サッカーJ1リーグ・浦和レッズが、13年ぶりに開幕から4戦未勝利という不振にあえいでいる。Jリーグナンバーワンの年間予算を持ち、観客動員数は世界でもトップクラスを誇るにもかかわらず、である。



 しかし、この展開は予想できていた。さすがに開幕前の降格候補に名前が挙がることはなかったが(参照記事1)、昨季、「浦和というビッグクラブの監督が堀監督で良いのか?」とサッカーライターたちは指摘していた(参照記事2)。

 とはいえ、浦和がここまで低調なパフォーマンスで、なおかつ結果もついてこない事態に陥ると思っていた人は、まずいないだろう。いったい浦和に何が起きているのか? 幾人かのライターに取材すると、「元日本代表選手らも『このままだと浦和はヤバイ』と言っています」と教えてくれる。

 昨季、浦和はシーズン半ばから守備が崩壊し、勝利から見放されることに。そこでコーチから昇格したのが堀孝史監督だ。
そして、守備を立て直し、アジアチャンピオンズリーグ優勝という結果を残した。

「この時は、チーム自体が守備を改善しようという共通認識を持っており、結束して割り切ったカウンタースタイルを採用し、結果を残した。長丁場のリーグ戦とは違うトーナメント戦というレギュレーションもあったでしょう。ですが、近年の浦和は攻撃的なスタイルでリーグ戦の優勝争いに食い込み、そういったサッカーに合う選手を集めてもいた。その選手たちに合うサッカーを堀監督ができるのかというのが今季のポイントだったのですが、現時点ではできていない」(サッカーライター)

 サッカーは目まぐるしく攻守が変わるため、どちらのバランスも大事なのだが、相手にボールを持たせるのか、自分たちがボールを持つのかで戦術は変わってくる。ACLでは相手にボールを持たせて結果を得たが、今季のリーグでは今までと同様に自分たちがアクションを起こそうという意図も見える。
そのバランスがチグハグなため、チームはもちろん、選手個々のパフォーマンスも低調になり、サポーターの目には選手のやる気がないように映る。4戦未勝利という屈辱を喫してしまった横浜Fマリノス戦後、堀監督の愛弟子である山田直輝が「サッカーどうこうというより、気持ちの部分や考え方で、もっと変えなければいけないところがある」と、ピッチでの不協和音を匂わせたのが最たる例だろう。

「現在、日本代表戦があるため、リーグ戦は一時中断していますが、このタイミングで堀監督は決断しないといけない。ドラスティックに自分の考えるサッカーをできる選手をスターティングメンバーとして送り出すのか、主力の選手たちの能力に自分が合わせるのか。選手たちの試合後のコメントを聞いても、監督が選手に遠慮しているように感じます」(同)

 先日、浦和の淵田敬三社長は堀監督の続投という決断を下した。ならば、どう戦うか。
次に決断しなければいけないのは堀監督である。
(文=TV Journal編集部)