『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』#28「誕生日も戦いで」
早見初美花/ルパンイエロー(工藤遥)の誕生日&パパ登場で、ちょいといい話が披露されつつも、ギャングラーとのバトルでは面白ギミック満載だった。
初美花が家を飛び出して以来、連絡を取っていなかったパパ(辰巳智秋)がビストロ「ジュレ」に乗り込んできた。
娘と似ても似つかない、デブ&ワイルド&短パン&アロハというお父さんに若干狼狽したが、美少女の親のルックスがモンスターっていうケース、意外とあるからねぇ……(りえママとか)。
娘を心配するパパの登場により、ルパンレンジャーの面々もちょっぴりウェットな気持ちになったようだ。
宵町透真/ルパンブルー(濱正悟)は、消された婚約者の父親とのエピソードを初美花に語り、夜野魁利/ルパンレッド(伊藤あさひ)は、親元を離れ健気にがんばっている初美花に思いを馳せ、パパに「イヤなことつらいこともたくさんあるけど、すっげえがんばってる。強いっすよ、アイツ」と伝えた。
「大事な人を取り戻す」という目的を達成するためにお互いを利用し合うというドライな関係だったルパンレンジャーたちだが、だいぶ「仲間」らしくなってきたようだ。
きっと今だったら「目的のためなら誰かが倒れても構わない」なんてことは言わないんじゃないだろうか。
それでいて、誕生日を祝い合うような関係性ではないからと遠慮したのか、ひとりプリンで自分の誕生日を祝おうとしていた初美花がけなげすぎるし、初美花に一晩の休暇を与え「一晩くらい家族サービスしてやれ」「俺らは今度、プリンで祝ってやるからさ」と言う魁利たちにも泣ける。
素敵な仲間じゃないの。
それにしても、食べ終わったプリンの容器を冷蔵庫に戻すって頭おかしいだろ、魁利! せめて捨てろよ!■老化能力をもっと活躍させてほしかった
今回のギャングラー怪人・リューグ・タマテバッコ(CV:塩屋浩三)は、なかなか面白い能力を持っていた。
「玉手箱」の名の通り、浴びたものを急速に老化させる煙を吐き出すのだ。
女子高生(中学生?)が煙を浴びて白髪のババアになっていた(セーラー服着用のまま)が、白髪だけど妙に肌つやがよく、おそらく30~40代くらいの役者が演じてると思われる。
ババアとしては若いけど、セーラー服を着ていることを考えると年寄り……という複雑な気持ちを抱かせてくれる、ショッキングな能力だ。
この能力をバンバン使って、みんながどんどん老化しちゃうのが見たい! と思っていたものの、女子高生の他には、ポーダマンが誤爆してジジイになっていただけで、せっかく見応えのある面白能力なのに見せ場が少なかったのが不満だ。
ルパレン、パトレンの誰かがジジイ、ババアになったりしたら、メチャクチャ面白い展開間違いナシなのに。
どうせギャングラーを倒したら元に戻るんだから、ババアになったつかさセンパイ(奥山かずさ)や、ジジイになった圭一郎(結木滉星)が見たかったよー!
「19歳の誕生日におばあちゃんになりたくないよ」
と初美花が言っていたように、誕生日→加齢→老化……という連想から登場した能力だとは思うのだが、せっかく見せ場を沢山作れそうな能力なんだから、初美花パパ登場回にかぶせずに、もっと時間をかけて老化エピソードを見せてくれてもよかったのでは。■マンションに住んでいる人の気持ちも考えてください!
今回はさらに、新・VSビークル&ルパンカイザーの新形態まで登場という盛り込みすぎっぷり。
怪盗ブーストで弓矢に変わる「マジックダイヤルファイター」も格好よかったが、ロボット「ルパンカイザーマジック」はかなりトリッキーな形態で笑った。
当初、片腕が棒の先に鉄球がついたような形になっていたので、この鉄球でぶん殴るストレートな物理攻撃系なのかと思いきや、鉄球がパカッと割れて、中からマジシャンの手が出てくるという謎ギミック。
名前の通りマジックを使って、いろいろとぶっ飛んだことができる形態なのだ。
今回は、周囲のマンションやビルに巨大なトランプを投げつけると、その建物がズルズル移動して、巨大なタンスが登場するというシュールにもほどがあるイリュージョンを見せてくれた。
特撮物における「建物」って、中で人々が生活を送っていることを完全に無視していると常々感じてはいたが、「ルパンカイザーマジック」のイリュージョンはそれにしてもヒドイ!
巨大な敵と戦う中で、周囲の建物に避けようのない被害が及んでしまうのは仕方ないにしても、面白半分でマンションにトランプを突き刺したり、移動させたり……マンション住人の気持ちをちょっとは考えろ状態だ。
ところで、この「マジックダイヤルファイター」は、第21話で手に入れたコレクション「石に変わる」をコグレ(温水洋一)に渡すのと引き替えに、高尾ノエル/エックス(元木聖也)が手に入れていた船型コレクションを改造したもの。
そうまでして手に入れ、自ら改造して作った「マジックダイヤルファイター」を、アッサリとルパレンに渡したことに、つかさは「ノエルは自分で作ったVSビークルを、なぜ自分で使わないんだ?」と疑問を呈していた。
まだ、ノエルには何か裏がありそうだ。
さて、次回は圭一郎が記憶喪失になる模様。
記憶喪失ネタは、長期連載のラブコメ漫画に一度は出てきがちなエピソード。
記憶がないのをいいことに、彼氏(彼女)との距離をグッと縮めてくれるケースが多いのだが、スーパー戦隊においてはどんな効果を発揮してくれるのか?
生真面目な圭一郎が記憶をなくして、おかしなことをやらかしてくれるのを期待!
(イラスト・文=北村ヂン)