尾藤能暢

 サイゾー読者的には、アイドルグループ「BiS」や「BILLIE IDLE」としての活動でおなじみのファーストサマーウイカ。

 そんな彼女を最近、やたらとバラエティ番組で見かける。

関西弁の毒舌キャラで、思いっきりテレビタレント的に活躍している。いつの間に、そんなことになっていたのか!?

 さらに、今期のドラマ『凪のお暇』(TBS系)にも出演中ということで、ファーストサマーウイカはこのままテレビタレントになってしまうのか――。本人を直撃すると、意外と戦略的なキャラクター設定が明らかに!?

ハロプロ、スターダストは無理だけど、BiSならイケる!?

——最近、テレビで初めて知った人も多いと思うので、ざっくり、どういう経歴で今に至ったのか教えてください。

ウイカ 子どもの頃から活発な性格で、人見知りもなく、学芸会とかも積極的に中心になって参加するタイプでしたね。中学で吹奏楽、高校でバンドを始めて、ドラムをやっていたんですけど、ドラムってすごくフラストレーションがたまるんですよ。ライブで前に出られないから!

——そんなの最初からわかってるでしょ!

ウイカ ライブをやってみて、初めてそれに気がついて……。そこで、ドラマや映画にはほとんど興味がなかったんですが、自由に動き回れる役者さんっていいなって急に思い立って、「大阪 劇団」で検索して出てきた劇団に入って、関西を中心に5年くらい舞台役者をやっていました。それから「役者をやるなら一度くらいは東京に出てみたい」ということで、22歳の時に上京したんですよね。

——東京で、仕事は決まっていたんですか?

ウイカ ノープランで! 仕事も所属先もない状態で上京したら、Twitterでアイドルグループがメンバー募集しているというのを見かけて。それがBiSだったんですよ。上京して2週間後にはBiSに入ったので、突然アイドルとしての生活が始まった感じです。いつも行き当たりばったりの人生を送ってますね(笑)。

——「役者をやるなら」ということで東京に出てきたはずなのに、なぜアイドルに!?

ウイカ とにかく人前に立つことがやりたかったんです。そもそも、アイドルというものを知らなかったですからね。当時、一世風靡していたももクロさんすら知らなかったですから。

 BiSはすでにエイベックスでメジャーデビューしていたので、「舞台役者の卵」よりは明るい場所に行けるんじゃないかと。ビジュアルしかり年齢しかり、今からハロプロやスターダストには入れないだろうし、宝塚も国民的美少女コンテストも無理だけど、このグループだったら可能性あるかも! って(笑)。

——行き当たりばったりとは言いつつ、最低限のリサーチはするんですね「ここだったら……」みたいな。

ウイカ 昔からオーディションを受けるのが好きで、いろいろと知識はあったんですよ。全然受からなかったですけど。

——アイドルを知らなかったということですが、BiSってだいぶ特殊なアイドルじゃないですか。大丈夫だったんですか?

ウイカ そうですね。全裸MVを作ったり、血まみれになったり、客席にダイブしたり……。サイゾーさんに興味を持ってもらえるような破天荒なアイドルだったので、逆に性に合っていました。

普通のアイドルになりたかったとしたらイヤだったと思うんですけど、特にアイドルになりたかったわけじゃないので、全然オッケーでした。

ファーストサマーウイカ、関西弁毒舌でバラエティ界に新旋風も「すべては計算済み!?」
現在、『凪のお暇』(TBS系)にも出演中!

——BiSの解散後、BILLIE IDLEのメンバー として活動を始めるわけですが、そこで再びアイドルをやることになったきっかけは?

ウイカ 解散の時は24歳だったので、本当だったら女一本に絞るとかやっていかなきゃいけないところなんですけど、NIGOさん(BILLIE IDLEのプロデューサー)から「もう一回グループでやってみないか」と誘っていただいたので、面白そうだなと思って参加しました。

 BILLIE IDLEはステージの演出や作詞など、自分たちでやれることも増えていて、表現の場としてやりたいこともできるし、いい環境ですね。

——BiSが解散して、NIGOさんから声がかからなかったら、何をしようと考えていたんですか?

ウイカ ノープランです! まあ、BiSで横浜アリーナまで行ったという実績があるので、宣材資料を作って、どこかしらの事務所に営業をかけていたと思います。元アイドルの肩書を精いっぱい利用してやっていたんじゃないかな。「元アイドルのホステスみたいな(笑)。

ファーストサマーウイカ、関西弁毒舌でバラエティ界に新旋風も「すべては計算済み!?」
8月もバラエティ番組への出演が目白押し!

——今年の頭からテレビ番組でやたらと見かけるようになりましたけど、どうしてこんなことに!?

ウイカ きっかけは『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)のオーディションを受けたことです。それまで、映画やドラマのオーディションの話は来ていたんですけど、バラエティはこれが初めてだったんです。

——オーディションって、何をやるんですか?

ウイカ ディレクターさんやプロデューサーさんとか3人くらいいて、「ムカつく女のエピソード教えてください」みたいなことを聞かれるんですよ。それにひたすら答えていった感じですね。しゃべるのは比較的得意なんで、とりあえず目の前の人を笑わせたいと。ライブみたいな感覚です。

そしたらまさかの合格で! 本番は、司会がくりぃむしちゅーの上田さんだし、横に並ぶ女性タレントさんたちも、大久保佳代子さんやいとうあさこさんなど猛者ばっかりで。もちろん全員初対面ですから、緊張しましたね。

——でも、かなり爪痕を残してましたよね。それまでの活動とのイメージと、ちょっと違う雰囲気かなとも思ったんですが。

ウイカ キャラクターがあるほうがキャッチーじゃないですか。私が芸能人として憧れているのは、美輪明宏さん、叶姉妹さん、ROLLYさんと、みなさんはっきりしたキャラクターをお持ちなので、自分もそうなりたいなと思ってキャラ作りしていきました。こういう髪形してる女が関西弁でギャンギャン言ってたら、漫画のキャラクターにしやすそうかなと思って(笑)。

――なるほど……。

ウイカ これはアイドル活動で学んだことかもしれないですね。売れているアイドルさんって、漫画になっても成立するような、キャラクターが立っている人たちばっかりだから。緑色でボブだったらねむきゅん(夢眠ねむ)とか、金髪でショートカットなら(最上)もがちゃんとか。

——2~3ワードでパッと表現できるキャラクターということですね。

ウイカ そういうキャラになれたら売れやすいだろうなっていうのもあり、意図的にああいう感じにしています。さすがに、ここまでテレビに出られるようになるとは予想外でしたけどね(笑)。

——こういうキャラで「アイドル」という肩書があるのも、強みかもしれませんね。

ウイカ 確かに、それに助けられている部分も大きいですね。そういう後ろ盾がなくなった時に、本当の実力を試されると思っています。こんなブレーク状態は、いつか止まる時が来ますから。

——もうそこまで考えているんだ。冷静!

ウイカ 自分が使う側だったら、「飽きたら別の子に行けばいいや」って思いますから。そういう意味では、定番化したいなとは思っています。今は起爆剤、七味みたいな刺激物として番組に呼んでもらってますけど、将来的に、いて当たり前の存在になりたいというか。例えばYOUさん。違和感なく安心感がある、みたいな。

——毎回スゲー面白いこと言うわけじゃないけど、安定感ありますよね。

ウイカ それが定番化ってことですよね。

ファーストサマーウイカ、関西弁毒舌でバラエティ界に新旋風も「すべては計算済み!?」
N.E.R.D.の2017年のアルバム『No_One Ever Really Dies 』では「Secret Life Of Tigers」にコーラス参加するなど、実は歌手としてもすごい!

——今は、最初のキャラ設定がうまくハマっている状態ですが、今後のことを考えて少しずつシフトチェンジしていく 部分もあるんですか?

ウイカ 来年30歳になるので、今まで破天荒で通じていたことが「痛い」に変わる瞬間が来ると思うんですよ。下ネタとかも単に品がない感じになったり。それは、いろんな女性を見ていて思います。

今、TBSのドラマ『凪のお暇』に1話ごとに違う役で出演させていただいているんですが、ただのバカ、ただの下品な女だと思いきや「芝居もできるんだ」とか「歌もやってるんだ」とか、クリエイティブな面も知ってもらえたら、そのギャップで信頼度が上がるかなと思っています。

——これからBILLIE IDLEの全国15カ所ツアーも始まりますね。

ウイカ 主要都市だけのツアーでは行けないところにも行きます。今、バラエティで注目してもらっているおかげで、地方での知名度も多少は上がっていると思うので、ぜひこの機会に!

——「もうドラマ優先なんで、ライブには出ません」となるかもしれないですしね。

ウイカ BILLIE IDLEは、本当にいい音楽をやっているので。「ファーストサマーウイカって聞いたことある」という好奇心で来てもらいたいです。BILLIE IDLEのファーストサマーウイカが一番イケてると思いますよ! 私のライフワーク、生活の中心にある活動なので、見てもらいたいですね。


(取材・文=北村ヂン)

●BILLIE IDLE(ビリー・アイドル)
ファーストサマーウイカ、ヒラノノゾミ、モモセモモ、アキラ、プー・ルイの5人からなるガールズユニット。NIGOプロデュースにより「ネオ80’s」をテーマにしたサウンドとビジュアルイメージで、2015年4月に1stアルバム『IDLE GOSSIP』 でCDデビュー。7月28日、赤坂BLITZを皮切りに全国15カ所でツアー開催中。
https://www.billieidle.com/

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