一方の共同通信は、このオフレコ朝食会にちゃっかり出席していたのだが、怒らせたのは、柿崎氏の方だという。政治部記者が続ける。
「柿崎さんの補佐官就任をめぐって、共同通信が加盟新聞社に経緯を説明する文書を出したんです。9月30日に文書の存在をすっぱ抜いた『週刊文春』によれば、柿崎さんは9月8日に告示された自民党総裁選の最中に菅さんから補佐官就任の打診を受け、9月16日付で退職願を提出しています。それまで、論説副委員長として加盟新聞社への論説記事などを執筆していた。菅さんから補佐官就任の打診を受けながら、論説記事を執筆していたとすると、記者の立場を利用して菅さんに有利な方向へ世論を誘導していた可能性も否定できない。そこで共同通信は、柿崎さんがこの数カ月間に執筆した記事について調査を行い、結果として問題はなかったと結論づけています」
要するに、報道機関の権力監視という役目も担うはずにも関わらず、柿崎氏は共同通信の名を使って菅氏を利するような記事を執筆したのではないかと危ぶみ、社内調査を実施したというわけだ。これが、「古巣からあらぬ疑いを掛けられた」と柿崎氏を激怒させたと前出・政治部記者は見ている。
なるほど、共同通信社内における記者活動に限ってみれば、調査結果の通りなのだろう。ところが、共同通信の名を語って菅氏に有利な報道を行った事実は、確かに存在する。
自民党総裁選を控えた8月31日付けの「文春オンライン」をみると、次期首相にふさわしい「ポスト安倍候補」を採点するという触れ込みで、柿崎氏のインタビュー記事が掲載されている。採点は5点満点で行われ、菅氏を4点と評してトップに位置付け、有力候補の石破茂氏は3.5点と次点に置き、同じく有力候補だった岸田文雄氏に至っては採点不能と評価して落第点にしてしまった。
菅氏が次期首相にふさわしいという世論を誘導しかねない露骨な採点記事。柿崎氏はこの記事の中で「共同通信社論説副委員長兼編集委員」という肩書で登場していたが、明らかに、大手メディアの肩書を利用していたといっても過言ではないだろう。
我が身を捧げた政治家のためなら、所属する大手メディアの保つべき「中立・公正」の立場をけがしてもヨイショ記事を書いた柿崎氏。新たに手にした首相補佐官の権限をフルに使い、メディア対策に腐心する姿が目に浮かぶのだが……。
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