10年ぶりに『THE OUTSIDER』へ電撃復帰することが決まった“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士記事参照)。4月28日の試合に向けた最終調整に入る前に、映画鑑賞で最後の息抜きをしてもらおう。

編集部からプレゼントされた『映画ドラえもん のび太の宝島』(監督=今井一暁/脚本=川村元気/原作=藤子・F・不二雄)のチケットを握りしめた瓜田夫妻が、チビッコだらけの映画館に入っていった――。

 鑑賞当日は日曜日ということもあって、場内は満員。その過半数が小学生以下の子どもという客層だ。

「この大切な時期に、くだらない映画を見せやがって!」と瓜田から怒られる展開も予想していたが、それはまったくの杞憂に終わった。映画が始まるや否や、瓜田の笑い声が場内にこだまし、終盤になると、瓜田は鼻をすすり出し、ティッシュで涙を拭き始めたのだ。

 この日、誰よりもこの映画を楽しんでいたのは瓜田かもしれない。
そう言えるほどの好感触。以下は、鑑賞後のインタビューである。

――いかがでしたか?

瓜田純士(以下、純士) いやぁ、めちゃくちゃ感動しました。

――序盤から純士さんが吹き出しまくっていたから、作品を小馬鹿にして笑っているのかと思いきや、そうじゃなかったようですね。

純士 懐かしさとかわいさで、もう笑いが止まらなくて。どのキャラが何をやってもおかしいし、愛しいんですよ。
お決まりのところでジャイアンが文句を言ったり、威張ったり自慢したりも面白いし、展開の強引さすら愛せてしまう。しかも作品全体としては昔と変わらず、愛と勇気と友情を教えてくれる。本当によくできた作品だと思いました。

――『ドラえもん』は、昔からよく見ていたんですか?

純士 子どもの頃から大好きで、テレビシリーズはもちろんのこと、映画もよく見てましたし、下敷きとかも持ってました。今日確信したんだけど、藤子作品って、絶対的な安心感を持って見れるところがいいですよね。たとえば『進撃の巨人』なんかは、見たことないけど、見るとなったら「大丈夫なのかな」と構えちゃうと思う。
でも藤子作品にはそういう心配が要らないんですよ。終始、笑いと感動にあふれてるじゃないですか。ちょっと誰かがいいこと言っただけで、すぐにグッときちゃいますよ。

――今回、グッときた場面は?

純士 ジャイアンの名言、聞きました? 正確なセリフまでは覚えてないけど、「おいフロック、おまえが弱音を吐くなんて、らしくないぞ」とかなんとか言ってたじゃないですか。ああいう男を見せなきゃいけない場面で立ち上がるジャイアンって、めちゃくちゃ格好いい。ジャイアンが男を売る場面にスネ夫が付き合わされるパターンが特に好きですね。
あと、しずかちゃんの根性にも感心しました。

――しずかちゃんの根性? そんな場面、ありましたっけ?

純士 海賊にさらわれたっていうのに、新しい環境にすぐさま馴染んで、厨房で明るく皿とか洗ってたじゃないですか。あの適応力と心臓の強さはすごいですよ。

――奥様は浮かない表情ですが、面白くなかったですか?

瓜田麗子(以下、麗子) めっちゃクオリティーが落ちたと思いました。昔の『ドラえもん』は、もっと内容が濃かったり細かかったりしたと思うんですよ……。

純士 自分が大人になったから、そう思うだけじゃない?

麗子 ちゃう、ちゃう。
全体的に、粗くて粗くて。

――どういう部分に粗さを感じましたか?

麗子 子どもがピコポコピコポコ、コンピュータみたいなのをイジってましたけど、タッチパネルの描写が粗くって、どういうキーになってるのかようわからんかったやないですか。あと、ドラえもんがウニョウニョしたゾーンの中に入っちゃって、「危ない!」って言うんやだけど、手を突っ込むのは大丈夫だったりして、あのウニョウニョの正体は一体なんなんやろ? ってのが結局ようわからんかったり。

純士 そういうのはね、藤子アニメに求めちゃダメなんだよ。ウニョウニョの中にいるドラえもんを助け出すとき、ポコって頭が出てきたシーンとか、もうかわいくてたまらなくて笑っちゃったけどなぁ。

麗子 まあそれはええともしても、『ミニオンズ』とか『ポケットモンスター』をパロってるようなシーンも多々あったやないですか。
いよいよネタがなくなったのかな、とも思ったわ。

純士 俺はその逆の見方で、「藤子、よくぞ新境地に切り込んだな」と高評価してるよ。今までと同じような繰り返しだと、さすがにファンも飽きるから、世界観を広げるべく、改革に出たんだと思う。洋物や流行り物を吸収した“新・藤子劇場”とでもいうのかな。アジアにとどまってた映画が世界に出るべく、そういう勝負に出たんでしょう。実際、今回の作品で『ドラえもん』は新しいファンを多くつかむと思うよ。

麗子 なんでもアリにもほどがあると思ったけどなぁ。

純士 いや、なんでもアリでいいんだよ。「そんなに便利なもんがあるならもっと早くに出せよ」という飛び道具も『ドラえもん』だから許される。特に今作は劇場版だから、尺の関係上、短縮展開もやむを得ないでしょ。

――テレビ版と劇場版で、内容は大きく異なるんですか?

純士 劇場版はもとから、家族でも楽しめるようなスペシャルな内容になってるんですよ。テレビ版の本来のアニメの殻を破った舞台設定や大仕掛けがあったり。こないだ家で見た作品では、西部劇風のシチュエーションで外国の女の子が「ノビ~タ」なんつってました。そういうのも劇場版ならではの面白さなんですよ。数年前の『STAND BY ME ドラえもん』あたりからは特に、子どもだけじゃなく大人も十分楽しめる内容になってきてると思います。

麗子 『STAND BY ME~』はめっちゃ感動したんやけどなぁ。それに比べると、今回のは特に絵のクオリティーがガタ落ちやったわ。

純士 『STAND BY ME~』は3DCGをゴリゴリに使った特殊な作品だから、絵が違うのは当たり前でしょ!

麗子 そうやったっけ? なんでそんなに詳しいん?(笑)

純士 好きだからに決まってるだろ!

――2005年以降、主要キャラの声優が変わりましたが、それについてはどう思いますか?

純士 まったく違和感ないですね。

――序盤はゲラゲラ笑っていた純士さんですが、終盤、泣いていましたよね。“泣きポイント”はズバリ、どこでしたか?

純士 急に背景が切り替わって、挿入歌(ここにいないあなたへ/星野源)が流れたところで泣いちゃった。ぶっちゃけ、ストーリーはあまり関係ない。挿入歌の力です。

――映画の雰囲気だけで泣いてしまう奥さんのことを、これまでさんざんバカにしてきた純士さんですが、今日はご自身も“雰囲気泣き”を?

純士 そうなんですよ(笑)。『ドラえもん』だけは毎回、雰囲気で泣いちゃう。

麗子 私の両脇に座ってた子どもと純士が、ずっと同じところで笑ってて、ほぼ同時に泣き始めたから、めっちゃウケたわ。

――今作は「父と子の関係」がテーマの一つでしたが、そのあたりはいかがでしたか?

純士 俺自身、父親との関係が特殊だったせいか、父子をテーマにした映画が好きで、シルベスタ・スタローンの『オーバー・ザ・トップ』とか、ヒュー・ジャックマンの『リアル・スティール』とか、代表的なのは結構見てるんですよ。ただ、さすがに目が肥えてるんで、そのテーマに関しては今回はそこまで来なかったかな。ゲストに寄せすぎな部分もあったんで。

――ゲストに寄せすぎ、とは?

純士 フロックと父親の関係で泣かせようとしてたじゃないですか。俺、身内贔屓なところがあるから、ドラえもん、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫といったゴールデンメンバーには愛着があって、そいつらが何かいいことをするとすぐに泣いちゃうんだけど、フロックなどの新しい面々には慣れてないから、そこまで感情移入できなかった。とはいえ、感動はしましたけどね。今回、父子のストーリーを見てて思ったのは、「俺はもう、子ども目線じゃないんだな」ってこと。なんやかんやで俺もアラフォーだから、すっかり父親の目線で作品の中の子どもたちを見てましたよ。そういう変化は感じたけども、物語の本質は変わらない。藤子先生の一番言いたいことは、今回もしっかり受け止めたつもりです。

――藤子先生の一番言いたいこと、とは?

純士 のび太って結局、「見てる人みんな」なんですよ。ヒーローに憧れてるけど、見た目も悪くて頭も悪くて意気地もなくて……っていう、多くの見てる人たちそのものなんです。藤子先生はきっと、ずっとそのことを意識して描いてたはず。その冴えないのび太がいつも最後、信じられない勇気を振り絞ったり愛を訴えたりして、ああいうゲスト的な外国人の奴らの心すら打つようなことをやってのけるというのが作品の肝でしょう。今回ものび太が映画の中で、立ち上がる勇気を見せてくれたので、大満足。百点満点です。

――ちなみに少年期の純士さんは、ドラえもんの登場人物でいうと、誰に近かったのでしょう?

純士 のび太ですね。

――てっきり、ジャイアンなのかと思っていましたが。

純士 同級生全員に対して「俺を呼び捨てにするな」と脅したりという、ジャイアン的な行動も確かにしてましたが、俺の内面は昔も今も、のび太なんですよ。

麗子 そやな。のび太を今日見て、改めて思ったわ。純士にソックリやなって。

純士 で、ウチの嫁は、ドラえもんなんですよ。俺、外ではめちゃくちゃ格好つけてるのに、家では嫁に甘えてばかりいますから。足の指をクローゼットにぶつけただけで「救急車を呼んでよ~」と泣きついたり。

麗子 ホンマ、のび太やわ~。でも、のび太と一緒で、純士もやるときはやんねんな。

純士 うん、やるときはやる。

 * * *

 4月28日の『THE OUTSIDER』で、「やるときはやる」瓜田の真価を見せてもらおうではないか。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

『映画ドラえもんのび太の宝島』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 60点
麗子 30点

【サイゾー presents『瓜田に勝ったら10万円』開催決定!】
大会名/THE OUTSIDER 実験リーグ
会場/新宿フェイス
開催日時/2018年4月28日(土)13:00開場 14:00試合開始予定
※対戦カード、チケット情報などの詳細はリングス公式サイト(http://www.rings.co.jp)でご確認ください。

※瓜田純士の人生相談「No problem」
https://kinngofoutlow.jimdo.com

※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
http://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/