※イメージ画像:GettyImagesより

 綾野剛らが出演した『地面師たち』の大ヒットにより、Netflixの国内オリジナルドラマへの注目度が急上昇している。地上波では見られない過激な内容が大きな魅力だが、ドラマを彩る俳優たちの中には「地上波に出られないワケありの人」が散見される。

Netflixドラマが再浮上や再評価のきっかけになることもあり、「ネトフリ俳優」というジャンルが確立されそうな勢いとなっている。

 実際にあった巨額の不動産詐欺事件をモチーフにした『地面師たち』では、豊川悦司が演じるハリソン山中や綾野が演じた主人公の辻本拓海など印象的なキャラクターが多数登場するが、その中でもとりわけ強烈なインパクトがあったのが、ピエール瀧が演じた法律屋の後藤義雄だ。なりすましが危うくなった場面などで発する「もうええでしょう」はSNSでも流行し、ドラマを象徴するセリフとなった。

 瀧といえば、2019年にコカインを使用したとして麻薬取締法違反容疑で逮捕され、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が確定。不祥事の影響で出演作の配信停止やCM動画の削除などが行なわれ、復帰した現在も「地上波NG」の状態が続いている。

 地上波から締め出された一方、復帰後は『全裸監督2』『サンクチュアリ -聖域-』『忍びの家 House of Ninjas』と立て続けにNetflixドラマに出演。いずれも演技の評判はよかったが、『地面師たち』は格別の称賛を集めており、俳優としての再評価が一気に進みそうな気配となっている。

 また、綾野は2022年に「ガーシー」こと東谷義和氏の暴露のターゲットにされ、その影響なのかしばらく地上波ドラマから遠ざかっていたが、今作の大ヒットで評価が急上昇しており、起死回生となりそうな状況だ。

 地上波と比べて規制が少ないNetflixのドラマでは、瀧らのように「ワケあり」の俳優でも問題なく出演できる。9月19日に配信が開始される『極悪女王』は、80年代の女子プロレスブームの立役者・ダンプ松本の半生を描く期待作だが、同作でダンプのライバルだったクラッシュギャルズの長与千種役に唐田えりかが起用されている。

 唐田は2020年に東出昌大との約3年にわたる不倫関係が発覚し、決まっていた仕事は全降板に。女優復帰にこぎ着けたものの、やはり地上波はNG状態になっている。

彼女も『極悪女王』で好演を見せれば、風向きを変えることができそうだ。

 東出についても同じく地上波ドラマからは追放状態となっていたが、8月末に「女性自身」(光文社)のWEB版が、人気時代小説を実写化するNetflixドラマ『イクサガミ』への出演が決まったと報道した。

 同作は、明治の世を舞台に時代に取り残された侍たちが争い合うバトルロワイアルもので、元V6の岡田准一が主演・プロデューサー・アクションプランナーの3役を務める。記事では「『地面師たち』超えの超大作」とされており、豪華キャストの中に東出が名を連ねると伝えられている。

 また、昨年6月に自宅で大麻を所持したとして逮捕され、懲役6月、執行猶予3年の有罪判決を受けた俳優の永山絢斗が今月2日、事務所を退社して独立したことを発表。地上波への復帰はまず難しいとみられ、業界内では「Netflix行きになるのでは」と推測する声が上がっている。

 『地面師たち』を手がけた大根仁監督は、先述した瀧を「ネトフリ専属俳優」と呼び、瀧は同作の完成報告会で「若干、ネトフリ俳優って揶揄が入ってるじゃないですか」と冗談めかしながらツッコミを入れていた。

 瀧は「ネトフリ俳優」という言葉に「地上波に出られない人」というイジりの意味合いを感じたのだろう。しかし、Netflixは出演者のギャラが「地上波ドラマの約5倍」と報じられており、『地面師たち』にチンピラのオロチ役で出演したマテンロウのアントニーも「僕レベルで『あっ、こんなもらえるんだ…』」という額だと告白していた。制作費や作品のクオリティも地上波とは段違いで、Netflixのヒット作に出演することが俳優としてのステータスにつながる状況となっている。

 もはや「ネトフリ俳優」という言葉は揶揄といえなくなりそうで、今後もワケありながら才能のある俳優らが続々と参戦することで、一つのジャンルとして確立される可能性がありそうだ。

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