ドラマ公式サイトより

 オダギリジョーが出演・演出・脚本・編集を手掛けたNHKドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』が話題沸騰となっている。NHKらしからぬぶっ飛んだ内容でコアな視聴者をつかみ、続編や映画化を希望する声が殺到しているのだ。

 同作はオダギリが温めてきたオリジナル企画を基に制作され、9月17日から土曜のNHK総合「ドラマ10」枠で全3話が放送された。

 ストーリーは、池松壮亮が演じる主人公の警察官・青葉一平と相棒の警察犬・オリバーが次々と発生する不可解な事件に挑んでいくという警察モノなのだが、オリバーを演じているのは着ぐるみ姿のオダギリだ。オリバーは主人公と視聴者にだけ、着ぐるみ姿の「スケベなおじさん」に見えるという設定になっている。

 おふざけドラマのようにも思える設定だが、キャストはメインどころだけでも麻生久美子、本田翼、岡山天音、國村隼、永瀬正敏、松重豊、橋爪功、永山瑛太、佐藤浩市、柄本明、染谷将太、仲野太賀など、大河ドラマ級の豪華さ。彼らが演じるのはクセが強すぎる人物ばかりで、特に柄本が演じたホームレスは重要な秘密を知っていそうなのに、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で話題になった「ミスター押忍」こと和田和三氏よろしく、ほぼ「押忍」しか言わない強烈キャラで視聴者にインパクトを残した。

 さらに、カメオ出演的なチョイ役にも、オダギリの妻である香椎由宇を始め、鈴木慶一、細野晴臣、火野正平、坂井真紀らが登場。

たった3話のドラマということを考えれば、普通ならキャストのギャラだけでとっくに予算オーバーだ。

 物語の軸となるのは、11年前に失踪した少女の遺体が見つかった事件。1話、2話とその謎が描かれ、10月1日に放送された最終話ではそれと並行し、拉致された一平の同僚・ユキナ(本田)の救出ミッションが展開された。
 
 物語は半グレ集団とヤクザ組織の対決に突入したが、まさかのラップバトルに発展し、さらに現場に駆け付けた警察官たちも交えてのダンスシーンへ。キーマンだった人物の死や染谷将太が演じる眉毛のつながった謎の男の登場など、最終回でありながらカオス度が増していくだけの状況となり、謎を残したまま意味深に終了した。

「NHKドラマとは思えないほどのシュールな設定や展開で、一平の先輩・漆原(麻生久美子)が暇さえあれば前髪を切ってどんどん短くしてしまったり、ユキナを探す過程で『そろそろわからないとオンエアにハマりませんし』とメタな台詞があったり、松重が演じるコワモテのヤクザがタンメンをすすってモノローグで感想を語るという『孤独のグルメ』(テレビ東京系)のパロディがあったりと、ツッコミどころ満載でした。

映画『ツイン・ピークス』を始めとした名作オマージュも多く、元ネタを議論したくなる作品というのも、盛り上がった要因の一つでしょう。オールスターキャストともいえる豪華な出演者をそろえ、やりたい放題やってしまったことで、ネット上で『カオスすぎる』『伝説のカルトドラマになりそう』などと大反響となっています」(ドラマウォッチャー)

 事件の謎がはっきりと解明されないまま終わったこともあり、視聴者からは「続編希望」「映画化を!」といった声が続出している。

 放送終了後、オダギリも番組の公式Instagramに掲載された動画で「ご意見や感想があると思いますが、ここにコメントを送ってください。すべて目を通して、もしかしたら次に生かせるようなことにできればと思います」と、続編に前向きとも思える発言をしている。

「反響の大きさを見る限り、続編はもちろん期待できるでしょう。豪華キャストの大半はオダギリさんの人望によって集まったのでしょうし、NHKとしてもキャスティング交渉を任せられるのはありがたいのではないでしょうか」(前出)

 さらに、映画化も十分にあり得るようだ。

「最近は『スパイの妻』や『太陽の子』、『心の傷を癒すということ』といったNHKドラマの映画化が相次いでいます。今作と同じ『ドラマ10』枠に限っても、『ハゲタカ』や『セカンドバージン』など、ドラマの続編が映画で制作された前例がある。ただ、全3話だったのでいきなり映画化は難しいでしょうから、次があるとしたらまず続編シリーズを制作する可能性が高いのでは」(前出)

 また、オダギリは番組公式Instagramの動画で「3話で撮影に1日半、練習を含めると5日間かけた10分ほどのアクションシーンをばっさりカットしたのは(役者やスタッフに)本当にひどいことをした」と吹き出ししつつ謝罪。「皆さんの苦労が詰まったロングバージョンをどこかで披露したい」と語り、いわゆる「完全版」の放送にも言及している。

 3話限りにするのはもったいない『オリバーな犬』の大反響。はたして、ファンの熱い期待に応え、続編、映画化、完全版といった展開はあるのだろうか。