いまや「仲良し芸人ブーム」である。おぎやはぎさまぁ~ずサンドウィッチマンを筆頭に、家族ぐるみの付き合いがあるバナナマン、幼なじみのカミナリ、同居して風呂にも一緒に入るガンバレルーヤ、昨日あったことを報告し合うEXIT……。

ビジネスライクという言葉はどこへやら、プライベートでも親交のあるお笑いコンビが増えている。そんな中、昭和の香り漂うベテランコンビの真実に、世間は衝撃を受けた。おぼん・こぼん――。1965年、1度目の東京オリンピックの翌年に結成され、漫才ブームなどさまざまなお笑いの荒波を乗り越えて半世紀。2人の「お笑い道」に注目が集まっている。

 今の20~30代は聞いたことがほとんどないであろう、いかにも昭和のコンビという名前の2人が脚光を浴びたのは、今年2月27日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)。
芸人ドッキリでも数々の名シーンを生んできたキラーコンテンツ「解散ドッキリ」を浅草界隈のベテランコンビたちに仕掛けると、積み重ねた年月の分だけ切なさも増すのか検証したのだ。

 ところが、もともと「8年間プライベートでは一切口をきかない」というほどの不仲で知られた2人。案の定、仕掛け人のおぼんに解散を告げられたこぼんは、「辞めましょう。それでいいじゃん」と激怒。ドッキリとわかった後も「シャレになるドッキリとならへんドッキリがあるで」とこれまた、テレビカメラの前で本気のキレッぷりを見せた。

 芸能人に対する視聴者の興味はさまざまだ。
たとえば色恋沙汰。ウワサの2人は本当に付き合ってるのか? あの夫婦は仮面夫婦じゃないのか? 離婚危機に瀕しているのでは? などなど。あるいは犯罪絡み。昔の不祥事を引っ張り出したり、「クスリやってそう」といった臆測……。そして劣化。見た目が老けた、歌の音程が狂ってる、声が出なくなったなど。
そんな興味ランキングのベスト10には入ってくるのが、コンビやグループメンバーの不仲ではないだろうか?

 いまや人間関係が希薄であるため、人は他人が、特にテレビに出ている人が不仲だと余計、不安を覚えるのかもしれない。そんな世の中の潮流を受けて、仲良し芸人が主流を占めるようになった。

 もはや仲良しこそ善、不仲はダメと言わんばかりに「仲良し」が前面にうたわれるが、実はプライベートで仲が良いことはコンビのイメージアップにはつながるが、面白さとは本来別物。だが、むしろ面白さより、そちらが重視される時代になってしまった。

 そんな中で、2月の『水ダウ』に出た、おぼん・こぼんの、いくら不仲でもコンビを続けるという姿は新鮮だった。実際、この日のオンエアは世帯視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。
タイムシフト(録画)視聴率が2.6%。合計12.1%を記録した。その後、ネットに出回る動画で知った視聴者も多いだろう。

 そして今月3日、『水ダウ』は催眠術で2人を仲直りさせるというお節介 な企画を立ち上げ、再びドッキリを敢行。だが、安直すぎて視聴者に展開を見透かされたのか、数字は7.2%で終わっている。

 一方、劇場は、2人のウワサを聞きつけて連日大入りだとか。
さらになぜか今月1日、おぼんがユーチューバーデビュー。得意のトロンボーンの腕前を披露するなど、新展開を見せている。

 そんな2人にも、仲の良い時期はあった。舞台で着る衣装は必ずおそろいだったそうで、毎回打ち合わせをしていたが、いつしか「明日、これね」と言わなくなり 、「今はお互いバラバラ」だという。今後2人の関係が修復するかどうかは、ある意味、緊張が続く日韓関係よりも視聴者の注目を集めている。果たして、2人が再び仲良くなる日は訪れるのだろうか?

(文=都築雄一郎)

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