M-1グランプリ2023出場について!【ウエストランド井口】 – YouTube

 17日、ウエストランドの井口浩之がYouTubeの個人チャンネル「ウエストランド井口チャンネル」で活動報告動画を更新。改めて、今年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)にエントリーしなかったことを報告した。

 2010年にいったん幕を閉じた『M-1』が15年に再開されて以降、いつの間にか「王者獲得=『M-1』からの卒業」という流れが通例になりつつある。近年では、数年前のチャンピオンが今の『M-1』を見て「いやぁ、卒業できてよかった。今年だったら優勝できなかった」と口にすることも多くなった。

 そんな風潮の中、井口は今年に入ってからも『M-1』への出場を、複数のメディア上でほのめかし続けていた。

「いいネタができたら、それを大きな舞台で試したくなる」

「連覇という誰も成し遂げていないことをやってみたい気持ちもある」

「新しく作ったネタがどこまで『M-1』で通用するのか試してみたい」

 しかも、口先だけではないのが井口という男だ。

 本来、『M-1』対策のためにママタルト、ストレッチーズらの後輩を集めて定期的に行っていた漫才イベント「漫才工房」を今年も開催し、そのたびに新ネタを2本、下ろし続けている。

 今年8月には、所属事務所主催の「タイタンライブ」で披露したネタが「これで『M-1』出たら2連覇しちゃう」と評判になり、その機運が一気に業界内を駆け回ったこともあった。

 だが、井口は不出場を選んだ。今回の動画でははっきりとその理由は語られなかったが、最近の井口の発言を追ってみると「『M-1』出場をほのめかしたら、運営から何かコンタクトがあると思った。何もないということは出てほしくないということなんだろう」という思いからの決断だったようだ。

『M-1』連覇という未曽有の快挙を目にする可能性は、今年も潰えた。

 過去、連覇に挑んだ漫才師は2組。

 08年にオードリーとの激戦を制して優勝したNON STYLEが続く09年もエントリーしたが、準決勝で敗退。敗者復活戦を勝ち抜いて意地を見せたものの本戦3位に終わっている。

 その09年にNON STYLEや「鳥人」で審査員・島田紳助から史上初の「100点」を引き出した笑い飯を下して優勝したパンクブーブーも、翌10年に準決勝敗退→敗者復活→本戦3位という結果だった。

 しばしば語られるのが、『M-1』優勝後に再出場することのデメリットだ。「負ければタレントイメージが下がる」「出ても得がない」「システムがバレていて、ネタのインパクトが弱くなるので勝ちにくい」「忙しくなりすぎてネタを仕上げる時間がない」「『M-1』の観客は売れたコンビより新しいスターを求めているので、予選でのウケが悪い」……どれも、納得できるご意見である。だからこそ、NON STYLEとパンクブーブーの挑戦には価値があったともいえる。

 そして今後、連覇する漫才師が出る可能性は、と考えると、なくもないような気がしてくる。ヨネダ2000や令和ロマンあたりの新世代組が今年さらっと優勝を勝ち取り、来年以降も飄々と予選を戦っている姿も、想像に難くない。

 ウエストランドは今年、ラストイヤーとされていた。よって出場権は永遠になくなったわけだが、井口は「芸歴の数え方によっては、まだまだ出れるような気もしますが」と今後に含みを持たせている。もし何らかのねじれが起こって来年もウエストランドに出場権が与えられることがあるとするなら、そのときは井口の決断に期待したい。そしておそらく、どうあれ相方・河本太の意思は関係がない。

(文=新越谷ノリヲ)

編集部おすすめ