日本では、学校の行きすぎた懲罰は厳しく非難されるが、中国では校則に違反した学生には、プライバシー度外視の懲罰が待っている。

 5月14日、山東外語職業学院の構内に、「不文明行為曝光台(野蛮行為暴露所)」と赤字でデカデカと書かれた掲示板が登場した。



 そこには、“問題アリ”と認定された学生らの写真が掲示され、晒し者にされている。飲酒、喫煙といった行為はまだ理解できるが、カップルが抱き合ったりキスしている写真まで含まれているのだ。しかも、明らかに盗撮である。

「網易新聞」(同18日付)などによると、同学院の学生規律違反処分条例第13条には「校内では、抱擁、接吻、肩を抱く行為は許されず、背いた場合は警告を受け、しかるべき処分が下される」と規定されているという。その処分が、公開処刑ということなのだろうか……。

 ネットでは「カップルが仲良くすることは“不文明”で、盗撮は“文明”だっていうのか」「山外(山東外語職業学院)に入ったら、人生終わりだな」などの批判が書き込まれたが、意外なのは、「学校は勉強をする場所だが、一部の学生は自制心を知らない。
懲罰を与えるのは当然だ」などと学校側を擁護する意見も少なくなかったことだ。

 一方、山東省の中学校では、大雨の中、女子生徒8名が罰として自ら進んで校庭に立っている画像がネット上に投稿され、話題になっている。「万家資訊」(同18日付)などによると、彼女たちは昼休み中、宿舎でおしゃべりをしていたところ、見回りの先生に見つかり、お咎めを受けた。昼休みに話をすることが許されないとはまるで刑務所だが、校則で禁止されているという。

 彼女たちはその校則違反が成績に影響し、さらにはクラスで恥をかくのを恐れ、自らを罰するために校庭に出て行ったのだと、生徒の一人は打ち明ける。やがて雨が降ってきたが、自分たちの反省は十分でないと、立ち続けだのだという。
まるで共産主義が好む“自己批判”そのものである。

 こうしたトンデモ懲罰が横行する背景について、広東省地方紙の社会部記者は次のように話す。

「身体に直接触れるような体罰は訴訟問題となるリスクが高いため、中国では学生の遅刻や宿題の未提出などに対し、罰金制度を導入する教育現場もあった。しかし、数十元の罰金など厭わない金持ちの学生を懲らしめることはできない。そこで最近では、学生を精神的に追い詰めるような罰則の導入が広がっている」

 日本以上に厳しい受験戦争だけでなく、懲罰のストレスにも耐えなければならないとは、中国の学生もラクではない……。
(文=中山介石)