ドラマ公式Instagramより

 高橋一生主演のTBS金曜ドラマ『インビジブル』に、早くも不安の声が上がっている。

 同ドラマは、刑事と”犯罪コーディネーター”が異色のバディを組むという作品。

主人公の志村貴文(高橋一生)は元捜査一課で、現在は警視庁特命捜査対策班に所属する刑事。3年前に後輩刑事が殺された通り魔事件の犯人を今も追っており、逮捕のためなら過激な行動にも出る警察の異端分子だ。対して、志村の前に突如姿を見せた謎の女性・キリコ(柴咲コウ)は、警察内でも都市伝説的に囁かれるなど正体不明の存在だったがゆえに「インビジブル」と呼ばれる、さまざまな凶悪事件の裏を知る犯罪コーディネーター。警察側の代表として志村を指名し、未解決事件の犯人逮捕に協力すると言い出すキリコは、終始険しい表情の志村とは真逆にいつも掴みどころのない微笑みを浮かべているミステリアスな役どころだ。

 4月15日に放送された第1話は、概ね好評だったといえる。しかし、とある場面が賛否を呼んでいる。

ゲスト出演したDAIGOが演じたキャラクターの登場シーンだ。

 第1話は、渋谷で起こった爆発事件の容疑者である通称「花火師」を追う物語でもあったが、DAIGOが演じたのは、優秀なハッカーで、かつて花火師と恋人関係にあったという男・ラビアンローズだ。花火師の居場所を突き止めるべく、キリコは志村を伴って男性ばかりのいる屋外サウナ施設に向かったのだが、サウナ小屋から中から顔をのぞかせ、「誰よぉ、せっかくもうちょっとで”ととのう”ところだったのにぃ!」と言って飛び出したローズに“不意打ち”を受けた視聴者は多かったよう。「DAIGOさん、オネエ役やってるんだけどw」「急にDAIGOが出てきて腹筋死んだw」「DAIGOの役が濃すぎて吹いた」など、サウナハットを被った”オネエキャラ”という強いインパクトで笑いを誘っていた。

 緊迫したストーリーが続く『インビジブル』の中で、数少ない息抜き的なシーンではあったが、この「ゲイ=オネエキャラ」という安易なキャラクター設定に批判も出ている。「あの設定必要だった? なんかもう本当に前時代的なんだよ。

ゲイが全員ああいう言葉で喋ると思うなよ」 「DAIGOさんが演じたキャラクターの描写にガッカリしてきちゃって、続き見るの迷うわぁ。ストーリーが悪いとは言わないけど、ああいう意識の作り手の作品は受け入れたくない」といった声だ。

 オネエ口調だけでなく、志村を見て「あら……」と口元を手で覆いながら嬉しそうな表情を浮かべたり、タオルで胸元を隠すしぐさなど、ゲイのステレオタイプ(多くの人に浸透する固定概念)をなぞったような設定は偏見の増長につながるものだ。性的マイノリティへの配慮が強く叫ばれる昨今にある中で、ローズという役はコメディ要素を足すためだけにステレオタイプ的な表現で作られたという印象は避けられない。そもそもTBSドラマではここ最近、『半沢直樹』の黒崎(片岡愛之助)、『ドラゴン桜』第2シーズンの奥田校長(山崎銀之丞)、『DCU』の清水(山崎育三郎)など、特に意味なく”オネエキャラ”が登場することが続いており、コメディ的な立ち回りの役柄であることも多く、「またTBSか……」という声も上がっている。

 ストーリーに関係のない部分で、視聴者をふるい落とす結果になっては残念としか言いようがない。

同じTBS金曜ドラマでも、『恋する母たち』(2020年)では同性愛者の息子について丁寧に描かれていたのだが……。ドラマ制作者は、ステレオタイプで安易に笑いを取るのではなく、視聴者の価値観の変化にもっと敏感になっていくべきだろうか。

■番組情報
金曜ドラマ『インビジブル』
TBS系毎週金曜22時~
出演:高橋一生、柴咲コウ、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、堀田茜、谷恭介、大野いと、平埜生成、板垣李光人、西村元貴、結城モエ、田中真琴、村井良大酒向芳原田泰造桐谷健太
脚本:いずみ吉紘
主題歌:「Tiny World」Dragon Ash(Victor/MOB SQUAD)
音楽:得田真裕
プロデューサー:佐藤敦司、浅野敦也
編成:東仲恵吾、佐藤美紀
演出:竹村謙太郎、棚澤孝義、泉正英
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:tbs.co.jp/invisible_tbs