『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ)公式サイトより

 3月20日放送の『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ)に、TOKIO城島茂がゲスト出演した。

 これは、民放BS5局(BS日テレ、BS朝日、BS‐TBS、BSテレ東、BSフジ)が局の垣根を超えて共同制作する特別企画の一環。

今年、同企画がコラボしたのはTOKIOだった。流れとしては、BS各局が誇る人気番組がTOKIOのメンバー1人に出演を打診。オファーを受けた側のTOKIOがその中から出演番組を選ぶというシステムである。

 BSフジ……というよりBS屈指の人気番組『脳ベルSHOW』も、TOKIOに出演をオファーした。注目は番組が3人の内の誰を選ぶかだが、これはもう1択だろう。MCのますだおかだ岡田圭右がVTRでラブコールを送った。

岡田   「私、ある方が他人とは思えない。非常に親近感があるし、私と何か近い。リーダーの城島さん、なんと私と誕生日が一緒! ア~ンド、血液型も一緒」
川野アナ 「11月17日生まれ。そして、血液型が?」
岡田   「スコーピオン! さそり座です」
川野アナ 「それ、星座ですよね(笑)。血液型は?」
岡田   「……」

 誕生日が一緒なら、星座が同じなのは当たり前である。それはともかく、51歳の城島なら「出場資格:40歳以上」の『脳ベルSHOW』は適正年齢だ。

それどころか、この番組に出れば彼はまだ若手の部類。というわけで、城島は『脳ベルSHOW』スタッフと打ち合わせをした。

城島   「やはり、出させていただくからには爪痕残さなきゃなと思うんですけど、何かいい方法ありますかね?」
スタッフ 「対策っていう部分で言うと、正直、結構同じ問題を何回か出してるんですね。過去問といいますか、番組を1回でも2回でもご覧いただければ、それが対策につながるかなと」

 同じ問題をリサイクルしていると、言ってはいけないことを暴露するスタッフ。まあ、月~金で毎日放送する番組だし、それはもう仕方がない。さらに、衝撃の告白があった。

城島   「収録時間って結構長いんですか?」
スタッフ 「レギュラーに関して言うと、毎週月曜日に月~金曜日分の5本撮り。11時に1本目が回りだして、終わるのは21時くらいですね」
城島   「じゃあ岡田さん、あのテンションでずっと行ってはるんですか? それはスゴいですね……」
スタッフ 「実は、5本撮った後にあのVTRを撮ってたんですよ。だから、もうワケがわからなくなって、いきなりあの『スコーピオン!』っていうのが」
城島   「11~21時からの『スコーピオン!』。いやあ、勉強になります、それは」

「月曜に5本撮り」という事実は番組内でもネタにされていたが、10時間かかっているとは初耳だった。恐るべし。岡田は偉大な司会者である。

70代のしげるたちを向こうに爪痕を残す城島茂

 今回の「脳ベルSHOW」は、“しげるスペシャル”だった。回答者は以下の4人だ。

・城島茂(51)タレント・ミュージシャン……TOKIOリーダー。初出演。
・梶原しげる(71)アナウンサー・ナレーター……1991年まで文化放送に所属。3年半ぶり2回目の出演
斉木しげる(72)俳優……シティボーイズ。5カ月ぶり2回目の出演。
泉谷しげる(73)歌手……アルバム『泉谷しげる登場』でデビュー。2年11カ月ぶり4回目の出演。

 よくこれだけ、しげるが集まったものだ。シゲルジョウシマ、シゲルカジワラ、シゲルサイキ、シゲルイズミヤが集結。「女だらけの水泳大会」は聞いたことがあるが、今回は「しげるだらけの脳トレクイズ対決」。“しげる縛り”というか“しげるオールスター”というか。

もちろん城島は最年少で、他のしげるはみんな70代である。ちなみに、司会の岡田は城島の2歳上の53歳。さらに言えば、斉木も11月18日生まれのスコーピオンだ。

 でもみんな、なぜしげるなのか? 

梶原 「(生まれた)当時の総理大臣が吉田茂っていう人だったんで」
城島 「僕も吉田茂が当時の総理大臣って、親からは伺ってます」
泉谷 「(由来は)吉田茂です。『末は博士か大臣か』って時代だったからね」

 4人のしげるのうち、3人が吉田茂由来だそう。驚くべき、吉田茂率の高さだ。というか、「当時の総理大臣だった」って城島は一体何歳なのか?

 まず、第1問は「フラッシュ小銭」である。画面に映し出される小銭の合計金額を瞬時に答えるクイズだ。最初の回答者は城島で、画面には100円玉1枚と50円玉1枚と10円玉2枚と5円玉1枚と1円玉1枚が映し出された。

川野アナ 「さあ、いくらでしょうか」
城島   「……あ、僕ですか?」
岡田   「ちょっ、リーダー!」

 いきなり爪痕を残す城島。残り時間2秒になるまで無言を貫き、極めて『脳ベルSHOW』向きのポンコツだと番組ファンに確信させた。

 続いて、なぞかけの「その心は~」の部分を当てるクイズ「SPなぞかけ」に登場したのは、大ベテランの芸人・東京ボーイズだった。

なぞかけといえばねずっちを期待する向きもあるたろうが、今回はゲストが城島である。TOKIOだけに東京ボーイズが招かれたのだろう。さて、具体的にどういうクイズなのか? まず、例としてこんななぞかけが披露された。

加山雄三とかけて卵の白身と解く その心は君(黄身)といつまでも」

 この「その心は~」に続く言葉を当てる、という形式だ。というか、加山雄三のなぞかけがさすがうまい。彼らの芸に感嘆していたら、ボーイズの菅六郎師匠がいきなり「喧嘩600戦無敗」という経歴を自称し始めた。なぜ、『脳ベルSHOW』でいきなりヒクソン・グレイシーみたいなことを言い出すのか? それどころか、ヒクソンは「400戦無敗」なので師匠はグレイシー越えである。

岡田 「それ(戦績)は、小っちゃい頃から?」
菅  「負ける相手とはしないっていう」
岡田 「うまいこと言いますね」

「負ける相手とは闘わない」と、今度は宮本武蔵みたいなことを言い出した菅師匠。とにかく、回答者4人に出題されたのは以下のなぞかけだった。

「城島茂とかけて新潟県の鳥と解く その心はどちらも●●●大事にしています」

 もう、「鳥」と出ている時点でサービス問題だ。正解は「トキを(TOKIO)」だった。これは全員正解でしょう! ……と思っていたら、泉谷が「しらさぎ」と理解に苦しむ誤答を出し、恥ずかしさから回答者席を破壊し始めたから、いよいよ異常事態である。

 泉谷だけでなく、番組そのものが異常事態になってきた。クイズ「名曲ハミング」に登場したのは、両者ともに御年84歳のこまどり姉妹(姉・並木栄子、妹・並木葉子)だ。2人が鼻歌でハミングしているのは何の曲か? を当てるクイズである。

 問題が始まると、なぜか平尾昌晃みたいな手付きで耳にヘッドフォンを当てた2人が、鼻歌で何かを歌っている。

「ちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん、ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃんちゃん」

 何もわからない。ちゃんちゃん言ってるだけで、とても曲名までたどりつけそうにないのだ。ひどい超難問クイズである(正解は、少年隊「仮面舞踏会」)。ちなみに、こまどりは城島にこんな印象を持っているそう。

――城島さんってご存知ですか?
葉子 「見てはいるんですけども、顔と名前が一致しなかったんで」
――TOKIOはご存知ですか?
葉子 「TOKIOさんは見てます」
――誰が1番好きでした?
葉子 「そうね、TOKIOさんのときは私たち忙しかったんでね?」
栄子 「そうそう」
葉子 「あんまり、名前は存じてないんですけどね。顔は見てますけど」

「TOKIOだった頃、私たちは忙しかった」の意味がわからない。しかし、こまどりが元気ならそれでいい。今や、2人の生存確認とも化した『脳ベルSHOW』出演だった。

 記憶力を問う「名曲振り付け」は、映し出されるダンスが何の曲かを当てるクイズ。ここで登場したのはKABA.ちゃんで、彼女が踊ったのはピンク・レディー「渚のシンドバッド」だった。踊りのキレは、やっぱりスゴい。さすが、振り付け師だ。何しろ、上京前は2歳下の近所の女性と“博多のピンク・レディー”を名乗り活動していたらしいのだから。

「私が“博多のミー”で、相手の女の子が“博多のケイ”。で、2人でピンク・レディーとしてやってたんだけど、ある日、ケイちゃんのお母さんとうちのお父さんが浮気しちゃって、うちの両親離婚しちゃいました。実話なんです」(KABA.ちゃん)

 クイズよりもエピソードが強すぎる。唐突に重い実話をぶっ込むKABA.ちゃん。切ないエピソードだし、これをカットしないのが『脳ベルSHOW』クオリティだ。高齢者向けの脳活性化番組と見せかけ、ガッツリのバラエティ番組である。

ますだおかだ・岡田圭右に改めてリスペクト

 実は、まだしげるがいる。クイズ「SPヒット歌謡」に登場したのは、松崎しげるだった。しげるにこだわる今夜の『脳ベルSHOW』が放つ“追いしげる”である。まさに、しげるのバーゲンセール。5人目のしげるは、芸能界一濃いしげるだった。そんな松崎が歌ったのは、名曲「愛のメモリー」だ。これには、全しげるが総立ち!

ところで、松崎はなぜしげるなのか?

「僕は昭和24年生まれでもう72歳になるんですけど、うちの親父の憧れの吉田茂さんから」(松崎)

 松崎家のしげるも、由来が吉田茂なのか! 5人のしげるのうち、4人のルーツが吉田茂だった。偶然とはいえスゴい。

 それにしても、しげるだらけで混乱する。ついには、早押し問題で斉木が回答権を得ると「はい、しげるさん!」と岡田が反応する始末だ。全員、しげるなのに。「あ、みんなしげるや。ごめんなさい」と訂正した岡田が疲れている。

 というわけで、栄えある“しげるスペシャル”の優勝は斉木しげるに輝いた。ただ、いつもの『脳ベルSHOW』かと思うほど城島の存在に違和感はなかったし、今回は彼の出演で正解だったと思う。いい意味で、普段通りの面白さだった。ぜひ、レギュラー回のほうにも出てほしいと思う。

 ただ、この中身の濃さにはさすがの城島も消耗した模様。グダグダに見せかけ、実は構成がしっかりした『脳ベルSHOW』である。収録後、城島は激しくぐったりしていた。

24時間テレビのエンディングぐらいな気持ちです。走りきったな、というくらいの」(城島)

 1度の収録で24時間テレビと同等の疲労度があると評した城島。そう考えると、やはり注目はMC・岡田だ。城島は1本でこれなのに、岡田は一日に5本分も撮り溜めしているのだ。冷静に考えると、尊敬に値する。岡田は本当によくやっている。53歳にして体力は無尽蔵か? 

城島 「僕は今日、SPで1本やと。いつも、違うんですよね?」
岡田 「レギュラーは月曜から金曜のこういう感じを5本撮ってます、すいません」
城島 「で、その後の『スコーピオン!』?」
岡田 「その後の『スコーピオン!』。そうなんです、あの間違いは5本撮った後の疲れで、『スコーピオン!』をワケわからんタイミングでやって」

 岡田1人にかかる負担がえげつなさすぎる。でも、代わる代わるやって来るパネラー陣を岡田以外が回せるとも思えない。コロナ陽性で彼が不在だったとき、代役を立てず名場面集で乗り切った番組の判断は正しかった。『クイズ!脳ベルSHOW』で見る岡田圭右の腕は、地上波の明石家さんま並みである。

“しげるスペシャル”の最後は、同じ誕生日で同じ血液型(B型)の2人によるWスコーピオンで幕を閉じた。

「せ~の、スコーピオン! ……リーダー、本当ごめんなさい(笑)。以上でございます」(岡田)

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