ラジオの未来は“見えないラジオ”!? 川野将一が語る、ラジオと歩んだ半生と野望とは

ラジオの未来は“見えないラジオ”!? 川野将一が語る、ラジオと歩んだ半生と野望とは

 昨年、長寿番組『大沢悠里のゆうゆうワイド』(TBSラジオ)が終了した一方で、エリアフリーとタイムフリー視聴という画期的なシステムがradikoに導入され、密かにブームが再熱しつつあるラジオ業界。

 そんな業界の動きと呼応するように、“テレビの放送作家でラジオのヘビーリスナー”を自称するラジオ愛に溢れる男が、全848ページにも及ぶエッセー『ラジオブロス』(イースト・プレス)を書き上げた。取り扱う番組は、深夜帯の『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)、『JUNK』(TBSラジオ)などの人気番組はもちろん、『小島慶子 キラ☆キラ』(TBSラジオ)や10代向けの『能年玲奈のGIRLS LOCKS!』(TOKYO FM)と多岐にわたる。

 「今、日本一の珠玉のラジオエッセー」と水道橋博士も太鼓判を押す本書の著者で、現在もテレビの放送作家として活躍する川野将一に、ラジオ愛を語ってもらった。

――ラジオとの出会いは?

川野将一(以下、川野) 僕は、45ですけど、生まれた時に居間にテレビはありました。でも、自分の部屋にはない時代だったから、部屋に閉じこもるときは、買ってもらった小さなラジカセでラジオを聞くんですよ。ある日、ラジオを流していたら『宇宙戦艦ヤマトのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)が流れてきた。『宇宙戦艦ヤマト』をラジオドラマでやるんですけど、聞いていると、どうやら僕が知っているテレビのアニメのヤマトとは違うぞと。ラジオというものは、単純に“絵のないテレビ”だと思っていて、むしろ下だと思っていたけれど、ラジオには全然違う別の世界が広がっているんだと思って、そこからオールナイトニッポンだったら、ビートたけしさんだったり中島みゆきさんだったり。テレビとは違う面白さにハマっていきました。

――それって、おいくつくらいの出来事なんですか?

川野
――小学1年生!? 早いですね!

川野 だからそう……それだけは早熟だったの。

――それからはもう、ラジオ一筋?

川野 ラジオ好きになっていろいろ聞いていくと、「あ、みんなハガキを出して参加しているんだ」と気づくじゃないですか。だけど、いろんなものを「聞く側でいいや」って思っちゃって。ハガキ職人にならなかった分、いろんな番組をいっぱい聞いていたんですよ。でもやっぱり、投稿することは好きだったから「宝島」(宝島社)とか雑誌の方にいきました。

 そのころ「TVブロス」(東京ニュース通信社)が、ちょうどワーって出てきたころで、TVブロスで多く採用されていました。僕の内容に合わせてコーナー作ってくれたりとか。就職活動をする時期になって、テレビ雑誌の編集部だったら、書くことも好きだしテレビも好きだから、両方できるんじゃないかと。自分、いっぱい採用されているって武器を持って行ったんですけど……全然ですよ(笑)。スポーンって落とされて、ライバル雑誌「TeLePAL」(小学館)の編集プロダクションを受けました。それから、ご縁があってライバル誌の編集者でありながら「TVブロス」で、テレビについての連載を星野スミオのペンネームで始めました。でも、今度はテレビそのものを作る方に興味が湧いてくるんですよ。

――制作側に。

川野 そうそう。それで、放送作家という仕事があることを知って。ツテはなかったから、どうやってなればいいかわからない。今でも好きですけど、その時いちばん好きだった『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)のエンディングのスタッフロールを見て、現場を仕切っている一番偉い人、総合演出の人宛に『タモリ倶楽部』の企画書をいろいろと、20くらい送ったら、放送作家事務所を紹介してもらいました。勤めていた編集プロダクションは辞めたんですけど、星野スミオとして書いているブロスの連載は続けていました。

 けれど、テレビを作りながら、そういうのをやっていくと……苦しくなる。

――わかります。どっちの気持ちもわかる、じゃないけど……。

川野 この状態はよろしくないなって、編集部さんに連載内容を変えたいって相談したんですよ。僕はずっと昔からラジオは聞き続けていたから、「高木ブーさんのこういうラジオあるの、知ってます?」とか、そういうラジオがあるってことを言っただけで、驚いてくれて。テレビ雑誌だけど、毎回ラジオについて書くっていうのはありかもということで、『ラヂオブロス』がはじまりました。TVブロスで連載するラジオについてのコラムだから『ラヂオブロス』。そこで、3年続けて。

 ちょっと遡りまして、TVブロスで「テレビのミカタ」という連載をしていたころ、よく、ライターの近況を書くところってあるじゃないですか、本文のほかに。そこで一回、ビートたけしのオールナイトニッポンの後に始まった、たけしさんと浅草キッドのTOKYO FMのラジオのことを書いたんですよ。「昔、たけしのオールナイトニッポンを聞いていた人は、絶対聞いたほうがいいですよ」って。それが1997年のとき。そしたら、水道橋博士が「星野スミオっていうのが『TVブロス』で小さく俺のやっているラジオ番組のことを書いてくれた」ってブログに書いたんです。そのころ僕は自分で積極的にネット見るっていう文化がなかったから、全然書かれたことを知らなかったんです。

 ある時TVブロスの編集部に行ったら、僕宛てに荷物が届いてたんです。それを見たら、手紙とビデオテープで送り主が小野正芳。「あれ!? これ水道橋博士じゃん!」って、僕はすぐにわかったんですよ。編集部の人はそれが博士からのものだと気づかなくて、半年ぐらい置いたままで。その時は、テレビの放送作家の仕事を始めていたから、いつか現場で会ってお礼を言わないとって思っていたけど、そういうことに限って、ほかの芸人さんとはお会いしても……なかなか、会わないんですよ。18年間も会わなかった。

――18年! 忘れちゃうくらい、時間が流れていますね。

川野 博士と会わないまま、博士がメールマガジンを始めたっていう情報が入ってきて。それで、ここが自分の参加する現場なんじゃないかって思ったんです。そのころにちょうど、博士が『藝人春秋』(文藝春秋)を出して、月島でトークイベントがあったんで行きました。18年経て、やっと会いに行ったんです。ご挨拶してサインもらいながら「あのときの“星野スミオ”です」って伝えて、その後に「メールマガジン、いつも読んでいますけど、僕もラジオで参加させていただけませんか?」って言ったら、ぜひということで声をかけていただきました。そこで新しく『ラジオブロス』が始まったんです。ここに来るまでに、こういう変遷があったという話なんですけど……聞いていることとズレちゃいましたかね?

――いえいえ! こんな深い歴史があるとは。ラジオ関係の仕事をしたいという気持ちは、あんまりないんですか?

川野 ……その流れで言えば、ラジオ局をつくりたい。

――ラジオ局! 自分で、この時間はこの人に任せて、この時間はこの人に……ということですか?

川野 妄想でコンセプトがあって、今って誰が話しているかって顔がわかるじゃないですか。調べれば、ネットとかで。でも、昔は「どういう顔なんだろう」って話している人の顔がわからなかった。一つ便利になったことで、一つ失っている楽しみがそれだなって思うんですよね。よく“見えるラジオ”なんて言葉がありますけど、“見えないラジオ”をやってみたい。

――“見えないラジオ”! “聞けば見えてくる”の逆をいくわけですね。

川野 誰が話しているかわからない。何がいいかっていうと、例えば『ONE PIECE』(集英社)の作者の尾田栄一郎さん。あの方、すごいお話が大好きで面白くて、ラジオ番組にゲストで出たりするんですよ。『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』(TOKYO FM)にゲストとして尾田さんが出ていらっしゃる。そこで、昔の日本映画について話したりとか。最近でいうとGReeeenとか。彼らも単発でラジオとかやっていますけど、顔は出さなくてもおしゃべりが好きなおもしろい人を出すラジオ局を作りたいっていう勝手な妄想(笑)。ラジオ局を作るっていうのは、莫大なコネクションと莫大なバジェットが必要なことはわかっていますから、それはあくまで妄想で。けれど、ラジオに関わりたくないんですか? って聞かれれば、むしろラジオ局を作りたいって答える。

――関わるというよりも、もっとディープにということですね(笑)。今回の連載が始まった時に、最初に書きたいという人はいたんですか?

川野 “テレビの放送作家でラジオのヘビーリスナー”と名乗っているんですけど、1番最初に自分の自己紹介的なことも含めて書けるなと思ったのが、久米宏さん。久米さんって、もともとTBSラジオでずっと話していた人なんですよね。それが『ニュースステーション』(テレビ朝日系)とか『ザ・ベストテン』(TBS系)とか、テレビの世界に生きて、またラジオに戻った。僕は“ブーメランパーソナリティ”って勝手に呼んでいるんですけど(笑)。その人生の歩み方がまずおもしろい。久米さんを最初に取り上げようっていうのは、連載を始めるかなり前から思っていましたね。

 連載は、その時々にあわせて「あ、今はこのタイミングだからこの人書こう」みたいなことでやっています。毎月、日常で聞く番組と課題として聞く番組がある。だからね、本当のラジオファンからすると、あまり健康的な聞き方じゃないかもしれない(笑)。
(取材=菅谷直弘[カカロニ])
























































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