山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第4話が3日に放送され、平均視聴率7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。ゴールデンウィークの影響か、前回から1.4ポイントの下落となってしまいました。
(前回までのレビューはこちらから)
今回、サイエンス・メディカル対策室の牧野巴(菜々緒)が、寄生虫学者・紐倉哲(山下)のもとへ持ち込んだ案件は、“人を自殺させる病原体”の有無について。外務事務次官・源田創子(紫吹淳)宛てに、その病原体を娘の恵奈(吉川愛)に感染させるという脅迫状が届いたというのです。
実際、その脅迫状に記されている水原舞という女性が自殺し、菊池香織が自殺未遂、緒田貴成という男性が行方不明という状況に置かれているため、興味を抱いた紐倉は調査に協力することに。助手の高家春馬(濱田岳)を引き連れて香織の入院先を訪れたところ、屋上から飛び降りようとする香織を恵奈が必死に食い止める場面に出くわします。
その恵奈によれば、4人は幼少期に田舎で遊んだ接点があり、大学になって再会。恵奈が見つけてきた、セクメント・ジャパンという製薬会社が実施するSQ-61という非ステロイド性消炎鎮痛薬の治験のバイトに参加した後、自殺騒動が起こったというのです。さらに、母親への脅迫状は、事件を解決するために恵奈自身が書いたものであることも判明。
恵奈の話を聞いた紐倉は、高家を治験へと送り込んでデータを盗ませ、恵奈の友人たちが全員、ボルナ病ウイルスに感染していたことを突き止めます。このウイルスとSQ-61が結びつくことによって脳症が発症し、自殺未遂を起こしていたのです。また、ウイルスの感染源は、幼少期に度胸試しで侵入した馬小屋だったのですが、恵奈だけは馬を怖がって入らなかったために感染しませんでした。
紐倉と恵奈がその馬小屋へ向かったところ、昏睡状態の緒田を発見。医学部に在籍する緒田は、ボルナ病ウイルスとSQ-61の成分によって脳症が起きるのではないかと疑い、その調査の途中で倒れてしまったのでした。
この事態に責任を感じた恵奈は、衝動的に飛び降り自殺を図ろうとしてしまいます。そんな彼女に対して紐倉は、「感情の奴隷にはなるな」と諭しつつ、「感情があるから人間なんだ」との持論を展開し、「人間は笑顔になれる唯一の生物だ。だからもっと笑えばいい」と励まします。その後、香織と緒田は快方に向かい、一件落着。
今回に関しては、1時間があっという間、というのが率直な感想。ドラマの序盤、恵奈が牧場で過ごした幼少期の回想シーンが出た時点で、“人を自殺させる病原体”の正体についてはある程度の察しがついたのですが、紐倉がかつて助手を自殺に追い込んだのではないかという疑惑や、それに関連して失った右手の幻肢痛に苦しむシーンなどが随所に挿入されたため、まったく飽きることがありませんでした。
難しい専門用語をアニメーションを用いて伝える演出の工夫や、脚本のテンポの良さに加え、山下の演技が回を増すごとに良くなっている印象ですね。抑揚なくボソボソとしゃべるため、初回はまるでアンドロイドのようでしたけど、今回は恵奈を相手にまごついたことで、女の子が苦手だと発覚したり、その恵奈が自殺しそうになった時には熱い言葉で語りかけたりと、徐々に人間味あふれるキャラに変化しています。
その姿を見て、高家と牧野が驚く表情を浮かべたのも印象的でした。紐倉が変わってきたのは間違いなくこの2人の影響。特に高家はドSな命令に振り回されながらも、良き理解者になりつつあります。だからこそ、紐倉が過去に入谷という助手を自殺に追いやったかもしれないという疑惑が、2人の今後の関係性に強く影響してくることになりそうです。
その紐倉の過去について今のところ明らかになったのは、セクメント・ジャパンで働いていた入谷を引き抜き、CDC(アメリカ疫病予防管理センター)に入所させ、東南アジアの村で“危険な実験”を実施。その結果、アメリカ陸軍を敵に回すことになり、入谷を自殺に追い込み、その際に右手も失った? というものです。
紐倉はどうやら、東南アジアの村でエボラウイルスについて研究していたようですが、当時の事件を伝える新聞記事では“村が消えた”と表現されているのが気になるところ。次回、その過去と義手の謎が明らかになるということで、ますます見逃せない展開となっていきそうです。
(文=大羽鴨乃)