今シーズン、17年ぶりの最下位に沈んだ阪神タイガース。チーム再建のためにも、10月25日に行われるドラフト会議での失敗は許されないが、これまでたまりにたまった“ツケ”により、見通しは暗い。

選手の育成がとにかくヘタなのだ。「30年来の阪神ファン」というベテランのスポーツライターが語る。

「阪神の高卒の選手でいえば、ここ20年間でまともに活躍した投手は藤川球児と井川慶ぐらい。藤浪晋太郎はデビューの年から連続して2ケタ勝利を上げましたが、金本政権の3年で7勝、3勝、5勝と、完全におかしくなってしまいました。野手はさらにひどく、1軍でバリバリに活躍した最後の高卒選手は、89年入団の新庄剛志になります。

 ホームランバッターを育てる能力も悲劇的にありません。
阪神の生え抜き選手で、最後に30本以上打ったのは、85年の掛布雅之と岡田彰布です。『20本以上』にハードルを下げても、ここ10年でクリアしたのは鳥谷敬(09年)と中谷将大(17年)の2人だけ。ホームランが出にくい甲子園が本拠地だとはいえ、いくらなんでも選手を育てるのがヘタすぎます」

 だからこそ、ドラフト会議は大切な場所。料理の腕に自信がないからこそ、“素材”に頼る必要があるが、高校球児の間にも悪評は伝わっているようだ。週刊誌のスポーツ担当記者は言う。

「今年のドラフトの目玉は、甲子園春夏連覇の偉業を達成した大阪桐蔭のレギュラーメンバーですが、阪神との相性は最悪です。
現在チームには岩田稔、藤浪、西田直斗と、同校OBの選手が3人いますが、いずれも順調とは言い難い。浅村栄斗、中村剛也、森友哉(いずれも西武)、中田翔(日本ハム)、平田良介(中日)らが主力として活躍しているのに比べると、伸び悩んでいる感は否めません。今年のドラフト候補の選手たちは、いずれも藤浪の甲子園春夏連覇を見て、大阪桐蔭を選んだ子たちです。そんな偉大な先輩を腐らせた阪神に良い印象を持てという方が無理な話です。

 熱狂的な阪神ファンは、活躍すれば神様のように扱いますが、少しでも不振が続くと容赦のない罵声を浴びせることでも知られています。地元で育った大阪桐蔭の選手たちは、その状況をつぶさに見ています。
一昔前なら、進む球団によって年俸や注目度が大きく違いましたが、今はもうそんなチーム格差はなくなりました。阪神自体は人気球団ですが、高校球児の間で阪神は間違いなく不人気です」

 金本知憲監督が最下位の責任を取って監督の座を退き、後任には矢野燿大2軍監督が昇格したが、矢野新監督は金本前監督と同じ“東北福祉大閥”。矢野監督は金本路線を踏襲するそうだが、結果が出なかった路線を踏襲する意味があるのかどうか……虎ファンのイライラは来年も続きそうだ。