石櫃洋祐(京都)の劇的同点弾など、大いに盛り上がり、試合は2-2の引き分けに終わった。

しかし、この試合の終了後、一番注目を集めたのはゴールを決めた豊川でも石櫃でもなく、井上知大主審だった。

 2-1と岡山リードで迎えた後半36分。菅沼駿哉(京都)が赤嶺真吾(岡山)の足を後ろから引っかけ、倒したことで事件が起こった。赤嶺が立ち上がり、菅沼に詰め寄ると、菅沼もこれに応戦。井上主審は、イエローカードを取り出しながら2人の間に身体を入れて、これを制した。しかし、これだけでは収まらない。
白熱した元日本代表の岩政大樹(岡山)が菅沼に突如猛ダッシュで駆け寄り、それを菅沼が突き倒し、場はさらに荒れてしまった。この時、慌てた井上主審が笛を吹こうと口にくわえたのが、ホイッスルではなく、なんと持っていたイエローカードだったのだ。

「音が出ないことに焦りの表情を浮かべて、カードを二度見していましたね。結局、井上主審は、菅沼を退場処分にしたんですが、レッドカードもくわえるんじゃないかと、その場の誰もが期待して見ていたと思います。ちなみに菅沼は、退場しながら笑いをこらえきれない様子でした。見ていたファンからも『かわいすぎる! 場が和んだ!』『ガッツリ食ってるなぁ』『ふじいあきら思い出した』と、一定の人気を得たようです。
しかし、あんなミスを大勢のサポーターが見ている中でしておいて、キリっとした表情でレッドカードを出せるんですから、さすがはプロって感じですよね」(スポーツライター)

 試合を通してお互いのラフプレーに選手たちはイライラし、乱闘寸前だったこの瞬間だが、井上主審の行動に笑顔を見せている選手も数人混じっていた。意図的ではないだろうが、試合をコントロールする新しい審判の技術が生まれた瞬間だったのかもしれない。
(文=沢野奈津夫)