近年、あまりの高額な返礼品競争に総務省が待ったをかけた「ふるさと納税」。ところが、なおも高額な返礼品をやめない市町村を総務省が公表したことで「ここに、ふるさと納税すればいい」と、注目が集まる事態になっている。
発端となったのは、今月初めに総務省が発表した、ふるさと納税に関する調査結果。この中で、総務省は「返礼割合3割超の返礼品及び地場産品以外の返礼品をいずれも送付している市区町村で、平成30年8月までに見直す意向がなく、平成29年度受入額が10億円以上の市区町村」を公表したのである。
早い話が、これは総務省の注意を聞かずに、高額な返礼品を続けて、寄付額を増やしている市町村のこと。つまり国民目線からは、返礼品が高額ならば、普通に住民税を支払うよりも、お得な市町村ということだ。
いったい、どんな返礼品を準備しているのか?
昨年、もっとも多い135.3億円を集めた大阪府泉佐野市は、かなり露骨だ。この市で充実しているのは、金券類。とりわけオトク感が強いのが格安航空会社Peachの航空券と引き換えができる「ふるさとへ帰ろう!Peachセット」だ。これ、1万円を寄付すると5,000円分。10万円を寄付すると5万円分のポイントがもらえる。
国内線のみならず、韓国・台湾・中国などにも路線を持つPeach。うまく使えば、住民税を減らして2回は海外旅行ができる美味しすぎる返礼品になっている。
27.4億円を集めた静岡県小山町にも、かなりお得な金券が。1万円を払うとリンガーハットグループの共通商品券8枚=4,000円分がもらえる。こちらも、かなりオトク度が高い。
こうした金券類と共に人気なのが、食材系。72.2億円を集めた佐賀県みやき町では、1万円でもらえる仔牛を産んでない国産牛スライス2キロ。さらに、九州産豚モモしゃぶしゃぶ用の場合だと1万円で4.3キロもらえるのである。豚肉4.3キロとか、しばらくは肉を買わなくてもよさそう。
昨年、総務省では高額な返礼品競争にストップをかけるために、各地の自治体に返礼は納税額の3割以下とするように通知。これに従った長野県の伊那市では、テレビや掃除機などの家電を取りやめたため、2016年に72億円だったふるさと納税の金額が4億円台まで減少。ところが「通知には強制力なし」と踏んだ市町村は、ここぞとばかりに高額返礼品を投入し、結果、増額となった。泉佐野市の場合、2017年は金券類以外にも返礼品数を増やし1,000品目以上にしているから、総務省の待ったの声は聞こえないフリをしたというわけだ。
国民の側にとっては、オトクな返礼品だが、ここまでコケにされた総務省がいつまでも見過ごすとは思えない。クレジットカードも使えるから、これぞと思った返礼品があれば、すぐに支払っておいたほうがいいだろう。
(文=昼間たかし)
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