ケンカ全勝の兄・未来と、読書家の弟・海──総合格闘技界の超新星「朝倉兄弟」に迫る!

ケンカ全勝の兄・未来と、読書家の弟・海──総合格闘技界の超新星「朝倉兄弟」に迫る!
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「俺たちは、つまらない試合はしない」

 そう公言して憚らない総合格闘家の「朝倉兄弟」が、有言実行の“スカ勝ち”を積み重ね、国内外で人気を高めている。あまりの強さに地元ではケンカ相手がいなくなり、プロ格闘技の世界で獲物を探し求めるようになった兄・未来(みくる)。その兄に才能を見出され、プロ格闘家になった弟・海(かい)。性格や特長は異なるものの、「常にフィニッシュ勝利を目指す」というのが、兄弟一致のポリシーだ。

 両者とも超攻撃的なファイトスタイルで快進撃を続け、先月韓国で行われた『ROAD FC』では、敵地の観衆をも魅了する圧勝を収めた(下記動画参照)。

 好戦的かつ挑発的な言動が目立つため、時には反感も買うが、すべての批判を「勝つこと」で封じ込めてきた2人。その強さは、いかなる環境で育まれたのか? そして彼らは今後、どこへ向かおうとしているのか? それぞれに電話インタビューを行った。

【兄】朝倉未来(24歳)

――『ROAD FC』での完勝、おめでとうございます。対戦相手のオ・ドゥソク選手(韓国)は、ボクシングの元OPBFランカーで、WBOアジア太平洋ライト級の元王者であり、キックでも2団体の韓国王者となっているストライカーですが、戦前にはどういう印象を抱いていましたか?

朝倉未来(以下/未来) 試合動画を1試合見ただけですけど、「総合(格闘技)の打撃に全然対応できてないな」というのが第一印象で、「これは勝てるな」と思いました。

――韓国の会場で韓国人選手と戦ったわけですが、アウェイ感は?

未来 相手の名前がコールされたときのほうが歓声は大きかったですけど、試合中に攻められた瞬間がなかったので全然気にならなかったし、緊張もまったくなかったですね。強いて不安だった点を挙げるなら、俺、視力が0.02しかないから、入場のときに会場の雰囲気や花道がよく見えなかったことぐらいかな(笑)。試合が始まれば何も問題はなかったです。『ROAD FC』は韓国の地上波でも放映されたので、試合後は韓国のファンが増えましたね。会場ではUFCファイターのカン・ギョンホ(韓国)からも声をかけられました。日本でもYouTubeとFacebookで生中継され、新規のファンが増えました。兄弟ともインパクトを残せてよかったです。

――視力0.02で、敵のパンチが見えるんですか?

未来 見えますよ。俺、今まで練習でも試合でも一度もダウンした経験がないんですけど、視力は悪くても、たぶん動体視力がいいんだと思います。ほとんどの技にカウンターを合わせられるんで。

――実際、オ・ドゥソク選手のパンチを食らう場面は、ほぼなかったですね。

未来 総合の打撃とボクシングの打撃って、まったくの別物なんですよ。違う競技と言っても過言じゃないぐらい。相手がボクシングのチャンピオンレベルだとしても、総合の打撃だったら俺は負けない。なんでかというと、総合はキックやタックルもあるし、グローブも小さいから、ボクシングのガード技術がほとんど使えないんです。だから総合は打撃一発で決まっちゃうことも多く、 つまりは“当て勘勝負”になってくる。そこに俺は、絶対的な自信を持ってるんですよ。

――その自信の根拠を教えてください。

未来 まず、普通の人よりもビビらない覚悟がある。相手の打撃をギリギリまで避けずに見る覚悟です。それと、どの体勢から打っても左右両方のパンチが強いというのも俺の取り柄ですね。だから相手の動きに合わせたカウンターで、KO勝ちをすることが多い。あとは日頃の練習方法でしょうか。あらゆる試合展開を想定し、どういう場面になっても慌てず冷静に動けるように練習しています。

――未来選手はストライカーのイメージが強いですが、寝技対策は?

未来 実はここ2~3年は打撃よりも、寝技とレスリングの練習に多くの時間を割いてます。テイクダウンを取られないための練習と、倒されてもすぐに立ち上がる練習を延々と繰り返してますから、キメられない自信が強いですね。今は他の仕事もしてるから、1日2時間程度しか練習できないけど、練習時間がもっと増えれば、さらに強くなるでしょう。

――これでプロとして5戦5勝となった未来選手ですが、もともとは不良の格闘技大会『THE OUTSIDER』で格闘家デビューした経歴からもわかるように、地元の愛知県では有名な不良だったそうですね。

未来 ケンカがとにかく大好きで、毎日のように誰かとタイマンを張ってました。俺のケンカは必ず1対1。弱い奴とやってもつまんないから、強そうな奴をいつも探し求めてました。

――ストリートファイトでは負け知らずだったんですか?

未来 数え切れないぐらいケンカをしたけど、一度も負けたことがないです。最初は地元・豊橋の強い奴をどんどん倒してって、地元に敵がいなくなったら、隣の市まで遠征したり。

――どうやってケンカ相手を探していたんですか?

未来 強そうな奴を見つけたらガンガン睨みつけて、かかってきたらブッ倒す。で、そいつに「もっと強い奴を教えろ」と言うと、どんどん強い奴が出てくるんです。

――格闘RPGみたいですね(笑)。

未来 自分の住んでる街と名前をあちこちに告げながら相手を募集してたから、俺を倒したがる奴らからガンガン電話もかかってくる。1日に2戦したこともありますよ。隣の市に強い奴がいると聞いて、意気込んで行ったのに、一発で終わっちゃってつまんないから、豊橋に帰って来てから地元のクラブに行って、新たな相手を見つけて2戦目をしたり。そんな毎日だったので、何戦やったのかまでは覚えてません。

――なぜそこまでケンカが好きだったのでしょう?

未来 刺激が欲しかったのかな。真面目に勉強して真面目に就職して、そのままトシ取って死ぬのもつまらんな、と思ってて。当時の俺の趣味は「命をかけること」でした。

――そんな生活を送っていて、ご両親から叱られませんでしたか?

未来 オヤジは俺と似たタイプなので、「ケンカする前には準備運動をしっかりしとけ」とか、よくアドバイスをしてくれました(笑)。母親は諦めてましたね。怒っても俺が聞かないってことを知ってるんで。

――警察に捕まったことは?

未来 ケンカだけじゃなく、無免許で毎日バイクを乗り回してましたから、マークされてたらしく、ある日、家に帰ったら、四方八方から警官が出て来て、捕まえられました。で、16歳から少年院に1年半入って、出て来てからもちょこちょこ暴れてたんですけど、強くて有名になりすぎてたから、そのうちケンカの相手をしてくれる奴がいなくなり、寂しくなっちゃって……。ちょうどその頃、『THE OUTSIDER』 の存在を知り、じゃあ格闘技の世界で暴れてやるかと思ってジムに通い始めたんですよ。

――ジムで、ケンカの技術は通用しましたか?

未来 初めて体験に行った日はガスを吸ったまま行ったんで、息ハァハァで、通用しませんでした。打撃では劣ってなかったけど、寝技で押さえつけられたら、もうダメ。ジムには、ストリートの技術だけじゃ勝てない相手がゴロゴロいました。でも、強い奴を見ると倒したくてワクワクする性格なので、熱心にジム通いするようになり、今に至るという感じですね。

――『THE OUTSIDER』では2階級王者になり、13戦11勝1敗1ノーコンテストという好成績を収めた未来選手。「強いだけじゃなく、試合が面白い」と評されることが多いですが、戦うときに意識していることは?

未来 格闘技って、お客さんありきのものだと思うんです。見る人がいなければただのケンカと一緒で価値がないけど、お客さんや期待する人の数が多ければ多いほど、それに比例して価値が高くなっていく。お客さんが見たい試合をできなければ、選手としての価値はないも同然だし、格闘技をやる意味がないとさえ思います。なぜ今このリングに立てて、何を求められてるのか。そこんところをいつもしっかり考えてます。結論としては、面白い試合をするしかないじゃないですか。

――弟の海選手も、同様の考えなのでしょうか?

未来 弟も一緒だと思います。ただ、性格は全然違いますね。弟のほうが真面目だし、人付き合いも上手いです。そこが俺とは正反対。

――プロアマ通じて1敗しかしておらず、その1敗した相手(樋口武大選手)とのリベンジマッチにも勝利している未来選手。勝ち続けることで、「負けられない」というプレッシャーを感じることは?

未来 まったくないですね。実力があるのは自分たちである程度理解してるんですけど、純粋な格闘技ファンからは評価が低いし、批判とかもされるから、逆に今の段階では気持ちがラクですね。

――「相手が弱いから連勝できる」「川尻や五味レベルの選手になってから大口を叩け」などの批判もありますが、それらに対する反論は?

未来 あの人たちのいつの時代と比べてるのかは知らないけど、俺たち兄弟は今、1日に2時間程度しか練習できてないのに、それでここまでの結果を残してますんで。まだ20代前半だし、1日8時間練習できるようになったら、何倍も強くなれる自信ある。そこから比較して欲しいですね。

――いつも自信満々ですが、弱点はありますか?

未来 特に思い浮かばないです。視力についても、今後レーシックをする予定だし。寝技の強い人と練習すると、たまにキメられることもある。課題はそれぐらいかな。俺、身体能力がもともと高いんですよ。小さい頃からマラソン大会ではいつも1位だったし、それ以外のどんな運動も得意なんです。総合は全部できないとダメなんで、まさに俺向けの競技と言えますし、伸びしろは無限大と思ってます。

――今後の目標を教えてください。

未来 『ROAD FC』フェザー級王者のチェ・ムギョム(韓国)を倒したいし、日本の格闘技界を盛り上げたいです。そのためにも、地上波の『RIZIN』に出たい。俺たち兄弟はものすごい可能性を秘めてますんで、チャンスを与えて欲しいです。

――『RIZIN』で活躍中の山本アーセン選手に対し、Twitterでいきなり対戦要求をしたこともありましたね。アーセン選手は結局、未来選手の挑発には乗ってきませんでしたが。

未来 あぁ、そんなこともありましたね。俺からしたら、面白くない奴だな、みたいな。あれ以上煽っても煽り甲斐がない奴なんで、冷めましたけどね。試合も面白くないのにああいうところで盛り上げられないんじゃもう、格闘家も終わりだな、と思います。

――今の発言は書いて大丈夫ですか?

未来 書いていいですよ。やるならいつでもやってやるし。

――『RIZIN』で注目を集めている那須川天心選手について思うことは?

未来 階級は弟と近い選手だけど、俺も注目してますよ。打撃のスピードもあるし、すごく頭もいいし、考えられた戦い方だし、なおかつ動体視力もいい。天才だなと思います。ただ、総合はすぐにマスターできるもんじゃないので、弟とやったらだいぶ差があると思いますね。

――最後に、ファンへメッセージをお願いします。

未来 俺たち兄弟はこれからどんどん活躍して頭角を現していくんで、今知った人も、もとから知ってる人も、目を離さずに応援してくれたらうれしいです。この先、いろんな邪魔者を片っ端からなぎ倒していくんで、楽しみにしててください。

【弟】朝倉海(23歳)

――『ROAD FC』でアラテン・ヘイリ選手(中国)を秒殺した海選手。これで何連勝になりましたか?

朝倉海(以下/海) 『THE OUTSIDER』の戦績を入れると、13か14連勝ぐらいですね。プロでの戦績は8戦8勝で、6KOに、2サブミッション。今んとこ全部フィニッシュ勝利です。

――ヘイリ選手も6連勝中の強敵でしたが、海選手のヒザ蹴りで病院送りに。あの一撃で彼は、アゴの骨が折れたらしいですね。

海 ヘイリは中国のフライ級で一番強いと言われ、去年の11月には『ROAD FC』の元王者のジョン・ナムジン(韓国)と王座挑戦権をかけた試合で引き分けた、かなり有名な選手です。YouTubeに過去の試合動画がたくさん上がってたので、事前に研究して対策を練ることができたし、冷静に試合することができました。最後のヒザも狙い澄ました一撃です。日頃から階段ダッシュで鍛えてるから、ヒザ蹴りの威力には自信があるんですよ。

――前回の中国に続き、海外は2戦目でしたが、韓国の空気はいかがだったでしょう?

海 韓国のファンの方はあったかいな、と感じました。普通に入場時も応援してくれたし、試合後もたくさん声をかけてくれた。韓国の選手やファンから、大会後にFacebookの友達申請がめちゃくちゃ来ましたね。

――その一方で、複数の選手から宣戦布告もされているようですね。ナムジン選手は、海選手の写真をビリビリに破っている画像をインターネット上に公開しています。

海 あれ見て、笑っちゃいましたよ。わざわざ俺の写真を検索して、印刷して、破るところを撮影するという一連の作業を想像すると可笑しくて。有名な人なので、すごい宣伝にもなりますし、ありがたいですけどね(笑)。フライ級現王者のソン・ミンジョン(韓国)もFacebookで俺と戦いたいと言ってます。

――『ROAD FC』における今後の展開が楽しみですね。

海 次がタイトルマッチになるのか、それとも2番目に強いナムジンみたいな選手とやるのか。まだわかりませんけど、早く強い奴と試合をしたくてたまらないです。

――過去に話題を移しますが、そもそも海選手はなぜ、格闘家になろうと思ったのでしょう?

海 始めたのは高校卒業間近の頃です。先に格闘技を始めてた兄貴が、ジム以外で実力を試したくなったらしく、俺に向かって急に「相手をしろ」と言ってきたんですよ。で、俺を庭に呼び出し、グローブを着けさせ、いきなり襲いかかってきた。構え方とか知らなかったけど、俺は目がいいから、兄貴のパンチや蹴りを全部避けたら、「お前、センスあるから格闘技をやったほうがいい」と誘われました(笑)。

――お兄さんはそのとき、手加減を?

海 いや、ガチでしたね。

――海選手のスポーツ経験は?

海 小学校のときに空手と相撲を。中学時代はバレーボールをやってました。

――お兄さんは無類のケンカ好きだったらしいですが、弟の海選手は?

海 たまに盛り場でケンカをすることもありましたけど、兄貴みたく法律に触れるような悪さをやった覚えはないです。兄貴の悪かった姿を見て、俺はそうなっちゃいけないと思ってましたから。性格も兄貴とは真逆だと思います。俺は日常生活でキレることはまずないですから。

――兄弟仲はいいんですか?

海 いいですよ。いつも「禅道会豊橋道場」で仲良く練習……というか、ガチで殴り合ってます(笑)。俺も兄貴同様、今はまだ普通の仕事をやってるんで、毎日2~3時間しか練習できませんけど、集中して頑張ってます。

――いつもポーカーフェイスですが、精神鍛錬法はありますか?

海 精神鍛錬というほど大げさなもんじゃないけど、本をけっこう読みますね。推理小説とか。推理小説って、読んでるときは集中するし、頭を使うじゃないですか。それを習慣化することによって、格闘技の技を覚える吸収力が上がったり、試合中の集中力が上がったり、ってことにつながってる気がします。ちなみに兄貴も、ああ見えて読書家ですよ。週に1冊ペースでいろんな本を読んでるみたいです。

――兄弟それぞれの格闘技上の長所を教えてください。

海 兄貴のいいところは、カウンターの当て勘が特出してるのと、打撃の技が多彩な点です。俺はけっこう自分から攻めるタイプで、一発当てたら、そこから一気に仕留め切るのが兄貴よりも上手いです。

――海選手に弱点はありますか?

海 弱点がないように練習してます。自分と戦うのが怖いですね。

――今、一番戦いたい相手は?

海 『ROAD FC』フライ級王者のソン・ミンジョンです。

――『THE OUTSIDER』で海選手に土をつけた渋谷莉孔選手が現在、海外の『ONE Championship』で頑張っていますが、彼と再戦したい気持ちはありますか?

海 できればやりたいですし、今なら倒せる自信もありますけど、あの敗北は格闘技を始めて日が浅かった頃の話ですから、そこまで執着はしてません。

――『ROAD FC』で実績を積んだ先のビジョンはありますか?

海 兄貴と一緒に『RIZIN』に出たいですね。俺たち兄弟で国内の格闘技を盛り上げたいという思いが強いんですよ。あとは、国内の各プロ団体のチャンピオンを倒したいです。

――最後に、ファンへメッセージをお願いします。

海 判定って、つまらないじゃないですか。俺たち兄弟は相手を絶対倒すし、派手な試合を見せるんで、そこを楽しんでもらえたらと思います。
(取材・文=岡林敬太)

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