全国各地で猛暑日が続き、炎天下で行われる夏の甲子園の安全を憂慮する声が大きくなっている。そこで高野連(日本高校野球連盟)は、7イニング制の導入を検討するワーキンググループの設置を決定。
「試合が短くなれば、番狂わせが起きる確率は上がります。試合に出られる選手の数も減りますし、強豪校の監督や選手に話を聞けば、大多数が反対と答えるのは当然でしょう。しかし、普段からハードな練習をしている強豪校はともかく、弱小校の野球部が猛暑日に9イニングやるのは正直言って危ない。サッカーやラグビーなど、大人よりも短い試合時間を採用している競技はあり、例えば予選限定で7イニング制にするのは1つのやり方ではある」(週刊誌スポーツ担当記者)
現状、7回制はまだ検討段階だが、このような議論が盛り上がるのは、高校野球の関心度の高さの表れだ。ネットにはこれ以外にもいろいろな改革案が寄せられているが、現実的には、一朝一夕に問題を解決するような案はなかなか見当たらない。
「現場の人間も、猛暑の中で試合をやるのが良いと思っているわけではありません。しかし、夏の甲子園が今のやり方で行われているのは、それなりの理由がある。まず、真夏にやるのはまとまった休みが夏しかないからですし、ドームでやれば球場使用料がかかる。野球振興の観点から、甲子園の使用料はタダです。無論、これまでも甲子園をドームにという声もありますが、莫大な建設費用や維持費はどうするのか。他の場所でやるなら、宿泊場所や裏方は確保できるのか。
他方ではこんな現実もある。夏休みにはインターハイが行われるが、サッカーのスケジュールは甲子園以上のハードさだ。
「今年度のインターハイのサッカーは先日終わりましたが、優勝チームは8日間で6試合やりました。暑さを考慮して会場は福島県になり、試合も35分ハーフでしたが、気温が35℃近くに達した日もあり、あまり意味はなかったかと……。過去には7日間で6試合をこなしたケースもあり、“いつか死人が出る”なんていう人もいます。そもそもサッカーの運動強度は野球より上ですし、連続でやるような競技でもありませんから。
安全にスポーツを楽しめる環境づくりは大切だが、それが間違った方向に進み、「夏はスポーツは禁止」ということにならなければ良いが……。