11月4日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の第4話。前回の第3話はバイオレンスがふんだんの回で、今回は笑いあり涙ありの「今井回」だった。

原作を読んで完全なる“今井推し”になった筆者のような視聴者からすると、こんなにうれしいことはない。

■今井にかまってほしい三橋

 赤坂理子(清野菜名)にはフラれ、男子校で女子と縁のない青春を送ることに絶望する今井勝俊(太賀)。さらに、ナンパに失敗したところを三橋貴志賀来賢人)と伊藤真司(伊藤健太郎)に笑われ激しく落ち込むが、校門で待ち伏せしていた川崎明美(若月佑美)から突然告白を匂わせる呼び出しの手紙を渡される。明美と意気投合し、まさかのカップル成立!?

……といった内容のストーリー。今井が一人の女の物になろうとすると、「ちょっと待ったー!」と言わんばかりに多くの者から横やりが入るのが面白い。

 まずは、三橋。今井に彼女ができたことが許せず、今井と明美の関係に猛烈な嫉妬を見せた。そして、明美の前で唐突にバク転を見せて気を引こうと試みるのだ。ほかにも、後ろから今井にマンホールのフタを投げたり、わら人形を作って夜な夜な針で刺したり。しかし、我が世の春を謳歌する今井は、すべてを無効化する。

今井「そんな奴(三橋)もいたねえ。過去のことは、もう忘れたよ(笑)」

“過去のこと”扱いされた三橋は、地べたに手をついて茫然自失だ。



 原作にも、このくだりは存在する。

今井「奴にはいろいろヒドイ目に遭ったけど、過去のことさ……。どーでもいいよ」

 ショックを受けた三橋は、一人思い悩んだ。

「俺はそんな奴だったのか。女一人現れたくれーで過去の人になっちまうよーな、俺はそんな、チンケな奴だったのか。あんなにイジメてやったのに」(三橋)

 しまいには、学ランで顔を隠し、黒装束の男として今井の前に現れた三橋。今井のぶざまな姿を、女に見せつけてやろうと考えたのだ。

三橋 俺は悪者だ。身ぐるみはいでやるぜ。くくくく」

今井「三橋じゃねーか、何やってんだ。貧乏に耐えかねて、とーとー追いはぎか」

三橋「くくく、そうだ俺は三橋様だ。よくぞ見破ったな。
なんでーなんでー、過去のことなんて言ってくれちゃってよ。しっかり俺のこと覚えてんじゃねーか」

 今井が自分のことを覚えていてくれて喜ぶ三橋。

 伊藤も、今井に対する友情を見せた。明美が今井にアプローチしたのには理由がある。実は、明美には本命の彼氏・ジュンイチ(戸塚純貴)がいる。ジュンイチはヘタレで、開久の不良からカツアゲの標的にされていた。明美はジュンイチの頼みで今井に告白し、色仕掛けで利用しようと考えていたのだ。すべてを知った伊藤は、今井のためにキレた。

伊藤「今までいろんな悪りぃ奴と会ったが、テメエみてえにひでえ奴は初めてだぜ。やられたくなけりゃ、殴り返してこい」

 そんな伊藤を今井は制止する。そして、明美に優しさを貫いた。

今井「俺みたいな奴と遊んでくれてありがとよ。
素晴らしい青春の思い出ができたよ。楽しかったぜ」

 最終的に、今井は明美にフラれてしまった。慰めるのは舎弟の谷川安夫(矢本悠馬)だ。

谷川「でも、俺、なんかうれしいッス! 今井さんがデートしてる間、孤独すぎて死ぬかと思いました(笑)」

 なんだかんだ、みんなに愛される今井。もはや、アイドルのような存在である。

■原作版では報われる今井

 今回で、今井の好感度は爆上がりだ。明美とジュンイチに利用されていると知りながら、今井はカツアゲされるジュンイチを救いに行った。

明美「今井さん、なんで!? 私、あんなにひどいことしたのに、助けに来てくれるなんて……」

今井「そりゃ、ちょっとショックだったけどさ、慣れたもんなのさ、こういう結末は。それによ、女が困ってる時に助けるのは、男の役目さ」

 慣れてるのか、今井……。でも、切ないだけじゃない。ドラマ版で今井を好きになった人には、ぜひ原作も読んでほしい。マンガでは、元スケバンの美女・森川涼子(通称“バナナ女”)が今井に恋する乙女として登場する。

今井発信ではなく、涼子から矢印が向く関係性というのも、今井らしくなくてほほえましいのだ。というか、ドラマ版でも、いつかは涼子が登場してほしいと願うばかり。

 ちなみに今回、Twitterのトレンドワードランキングのトップ10に「今井さん」がランクインしている。三橋を下げ、今井をしっかりと主役扱いしたことが効いた。基本的には原作の筋を追いながら、ちゃんと今井を“みんなのアイドル”として描写してくれたのには感謝だ。

(文=寺西ジャジューカ)

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