どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。
今回は、雑誌・ネットメディアのタレントに対する「持ち上げぶり」について自己反省も含めて語ってみたい。
だが、桑子アナは有働アナとはまったくベクトルが違う。また、桑子アナは政治知識も薄く、有働アナほどの頭の回転もない。「かみ子アナ」と呼ばれるほど、かみ癖がある。『ブラタモリ』で注目されたが、ツッコミやボケも他の司会者ほどせず、ゆるくて安定感のあるタモリの横にいるから、彼女にもなんとなく「安心」を感じていただけである。
さらにメディアは、どうしても水ト麻美アナの次を探したいようだ。その「ポスト水ト」は、同局の尾崎里紗アナや岩本乃蒼アナなどと主張する識者もいた。
だが、尾崎アナは単に体形が似ているだけだ。もし、それで「ポスト」と言われるなら、本人にとってこれほど屈辱的なことはないだろう。
また岩本アナが、ポスト水トアナに推されているという記事の論拠は、昨年の『24時間テレビ』のチャリティーマラソンで、ブルゾンちえみに伴走していたことがキッカケだというが、その後、彼女は推されるどころか『スッキリ』の司会の座をその水トアナに取って代わられ、またもうひとつのレギュラーだった『火曜サプライズ』も今年9月に降板。今のレギュラーは『news zero』の1本のみである。
つまり、ポスト〇〇という記事は「希望的観測を(多分に)含む」ということに留意したほうがいいだろう。■持ち上げられすぎて沈んだ面々
さて、そんなメディアの持ち上げの犠牲者になったといえるのが吉岡里帆だ。彼女は2015年度下半期放送のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で脚光を浴びた。
そこでは、ヒロイン・あさ(波瑠)の信奉者となる「のぶちゃん」こと田村宜役を演じていたが、もし彼女が丸メガネをかけていなかったら、あそこまで人気が出ただろうか?
メガネは女性のかわいさを2割増しにする。アレでテレビ関係者は勘違いしてしまったようだ。だが、いまや彼女の主演作はどうだ。『きみが心に棲みついた』(TBS系)は全話平均7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系)は平均5.8%と、いずれもひとケタに終わっている。『ケンカツ』については、数ある出演オファーの中から、プロデューサーの熱心な説得で 彼女が自ら選んだという。この時代、生活保護というテーマにあえて踏み込んだ吉岡の心意気は買うが、それだけである。
そもそも今の彼女には、あの笑顔の裏に「野心」が見え隠れしている。それが現代劇だと、どうしても前面に出てしまう。時代劇ぐらいがちょうどいい。
甲子園がプロ野球選手の見本市のように、朝ドラは次のドラマスターの狩り場であるが、使い捨てられる墓場でもある。銀杏BOYZ峯田和伸は2017年度上半期の朝ドラ『ひよっこ』から『高嶺の花 』(日本テレビ系)に引き抜かれたが、「気持ち悪い」と叩かれた。同年度下半期の朝ドラ『わろてんか』のヒロイン・葵わかなは、『ブラックペアン』(TBS系)に早速起用され、新人看護師を演じていたが、たいして話題にならなかった。16年度下半期『べっぴんさん』ヒロインだった芳根京子も今や影が薄く、駅のコンビニNewDaysの看板で見かけるぐらいである。
つまり、NHKを出て民放で活躍するためには、見えない壁があるということだ。有働アナもそうである。適材適所という言葉があるように、NHKにいるからこそ輝く人材だった。「NHKなのに、ちょっとはみ出している」ということが人気の源だったのに。このままニュース畑にいても、草野満代や膳場貴子といった諸先輩のように埋もれていく気がする。思い切ってバラエティに専念したほうがよっぽどいい。■芸能事務所の異様なプッシュ
タレントを推すのはメディア側だけではない。芸能プロダクションも同様だ。
また12月4日、そんなオスカー恒例の晴れ着撮影会が行われ、岡田をはじめとして所属タレントが来年への抱負を語ったが、彼女以外の顔ぶれはといえば、宮本茉由、髙 橋ひかる、吉本実憂、小芝風花、是永瞳、玉田志織、井本彩花、川瀬莉子、藤田ニコル、本田望結という面々。
その中で、顔と名前が一致するのは何人いるだろうか? 岡田、藤田、本田 は良しとして、高橋・小芝 ぐらいがギリではないだろうか。
このうち宮本は『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)に、本田、小芝 、是永、井本はこれまでの『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(同)に出ている。つまり、いずれも米倉涼子のバーター。まだまだ先輩に頼らないとオファーが来ない、というのが現状である。
なぜそこまでメディア、プロダクションともに人気者を生み出そうと躍起になるのか? それは個人的な印象でしかないが、絶対的スターだったSMAPの不在が潜在的にあるのではないかと考える。その喪失感が、彼らをゴリ押しへと駆り立てるのではないか。
いずれにしても、「ポスト〇〇」だの「期待の新星」だの「ブレーク間近」といった記事を来年も目にするに違いない。本稿含めて。
(文=都築雄一郎)
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