異例のスーツ姿で第7回朝鮮労働党大会に登壇した北朝鮮の金正恩党委員長。推定体重130キロという巨体にフィットしたフォーマルなスーツは全世界で注目され、Twitterでは「北朝鮮にもサカゼンみたいな店があるのか」と、大きな話題になった。
正恩氏のスーツについて、日本国内の北朝鮮ウオッチャーは「よく見るとストライプになっており、いつもの人民服と同じ生地だ」と指摘する。ゆえに「特注品、オーダーメードと考えるのが自然だろう」と語る。北朝鮮では最近、最高権力者にあやかろうと、刈り上げのヘアスタイルがブームになっているが、一般の人民は衣装面での真似は難しそうだ。
「そもそも太っている人が珍しい。
「北朝鮮には、サカゼンのようなビッグサイズ専門店はない。太った人が町を歩くと『幹部が来た』と勘違いされて、みんなにガン見される」(同)
かく言う男性も、日本人の中年と同じで結構恰幅がいい。それでも、男性は北朝鮮に入ると、同胞として現地の人に溶け込むため、いつも人民服に着替えることにしているという。
では、どこで人民服を入手しているのか?
「日本で人民服は再現できない。
ほどなく、メジャーを持った女性が到着し、上から下まで採寸して帰った。その2日後、男性にぴったりの人民服が仕上がってきたという。つまり、布の裁断から縫製まで、一から仕立屋が引き受け、イザというときの一張羅は、既製品を買わないのが、朝鮮メンズのたしなみだという。ちなみに人民服は1着1万5,000円ほど。ビッグサイズだと約5,000円で、日本円か中国元での外貨払いを求められるそうだ。
基本オーダーメードでも、サイズには制限があるという。
「『ウエスト100センチぐらいまでが限度』と仕立屋の人が言っていた。正恩氏の姿を見ると、120センチはあるだろう。正恩氏の衣装だけを扱う縫製工場があるんだろうなぁ」(同)
正恩氏は今回の党大会で、開会の辞の原稿を読み上げる際、金日成主席が使っていたのとよく似たウェリントンの眼鏡をかけている。後ろにすき上げた髪形、腹を突き出した歩き方、後ろ手に組む様子、壇上をつかんで報告書を読むさまなどは、いずれも「金日成の真似」と分析されているが、スイス留学経験があるだけに、おしゃれには人一倍気を使うのかも!?