韓国人観光客を相手に「100円ください」と物乞いする、通称「福岡100円女」をご存じだろうか? 赤いリュックにサングラス、両手にはたくさんのビニール袋を持ち、福岡の人気観光スポットで連日、必ずといっていいほど目撃される韓国人女性だ。

 一見すると普通の観光客だが、実は、彼女は貧乏旅行者。

言葉が通じる韓国人観光客を相手に「生理用品を買いたいけど、お金がない」「具合が悪くて薬を買いたい」などと言って小銭を恵んでもらい、それで生活をしているのだ。

 韓国のネット上ではちょっとした有名人のようで、「100円女に遭遇」「福岡100円女は今○○にいますよ」といった目撃談が多数散見される。中には、「100円ください」と物乞いされて「1,000円札しか持ってない」と断ったら、「900円のお釣りをあげるから、1,000円でも大丈夫」と言われた人もいるとか。最初は同情する声が多かったが、図々しさを増していく「福岡100円女」の悪名は高まるばかりだった。

 ところが先日、韓国のテレビ番組の取材で「福岡100円女」の正体が明らかになった。

 現在42歳の彼女は、昔、ソウル・江南の塾で数学の講師をしていたという。
5年前にも福岡を訪れたことがあり、その際に温泉と日本食が気に入り、今年8月に再来日。しかし、旅の途中で荷物を紛失してしまい、韓国に帰れず、仕方なく物乞い生活を始めたという。

 彼女が物乞いで稼ぐ金額は、1日500円ほど。そのお金で食事代を賄い、博物館や書店、カフェなどを巡る。彼女の行動を見る限り、「早く韓国に帰りたい」という焦りはなく、むしろ日本を満喫している様子だった。事実、彼女は取材クルーに対し、「韓国には帰りたいが、この生活を終わらせたくもない」と、訳のわからぬことを口にしていた。


 番組が「福岡100円女」を取材したのは、彼女が再来日してから約2カ月半が過ぎた頃だった。2週間後には90日の観光ビザが切れて不法滞在になってしまう可能性もあったため、取材クルーが「家族に連絡して、助けてもらったら?」と提案すると、彼女はこう返した。

「家族との連絡は避けている。私の家は名誉職が多い家柄なので(自分の境遇が知られると)困る。私は末っ子で、『しっかりしなさい』と子どもの頃から言われてきた。(家族に怒られないよう)何か結果を残さなければいけない」

 「福岡100円女」はその後、駐福岡韓国総領事館を通じて家族と連絡を取り、韓国に帰国した。


 しかし、番組を見た視聴者からは「言っていることがウソっぽいけど、日本で現実逃避していたのは確か」「明らかに病んでる」「こりゃ、また日本に行くかもしれないな」などと、彼女の精神状態を疑うコメントがネット上に多数寄せられている。

 今回の旅での経験を糧に、韓国で何かしらの“結果”を残してほしいものだ。