イジメドラマからサスペンスへと一変し、さらに「産みの親か、育ての親か?」という家族ドラマへと変貌を遂げている『砂の塔~知りすぎた隣人~』(TBS系)の第8話。第6話以降、亜紀(菅野美穂)と直接対決するようになった弓子(松嶋菜々子)ですが、前半の数々の嫌がらせは、単なる“陰湿な性格”から来る行動である可能性が高くなってきました。
さて、前回、いつものように鉄橋で亜紀と“ばったり”出会った航平(三代目J Soul Brothers・岩田剛典)は、思わずギュッと抱きしめちゃったわけですが、案の定、45階の梨乃(堀内敬子)に目撃され、写真をパシャパシャ。これを早速、ボスママ・寛子(横山めぐみ)にチクる梨乃。寛子は航平を呼び出し、職場の体操教室に生徒の母親との不倫を知られたくなかったら、「大人の男と女として、取り引きしましょう」と、要は「クビになりたくなかったら、私を抱け!」と迫ります。
しかし、「俺が、一方的にストーカーのように付け回しただけ」と、亜紀への思いが本気であることを打ち明ける航平。ストーカーの自覚あったのか、どうりで……。
航平の告白に激怒した寛子が、タワマンのロビーで「みなさ~ん。亜紀さんは、体操のコーチと不倫してるんですよ~」と大声で吹聴した結果、亜紀と取っ組み合いのケンカに。亜紀は頭を強打し、入院してしまいます。航平は心底、疫病神ですね。あと、今回の不幸は、珍しく弓子が噛んでなさそう。
母親不在となった高野家で、健一(ココリコ・田中直樹)が、フライパンのインフォマーシャルばりにグチャグチャなハンバーグを作っていると、おいしそうなハンバーグを持って弓子がピンポーンと到着。高野家にスルリと入り込むことに成功します。
その後、「本当の母親を知ってる」という弓子に、擦り寄る和樹。亜紀の指輪に刻まれた結婚記念日を見て、血が繋がっていないことを知ったという和樹ですが、一向に真実を伝えようとしない両親への不信感を「この人たち、俺を信用してないんだなって。やっぱ所詮、他人なんだなって」と語ります。
あの……、義母の皆さんって、息子が中学生になるまでに、「私は本当の母親じゃないのよ」と伝えるものなのでしょうか?「あいつら、2歳から13年間も、俺を騙しやがって!」という和樹の心情があまりピンとこなかったのですが、その辺の捕らえ方は、人それぞれなんでしょうね。
一方、入院中の亜紀の元を訪れ、「帰ってこなくてもいいわよ」「私のほうが、母親にふさわしいわ」とダメージを与える弓子。さらに、眼球をひんむきながら、「あなた知らないでしょ。和樹のイジメが始まったの、もう3年も前よ。私は知ってたわ。あの子をずっと見てたから」「いつ助けてくれるかと、私はあなたをずーっと見てた」とまくし立てます。このドラマは、ストーカーだらけですね。
この後、寛子が騒いだせいで、航平が体操教室を去る事態に。その帰り、鉄橋の上で退院したばかりの亜紀とばったり(2回目)。航平は逃避行に誘いますが、亜紀はすんでのところで思い留まり、航平を置いて13年間家族と見てきたクリスマスツリー点灯式へダッシュ。そこへ健一とそらが合流。和樹不在の中、3人で仲良くツリーを眺めます。
久々に、寛子が大活躍だった第8話。ツッコミどころ満載ながら、最近のスピード感はわくわくしますね。やっと、このイカれたドラマの見方がわかりました(最初の頃、マジメに見て損した……)。そういえば、ドラマのために書き下ろされた主題歌『砂の塔』を、いろいろな音楽番組で披露しているTHE YELLOW MONKEYですが、「傾いた塔、安定はしないっ♪」ってとこ、本当に暗い気持ちになりますね。『NHK紅白歌合戦』では、是非、別の曲でお願いします。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)