前回のレビューで「NEWSのことが好きじゃないと見ていてつらいドラマ」と評した『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系)。7月22日放送の第2話では、その傾向に拍車がかかったように思う。
加藤扮する宇海零、通称“ゼロ”たちは、資産100兆を超える実業家・在全無量(梅沢富美男)の後継者を決める選抜ゲームの本選へと勝ち進む。会場「ドリームキングダム」には20以上のゲームがあり、どのゲームに参加するかは、本人の意思で決めることが可能。各ゲームをクリアするとリングを獲得でき、ゲームの難易度によって受け取るリングの数は異なる。最終的に、このリングを4つ集めた者が王になれるというルールである。
一挙にリングを2つゲットできる「マイルド」をあっさりクリアした標(佐藤龍我)とゼロ、在全は2人を名指しして「王になる可能性を感じる」と断言。そして、2人に直接対決を指示した。勝負場所として指定されたのは、「クォータージャンプ」なるゲームだ。
ゼロは顔全体を覆うマスクをかぶされた状態でエレベーターに乗せられ、手を引かれ、50メートル上空に誘われる。到着したのは、小さめの正方形の台。台から若干離れた向こう側には、4つのエリアがある。そのうち3方向にあるのは壁、すなわち「OUT」。
要するに、ゼロは覆面をかぶったままゲームに挑戦するわけだ。■顔だけで魅せる芝居を要求された加藤の演技力は?
このドラマの視聴者の大多数はNEWSファンであり、加藤が顔を隠したままで納得するわけがない。だから、カメラは覆面の中で思いを巡らせるゼロの表情をアップで捉え続けた。
役者としては、かなり難易度の高い状況だと思う。加藤の顔の周囲にあるのは、黒で覆い尽くされた闇。加藤の顔以外、画面上に余計なものは何ひとつない。だからこそ、彼に要求されるのは、表情のみで喜怒哀楽を表す高度なスキルだ。
単刀直入に言うと、加藤の芝居はまだまだだ。
逆に言うと、NEWSファンには目の保養だったはず。適宜、挟み込まれるアイドルの顔アップは、まさしくPVそのものだ。ただ、ジャニヲタではない視聴者からすると、正直、面食らう。あんなに加藤の顔を見続けたのは初めてである。■2週にわたって1ゲームを描く冗長さ
なんの手がかりもなくジャンプさせるほど、このゲームは無情じゃない。4方向の先には、ゼロと何かしらの関係性がある“声役”が立っている。「ゼロ、こっちが正解だ!」といった声を頼りに、ゼロは「SAFE」エリアを推測するのだ。
この“声役”の1人に抜擢されたのは、ゼロの高校の同級生・山口カズヤ(増田貴久)。原作版に登場した「山口」というキャラクターが、ドラマ版でも採用された形だ。2人の間には、こんなやりとりがあった。
山口「俺だ。山口カズヤだ!」
ゼロ「なんてえげつない人選なんだ……」
これ、冗談でもなんでもなく本当の話なのだが、気を付けていないと「カズヤ」が「達也」に聴こえてしまう。響きが似すぎている。山口達也の登場に「なんてえげつない人選なんだ……」と反応してるように妄想してしまうのだ。当然、スタッフも気が付いていたと思う。役名を変えるなりの対処をしてもよかったのでは?
ちなみに、山口とのくだりは今週で終わらなかった。「クォータージャンプ」は2週をまたぐ。
初回でも感じたが、このドラマはテンポが悪すぎる。せいぜい、1週につき1ゲームが適当だ。
原作版では、「ジャックルーム」と「迷宮のトライアングル」において、ゼロの聡明さが読者にしっかり伝わってきた。この2ゲームを飛ばした弊害がドラマ版にはあるように思う。
というのも、在全に注目されるほど、ドラマ版のゼロはまだ活躍していない。原作版を知らない視聴者からすると、ゼロはいまだ、ただの凡人。緊迫した状況、ギリギリのメンタルの中でこぼれ落ちる聡明さが、ドラマ版ではまだ描かれていない。だから、見どころが持ち越されっぱなしなのだ。ドラマの見どころがまだ出ていないということは、NEWSのPV代わりの域をまだ脱していないということになる。
原作ファンとしてドラマ版に欲しているのは、大きく3つ。「緊迫感」「テンポ」、そしてゼロ本人の「魅力」である。特に、緊迫感に欠けているのが痛い。まるで、ゲーム挑戦型のバラエティを見ている程度の熱量なのだ。
ただ、在全グループの幹部・後藤峰子を演じる小池栄子の芝居は光っている。彼女が孤軍奮闘している印象だ。
(文=寺西ジャジューカ)