歌手活動を休止中の西野カナが、自身30歳の誕生日に当たる3月18日に入籍した。祝福の声が上がる一方、相手の男性がかつて彼女の担当マネジャーだったことから、芸能関係者からは、「タレントという商品に手をつけた」とタブー視する声も上がっている。
タレントとマネジャーの結婚といえば、“演歌の女王”と呼ばれた八代亜紀やアグネス・チャンのほか、石川さゆり、沢田亜矢子、磯野貴理子(3人とも後に離婚)とこれまでも数知れない。
以前、筆者は新人女性歌手の新曲キャンペーンで、寒い冬の北海道に同行したことがあった。耳慣れない地名のスナックで歌を披露し、レコードを買ってもらうのだが、酔客相手だから、ほとんどが真剣には聴いてくれず、レコードも買ってくれない。そんな旅が1週間近く続いた。
やがて女性歌手も「どうしてこんなつらい目に遭ってまで、キャンペーンを続けなければならないの?」と落ち込んでくる。そこで、そばにいるマネジャーに優しくされたりすれば、恋愛感情も芽生えるものだろう。
歌手と同じように、女優も相談相手になってくれるマネジャーに心を許すことは多々あるのだろう。筆者に言わせれば、タレントとマネジャーの結婚より、事務所のオーナーやマネジャーたちが、己の立場を利用して所属タレントや歌手を私物化していることのほうが問題だ。
たとえば、コワモテで知られる大手プロの某社長が、これまでお気入りの所属タレントや歌手に次々と手をつけてきたのは、業界では知る人ぞ知る話だ。しかも、愛人関係になった女性が他の芸能人と深い関係になると、その仲を引き裂くだけでなく、相手タレントを潰しにかかる。
また、同じく大手プロに所属する某マネジャーは、自社のタレントだけでなく、業務提携した弱小事務所の女性タレントに対して、仕事と引き換えに、肉体関係を結ぶ。こちらも、その女性タレントがドラマで共演した俳優と恋愛関係に発展すると、俳優をテレビ界から干したことがあった。
ほかにも立場を利用したケースは日常茶飯事だが、メディア、とりわけスポーツ紙はこの手の話を知りながらも、長らく見て見ぬふりをしてきた。西野カナの結婚に際して、今さらしたり顔で“芸能界のタブー”などと言い募るのは、愚の骨頂。性欲に任せてタレントに手をつけることこそ、タブーだろう。
女性タレントの私物化を黙認している限り、芸能界のセクハラはなくならない。信頼の置けるマネジャーと結婚した西野カナが、幸せになることを願いたい。
(文=本多圭)