KAT-TUNの中丸雄一が『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系)のリポーターに就任、4月9日放送分からレギュラーとして同番組に参加している。25年にわたり、全国から地方の名産品を紹介してきたラッシャー板前の後任として抜擢されたのだ。
世代交代を図るとしても、普通に考えれば若手芸人に任せるポジションだろう。まさかの中丸の『旅サラダ』ファミリー入りだし、中丸がまさかのラッシャー板前枠に選出だ。
驚きの理由は他にもある。彼は日曜の『シューイチ』(日本テレビ系)でもレギュラーなのだ。文句なし、働き者だ。“週末の朝の顔”の座も近いだろう。
土曜朝『旅サラダ』の中丸にまだ違和感がある
9日の朝、テレビをつけると本当に『旅サラダ』に中丸が出ていた。16日の『旅サラダ』にも、やはり出ている。改めて驚いた。「今日は日曜だっけ」と勘違いする人もいるのでは? でも、日曜じゃない。『シューイチ』ではなく『旅サラダ』である。
正直、まだ違和感がある。ラッシャーと比べ、あまりに若いからだ。
もうひとつリニューアルされたのは、格好だ。ラッシャーは私服だったが、中丸は毎回つなぎを着ている。1週目は赤色で、2週目は青色のつなぎだった。ラッシャーの衣装は自前でもいいけど、さすがに中丸は自前というわけにはいかない。そんな事情からユニフォーム化が決定したのかもしれない。
「質問しても大丈夫ですか? ダメですよね」中丸のナイスな機転
中丸がリポーターを務めるのは、「発掘!ニッポン なかまる印」なるコーナーである。16日に彼が訪れたのは福島県・須賀川市だった。同市は、ウルトラマンの生みの親である円谷英二の出身地だ。
といっても、ウルトラマンについて深掘りするわけじゃない。
今、「須賀川絵のぼり」を作る職人は1人しか残っていないそう。吉野屋6代目・大野青峯(せいほう)さんである。今回、大野さんはカメラ前で実際に鍾馗の絵を描いてくれた。リポートするのは、もちろん中丸だ。
中丸とアートの親和性は高い。『シューイチ』で披露されている“中丸画伯”作のイラストは、もはやおなじみ。腕に覚えのある中丸は、大野さんに質問をバンバン飛ばしていった。「のぼりで裏はないからニ面描いてるんですか?」「筆の使い方、角度は気にしているんですか?」といった質問をだ。
「すいません、質問しても大丈夫ですか? 描く前に聞くべきですよね。ダメですよね。じゃあ私、横から解説的に話しますね」(中丸)
気遣いを発揮して質問を中断、中丸はうまく機転を利かせた。リポーターとして好判断だったと思う。
ある程度作業が進んだ段階で、大野さんは作業の手を止めた。絵はほとんど完成している。残るは、鍾馗の目を描くだけだ。それを中丸に任せたいらしい。さすがに、彼はびびった。
「冗談でも失敗できなくないですか(笑)?」(中丸)
いきなり、とんでもない重要作業を任される中丸。「ちょっと緊張しますねえ」というコメントは本音だろう。
ここで中継はいったん中断した。中丸が絵のぼりを完成まで仕上げ、その段階で中継は再開されるようだ。
数分後、中継が再開された。中丸が作業をやり遂げたようだ(中丸の作業中の様子は、『旅サラダ』公式YouTubeで公開されている)。
出来上がったのぼりを見ると、中丸の描いた鍾馗は目がクリっとしていて可愛いのだ。
大野 「いいですね、若い鍾馗様だね。初めてにしてはいい出来だと思います」
中丸 「いえいえ、大野さんのご指導のおかげです」
というわけで、後はこののぼりを上げるだけ。その傍らに、地元の子どもたちが集合していた。
気になるのは、「ちびっ子たちは中丸を知っているのか?」ということだ。見た目は若いが中丸はもう38歳、ちびっ子たちから見るとお父さん世代だ。「青いつなぎを着たどこかの猫背のおじさんがいる」という心境か? そんな彼が若い世代のために掲げる災厄祓いの守り神。これが、見事にのぼった。
というわけで、今回の「なかまる印」は終了。最後は全員で掛け声だ。中丸はみんなと一緒に締めの雄叫びを上げた。
「じゃあ皆さん、せーので行きますか! せーの、発掘!ニッポン、なかまる印ー!」(中丸)
油断して、「せーの、シューイチーッ!」と言い出さないか心配である。『旅サラダ』のリーダー・神田正輝は、中丸のリポートを見てこんな感想を述べた。
「やっぱり中丸君は若いから、鍾馗さんが若い顔になってる。若い人が作ると若い顔になるね」(神田)
再来年で40歳を迎える中丸に対し、適当な印象で「若い」と言い出す神田。
今回、彼はよくやっていたと思う。正直、9日放送の1回目はしんどかった。棒読みだったし、進行もたどたどしかった。スタジオで見守るレギュラー陣も不安げな表情だった。でも、今回の中丸を見てすっかり安心したようだ。
高望みをすると、物足りなくはある。中丸の礼儀正しさばかりが前面に出て、ラッシャーが醸し出していたスリリングさがないのだ。これはもう、仕方がない。25年間もリポーターを務め上げたラッシャーと比較するのは酷だ。これが25年という歴史の重みなのだろうし、この感情が俗に言う「○○ロス」である。
KAT-TUNのコンサート会場から逆算して中継先が予測できる!?
9日と16日の放送を見てわかったことがある。「なかまる印」の中継先は、ラッシャーが訪れた畑や漁港ではないようだ。
明確な理由が存在する。今の中丸は、完全にハードスケジュールだ。16日は福島で早朝生中継があり、昼夜は宮城でKAT-TUNのコンサート(2公演)をこなした。KAT-TUNのコンサートツアー中は、当日のライブ会場から逆算して「なかまる印」の中継先がほぼ予測できてしまう。ちなみに、本日(23日)の「なかまる印」の中継先は静岡だった。KAT-TUNとしては、静岡・エコパアリーナでライブを行っている最中だ。なるほど、畑や漁港に行きたくても行けない事情が中丸にはあるらしい。
さらに、翌朝には『シューイチ』の生放送も控えている。38歳という年齢を考えると、さすがに心配である。そんな多忙なスケジュールを縫ってしてでも、中丸にとってやりたい仕事だったということ。一時の国分太一や井ノ原快彦のような存在に、中丸はなる。そんなレールが彼の眼前には広がっている気がする。