女性器をひたすら撮り続けたカメラマンがいた!! 安藤政信主演『スティルライフオブメモリーズ』

女性器をひたすら撮り続けたカメラマンがいた!! 安藤政信主演『スティルライフオブメモリーズ』

 女性器は不思議だ。女性が脚を開いていると、どうしても気になってしまう。ベランダに咲いた花の匂いを嗅ぐように、思わず顔を近づけたくなってしまう。その日の天候や水加減によって花の咲き方が毎日少しずつ変わるように、女性器も少しずつ変化していく。日によって濡れ具合や開き方も微妙に変わってくる。もちろん、男女の関係も大きく左右する。そんな女性器の魅力に取り憑かれてしまった、ひとりの男がいた。安藤政信主演映画『スティルライフオブメモリーズ』は、女性器をひたすら撮影し続けたカメラマンの実話をヒントにした風変わりな物語だ。

 売り出し中のカメラマン・春馬(安藤政信)は奇妙な仕事の依頼を受ける。依頼人は美しく、知的な雰囲気をたたえた怜(永夏子)。彼女からの仕事の条件は2つ。春馬からは質問しないこと、そして撮影したフィルムはそのまま手渡すということ。週に一度、人里離れた廃墟寸前の別荘にて、春馬と怜の2人っきりでのフォトセッションが始まった。カメラを手にした春馬の前で、怜は下着を脱ぐ。怜は股間を指差し、ここを撮ってほしいと言う。初対面の怜からの突拍子もない注文に、春馬は面喰らってしまう。

 春馬が先日まで開いていた個展では、モノクロ写真として接写した植物がテーマとなっていた。春馬が撮った花のつぼみや花弁には気品が漂い、怜には写真から音が聞こえてくるように思えた。生と死が同価値のものとして同時存在する春馬の写真を気に入った怜は、自分も同じように撮ってほしいと考えたのだ。しばらくは戸惑っていた春馬だが、撮り進めていくうちに自分から怜の衣服を脱がせ、脚の開き方を指示するようになっていく。怜の女性器を接写しながら、春馬は新しいテーマを見つけたような高揚感を覚えていた。

 春馬が怜の女性器の撮影に熱中する一方、同棲中の恋人・夏生(松田リマ)と春馬との関係も続いていた。より若く、しなやかな肉体美を誇る夏生の若草のような陰毛に彩られた女性器は、怜のそれとはまた違うことに春馬は気づく。春馬がカメラマンとしての新しいテーマを見つけたことを喜ぶ夏生だが、自分以外の女性をモデルとしていることには複雑な心境だった。ある日、夏生は妊娠したことを春馬に告げる。夏生は絶対に産むという。春馬は不思議に思う。女性器の向こう側から、新しい生命が、自分の子どもが降臨するという事実に。長い長いトンネルを潜り、春馬は夏生と暮らす自宅と怜が待つ別荘とを往復することになる。

 本作のモチーフとなっているのは、フランスの画家・写真家アンリ・マッケローニの写真集『とある女性の性器官写真集百枚 ただし、二千枚より厳選したる』。マッケローニが2年間にわたって恋人の女性器を撮り続けたものだ。フランスでマッケローニが初めて写真展を開いた際は、婦人団体の抗議運動が起き、大変な騒ぎになったらしい。2016年にマッケローニは亡くなったが、今でも彼が情熱を注いだ写真集は、日本への輸入は禁じられたままとなっている。そんなマッケローニの逸話をもとに映画化したのは、R指定作品『ストロベリーショートケイクス』(06)や『不倫純愛』(11)などを手掛けた矢崎仁司監督。前作『無伴奏』(16)では成海璃子の初濡れ場が話題を呼んだが、池松壮亮と斎藤工との過激なラブシーンがより印象に残った。世間的にアンモラルとされる題材を扱うことで、本領を発揮する監督である。

 春馬が質問することを怜は禁じていたが、逆に怜は春馬に尋ねる。どうしてカメラマンになったのかと。春馬の答えはこうだ。若い頃に一枚の気に入った写真を見つけ、自分もその写真の中へ入っていきたいと思うようになったのだと。被写体と一体化するためにカメラマンになったのなら、今の春馬は怜の女性器の中へ入っていきたいということになる。むきだしの怜そのものと一体化したいということではないのか。

 春馬が撮影したフィルムを現像することを拒んでいた怜だったが、「フィルムは撮影しただけでは未完成なんだ」と春馬から懇願され、それまで撮り溜めていたフィルムを現像することに同意する。暗室の中、現像液にひたした印画紙から次第に怜の大切な部分が姿を現わし始める。写真の中の怜の女性器は一枚一枚が違った表情を見せていた。それは怜が女として生きている証しであり、怜と春馬の想いがひとつになった瞬間でもあった。

 女性器は不思議だ。ひとつひとつの花が色や形が異なるように、ひとりひとりの女性器もずいぶんと異なっている。女性器をずっと見つめていると、まるで女性器そのものがその人の中心であり、手足や頭は女性器に付随した部位であるように思えてくる。街を行き交う人たちは、女性も男性もみんな逆立ちをして、本当の顔を隠しながら歩いているかのようにすら思えてくる。女性器を見つめていると、やがて女性器は語り掛けてくる。彼女は何を伝えたがっているのだろうか。ただじっと見つめ、静かに会話するしかすべはない。
(文=長野辰次)

『スティルライフオブメモリーズ』
原作/四方田犬彦 脚本/朝西真砂、伊藤彰彦 監督/矢崎仁司
出演/安藤政信、永夏子、松田リマ、伊藤清美、ヴィヴィアン佐藤、有馬美里、和田光沙、四方田犬彦 
配給/「スティルライフオブメモリーズ」製作委員会 7月21日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次ロードショー
(c)2018 Plaisir/Film Babdit
http://stilllife-movie.com

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