フジテレビ月9『ラヴソング』は第3話。視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回に続いて痛恨の1ケタとなりましたが、福山雅治の劣化具合にも慣れてきたのか、落ち着いて見られました。
佐野さくら(藤原さくら)は、臨床心理士の神代(福山)とライブステージに立つことになりました。2人で練習に励みつつ、神代に「結婚してますか?」「彼女とか?」と、例によってどもりながら尋ねたり、ほほえましい感じです。神代はクールに受け流しつつも、なんとなくいい雰囲気。
そんな空気を感じ取ったのか、さくらの治療に当たっている言語聴覚士・夏希(水野美紀)は神代に「クライエントとの距離感、考えなよ? 陽性転移されちゃうよ?」と忠告。耳慣れない言葉ですが、カウンセラーの優しさに相談者が恋心を抱いてしまう現象のことだそうです。夏希はさくらにも「あの人がさくらちゃんを気にかけるのは、それが仕事だからなの」と釘を刺します。
正直、この第3話のシーンにいたるまで、さくらが恋に走り出した理由がぜんぜん明示されなかったので(あと、福山が著しく劣化してるので)「なんでさくらは、好きっぽい感じになってんの?」と疑問だったんですが、恋ではなく「陽性転移」だったんですね。それを見る側に納得させつつ、どうやら恋の成就は難しそうだと、物語の“振り”を利かせるあたり、なかなか鮮やかな脚本です。
さて、緊張のライブが近づいてきました。ライブハウスのマスター・ささやん(宇崎竜童)は言いました。
「緊張したら、好きな人を想って歌えばいい」
聞けば、神代も「聞いてほしい人」を想ってギターを弾いているそうです。「歌う人のためじゃないんだ」と、さくらがっくり。
それでも練習は順調に進んでいる様子でしたが、ライブ前日になって、さくらはひょんなことから神代と夏希が同居していることを知ってしまいます。自分に「神代を好きになるなよ」的なことを言ってきた夏希が……と、疑心暗鬼に陥るさくら。もう全然声が出ません。
迎えたライブ当日、会場にはたくさんのミュージシャンが集まっています。
「先生のことを想って歌ってもいいですか? これで歌えたら、次に進める気がする」
思うように出てこない言葉を、さくらは必死でつなぎます。
「先生にギター弾いてほしいとか、もう言わないんで、だから、最後に……」
さくらの「次に進む」という言葉に、なんか触発されたっぽい神代は、「じゃ、今夜は君だけを想ってギターを弾く」と宣言。ハイタッチしながら「行くぞ、さくら」とカッコよく決めるんですが……。
福山って、こんなに滑舌悪かったっけ? 見た目のアレにはだいぶ慣れましたが、もともともモショモショしたしゃべり方が、さらにモショってるような……。3回聞き直して、ようやく「行くぞ、さくら」が聞こえました。さくらの吃音は芝居だけど、これは……。
で、本番。
ユーミンの「やさしさに包まれたなら」、LOVE PSYCHEDELICO「Your Song」、そして往年の名曲「Summertime」──神代のギターを従えて、さくらは歌います。はい、そうでした。
もう1曲、さくらにとっても神代にとっても大切な曲であるフォークソング「500マイル」を歌いきると、もうこの日は「さくらの夜」です。満場の拍手喝采、アンコール、アンコール。神代もさくらの手を取り、高く掲げて歓声に応えるのでした。
「歌いたい、もう一曲!」
もうどもることもなく、さくらは神代に言います。観客もそれを待っています。しかし、また何かが触発されたっぽい神代はギターからシールドを引き抜き、ステージを降りてしまうのでした。
いったい何があったのか……周囲はその異変に気づいていないようですが、さくらは深く傷つきました。トイレに駆け込んで、泣きじゃくります。
神代と夏希は帰路のバスの中。「アンコール、やってあげればよかったのに」という夏希に、神代はドヤ顔でこう答えるのでした。
「りえんねもちくんどぅ」
え?
「りえんねもちくんどぅ」
ちょっと何言ってるかわかんないです。10回以上聞き直したけど、わかんなかったです。
と、そんなこんなで第3話、今回は藤原さくらの歌唱シーンがすべてを持っていった感じです。しっかり尺を取って4曲も歌を聞かせるあたり、フジテレビの(というかアミューズの)藤原さくらを売るぞ! という本気度が伝わってきます。そしてこちらが「ゴリ押しやんけ!」と言いたい気持ちもふんわりと溶かしていくくらい、藤原さくらの歌に“ホンモノ感”が漂っていました。
どうやらライブにはスカウトの人も来てたみたいだし、今後も楽しみです! りえんねもちくんどぅ!
(どらまっ子AKIちゃん)