大阪市内にあるラーメン店「Antaga大正」の店長が大麻所持の疑いで逮捕されたことで、利用客に「大麻入りラーメン」のウワサが広まっていたことがわかった。逮捕報道では、客が「店の中で大麻の匂いがした」と話していたことが元従業員の話として伝えられ、利用客の間では「料理に大麻が使用されていたのではないか」と疑う人々が出てきているのだ。



「食べたことあるけど、まさか大麻入りラーメンだった?」

「大麻やりながらラーメン作ってたら、大麻混入とか大丈夫かね」

 ネット上では、そんな声が広がっているが、「店で大麻の匂いがするっていうのは、逮捕されるずっと前からささやかれていたこと」と語るのは、常連客だったグルメブロガーのひとり。過去、店のレビューを書いたこともある人物だ。

「もちろん大麻がどんな匂いがするかなんて、ほとんどの人は知らないはずやけど、店内で草の青臭い匂いが強くしていたんで、それが大麻の匂いじゃないかとウワサになっていたことがあった」(同)

 逮捕された梶林洋介被告がラーメンの調理に大麻を使用していたという話は現時点で聞こえていない。近畿厚生局麻薬取締部は、梶林被告が9月に店内で乾燥大麻およそ11グラムを所持していた大麻取締法違反の罪で逮捕・起訴。調べでは、5年くらい前から大麻を使用し、家族に隠れて吸うために店で保管して、仕事終わりに吸っていたとしている。大麻の匂いがしていたというのは、店で梶林被告が吸っていたためだろうか。

「ラーメンの方は国産の鶏と香味野菜などを使った濃厚なスープが売りの鶏麺が売り」(ブロガー)で、ラーメンに草の味がしたという報告もなかったが、前出の常連客によると「大麻入りラーメンのウワサが立ったのは、たぶん店主が以前に、よく大麻入りラーメンの話をしていたからでは」と話す。

「東京で大麻ラーメンを出す店があったとかで、その話題をすると店主が身を乗り出すようにして『作ることはできても売れないよね』とか言っていた」(同)

 大麻ラーメンは、都内のラーメン店で実際に販売されていたことがあった。しかし、大麻は大麻でも違法なものではなく、市販の調味料である麻の実が原料の「ヘンプシードパウダー」と「ヘンプシードオイル」が使われていたというだけのもの。当初、メニューの名前が嗜好品大麻の使用を思わせる「マリファナラーメン」と紛らわしいものになっており、東京都が調査に訪れたというほど。その店内には「大麻合法化祈願」などという張り紙がしてあったり、一部で物議を醸してもいた。

 あるグルメライターによると「変な食材を使っているかもしれないとかのウワサを流すのは、店側のPR工作だったりすることもある」というが、梶林被告のラーメン店でも、そういった“PR”はあったのだろうか。


「店が積極的にそんなウワサを流してるってことはなかったです。でも、不良っぽい客も多かった店なので、『あの店で食材の仕入れを装って大麻の売買がされてる』という都市伝説レベルのウワサがあったりした」(同)

 結局、ラーメンへの大麻混入はただのウワサにとどまっているが、利用客にとっては話に尾ヒレを付けたくなるものかもしれない。

 1970年代、殺人犯が死体を切断し「手首だけは指紋から身元がわかるから、屋台ラーメンのスープのダシに使った」と自供した事件があった。このときも利用客として心当たりのある人々の間では「手首ラーメン」説が広まったのだが、今回も“後味”の悪い話が蘇りそうだ。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

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