春休みの風物詩として毎年映画化され、佳作と駄作を繰り返してきた『ドラえもん』だが、今年は超佳作だったようだ。

 3月3日に全国381スクリーンで公開された『映画ドラえもん のび太の宝島』だが、オープニングの2日間で動員71万超人、興収8億4,300万円の首位発進。

その後も順調に客足を伸ばし、興収44.3億円を上げた前作を大幅に超える勢いだ。

「TBSドラマ『逃げ恥』でブレイクした星野源が主題歌を担当し、『君の名は。』(2016)をプロデュースして大ヒットに導いた川村元気氏が脚本を手掛けたことで、子どもだけでなく、大人の動員に結び付けた。公開前にスネ夫がLINEライブをするなど、宣伝の仕掛けがうまくいったのもヒットした要因でしょう。『ドラえもん』は2005年に声優が一新され、翌年から映画版は爆死続きだったのですが、時間と共に昔の声の印象が薄れ、今の声優陣に違和感がなくってきたのだと思います」(映画ライター)

 そんな国民的アニメであり、テレビ朝日の顔とも呼べる『ドラえもん』だが、最初は日本テレビ系で放送されていたことをご存じだろうか。

「1973年に放送され、“幻”とされる日本テレビ版ですが、今でも愛好家の間では語り継がれています」と言って、サブカル誌のライターが続ける。

テレ朝版に比べるとドラえもんの脚が長く、ネズミを怖がることが、やたらと強調されています。テレ朝版ではスネ夫の声を演じていた肝付兼太ジャイアンの声を演じているので、紛らわしい(笑)。ほかにも、原作初期に登場していた『ガチャ子』という鳥型ロボットがレギュラーとして登場するなど、テレ朝版とは異なる設定も多かった。原作者の藤子不二雄がアニメの出来栄えのひどさに激怒したため、『なかったこと』にされてしまったともいわれている。永井豪原作のロボットアニメ『マジンガーZ』(フジテレビ系)と放送時間がかぶり、視聴率は5%前後と苦戦していたようですが、日テレ版で知名度が全国に広がったことで、テレ朝版のヒットにつながり現在に至ります」

 映画が大ヒットした今だからこそ、“パラレルワールド”として日テレ版の『ドラえもん』も見てみたいものだが……。

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