「週刊文春」が実施したアンケート調査「好きなジャニーズ」で、中居正広が1位に輝いた。そんな彼はおそらく、「業界人が一緒に仕事をしたいタレント」でも上位に入るだろう。

レギュラー番組5本、好感度No.1男の仕事のスタンスとは、いったいどのようなものなのか?

 司会者には2通りのタイプがいる。番組内容に積極的に意見し、よりよくしていこうとするタイプと、それに一切異を唱えることなく、言われるがままに進行するタイプだ。

 だが前者の中にも、気に入ったスタッフしか周囲に置かず、反論する者には執拗に攻撃し、自ら辞めるよう追い込むタイプもいたりする。長らく日曜朝のワイドショー番組の司会を務めるベテラン司会者は、まさにそうだ。また、後者は後者で、番組の命運より自分さえよく見えればよいというNHK出身の司会者もおり、どちらも一概にいい悪いは言えない。

 では、中居はどうかというと、リベラルというか中庸なのである。タモリ所ジョージのように淡々とこなすタイプもいれば、とんねるず松本人志のように、ディレクターがプレゼンする企画にダメ出しする者もいるが、中居はそのどちらでもなく、あくまでフラットなのである。

 それは、彼と仕事をした人間の証言からわかる。収録直前、スタジオ進行やVTRに不備があった場合でも相談に乗り、どうしたらいいかを一緒になって考えてくれるという声も聞く。かといって、「こうしなければならない」とか、「こうすべき」ということは言わない。あくまでも「こうありたい」と前向きな考え方を述べ、意見を求めるのだという。また、コンサート明けでも疲れを見せずに打ち合わせに臨んでいたとも聞いたことがある。


また、これは受け売りで申し訳ないが、彼の台本は事前に書き込んだ赤ペンで埋め尽くされているという。誰かの言葉ではないが、準備で9割が決まるのだ。
 
 少し話題はそれるが、こんな司会者もいる。自らスポーツ同好会を立ち上げ、スタッフたちと汗を流したり、さらには一緒に旅行に行くようなお笑い芸人だ。両者の垣根を取り払い、より親密になることで士気を高めようとする狙いもあるのだろう。だが、中居はそこまではせず、スタッフのプライベートには立ち入らない。彼自身、女性と3日も同居していられない性分のため「結婚はしない」と冗談めかしてよく言っているが、親しくなりすぎた分、逆に気遣いをさせるのが嫌なのかもしれない。

いずれにしても、お笑い芸人がゴールデン番組の司会を占めている中で、彼の存在は稀有である。だが昨年、彼がMCを務める『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)の仕切りが荒れて、態度が悪くなったときがあった。熱心なファンだったら気づいたかもしれないが、あからさまにゲスト出演者の言葉尻をあげつらい、つっかかったときがあった。それが何週にもわたって続いた。確か、SMAPの解散前後のことだった。


 今にして思えば、周りとの折衝に心砕き、疲れていた時期だったのかもしれない。

 そう思えば、彼もまた人間なのだ。もともとは、藤沢生まれの、気のいい兄(あん)ちゃんなのである。だが、そんな彼がレギュラー5本の人気番組を抱え、また『音楽の日』(TBS系)やNHK『紅白歌合戦』の司会もし、オリンピックのメインキャスターもこなすようになった。10年後、20年後、これからの中居はどうなっていくのだろう? いずれにしても、同じ時代に同じこの国で、一人のタレントの成長を見続けるのはこの上ない幸せなのだ。

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