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 日本を代表する名門大学2校が統合することになり、新大学名が決定。ところが、その名称が波紋を呼んでいる。

 統合が決まっているのは、東京工業大学と東京医科歯科大学の2校。かたや理工系国立大学の雄、かたや国立医歯系大学の最高峰と、互いに統合相手としては申し分のない相手だが、問題は名称だ。

 統合に際して歴史ある大学名が消えるのは仕方ないが、2024年に設立予定として発表された新大学名は「東京科学大学」。理系の研究分野をリードする大学にふさわしい大学名のように思われるが、世の反応はビミョーだった。

「新校名は内外から候補を募集。決定の理由には『イノベーションには科学の発展が原動力になる』『親しみやすく覚えやすい』などがあげられましたが、両校とも歴史ある大学だけに、新設校のようなネーミングに違和感を覚えた人は多かったようです。確かに近年開校した大学や新設された学部は『国際』『文化』『科学』『環境』『情報』といった、熟語を組み合わせたものばかり。一方で、『東京○○大学』という新興大学が多数存在するのも事実です。

 中でも、新校名への感想として非常に多く登場したのが『Fラン』という単語です。Fランとは最底辺の大学を表すネットスラング。予備校が偏差値がつけられない定員割れの大学を『ボーダーフリー(border free)』と記したことから、その頭文字を取って生まれた俗語ですが、東京科学大学という名前が発表されると、『Fラン感マジでやばすぎ』『名前だけFランやないか』といったコメントが殺到し、一時は『Fラン』という単語がTwitterトレンドにまで上がりました」(教育ジャーナリスト)

 大学で大切なのは何をどれだけ学べるかであって、校名など二の次のはずだが、現実的に日本では、学校名の威力やイメージも大きい。そういう意味ではスタートから躓いた感がある「東京科学大学」だが、過去には“もう1つ上”の名前を付けた大学が、大学名でモメにモメた。

「1980年代、岐阜県の私立大学の岐阜歯科大学が、単科大学から学部を増設する際に校名変更を決め、『日本科学大学』という名前で文部省(当時)に申請しました。普通なら即OKです。ところが文部省から『理工系の学部がないのに“科学大学“というのは…』という理由で却下されてしまうことに(笑)。そこで『朝日大学』という名前に変え、こちらは受理されました。

 『東京科学大学』は問題なく受理されるでしょうが、あまりに風呂敷を広げ過ぎるとストップが掛かることもあるということ。ただ、石原慎太郎氏の主導で誕生した『首都大学東京』(東京都立大学など4校が合併して改称)は超不評で、結局、東京都立大学に戻された例もあり、東京科学大学もどうなるかはわかりません」(同上)

 シンプルに「東京工業・医科歯科大学」で行くのが無難か?

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日刊サイゾー2022.09.28
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