※イメージ画像:GettyImagesより

 10月27日投開票の衆院選に向け、各テレビ局の選挙特番の陣容が明らかになってきた。安定路線の人選が目立っているが、視聴率で苦戦が続いているTBS爆笑問題太田光の再登板を決定。

自民党の統一教会問題に鋭く切り込んで政治家たちをタジタジにさせた小川彩佳アナは起用されない見込みで、疑問の声が噴出している。

 例年、選挙特番の視聴率はNHKが不動の1位。今年も強さは変わらないとみられ、メインには看板番組『ニュース7』の糸井羊司アナ、副島萌生アナ、中山果奈アナらを起用する見込み。盤石の体制といえそうだ。

 近年、池上彰をメインにしたテレビ東京が民放のなかでは強かったが、2021年の衆院選では有働由美子アナと櫻井翔をメインにした日本テレビが1位に。民放では両局が2強とみられるが、今回の日本テレビでは櫻井のパートナーが有働アナから藤井貴彦アナにバトンタッチ。テレ東は変わらずに池上がメインを務めるとみられる。

 テレビ朝日は『選挙ステーション』で大越健介キャスターと大下容子アナ、『有働Times』では日テレから移籍する形で有働アナがメインに。フジテレビは『Mr.サンデー』の宮根誠司と藤本万梨乃アナ、『Live News イット!』の青井実アナと宮司愛海アナが協力して選挙特番を盛り上げる。

 いずれもあまりスキのない強力な陣容だが、唯一「賭け」に出たといわれているのがTBSだ。同局は選挙特番の視聴率が悪く、最下位がほぼ定位置になっていた。起死回生のため、同局は2021年の衆院選特番で「忖度なし」の毒舌が期待できる太田を起用した。

 ところが、太田は局の意図しない方向へ暴走。小選挙区で苦戦が伝えられた自民党の甘利明幹事長(当時)に「アッハッハ。ご愁傷さまでした」と発言。自民党の前幹事長だった二階俊博氏には「いつまで政治家続けるつもりですか」と言い放ち、二階氏が「今日当選したばっかりで、いつまで政治やるんですかって、失礼だよ!」と激怒する事態になった。

 れいわ新選組の山本太郎代表に対しては、開口一番に「メロリンキュー!」。山本氏が高校時代に日本テレビ系『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で生み出した伝説のキャラクターをイジり、山本氏は「私の最高傑作です」と笑顔でかわしたが、その後もまったく会話が嚙み合わなかった。

 こうしたやり取りを面白がる視聴者もいたが、それ以上に「失礼すぎる」「完全にミスキャスト」「サンジャポならいいけど選挙特番でこれはダメ」などと批判が相次ぎ、炎上騒動に。スタッフからも「もっと政治家の話を聞いてください。言葉遣いに気をつけてください」と注意されたといい、太田はその後のラジオ番組などで反省の弁を口にした。

 しかし、2022年の参院選特番に起用された時も太田のスタンスはあまり変わっておらず、視聴者のウケも悪いのか、視聴率も上がっていない。こうした経緯がありながら、TBSは今回の衆院選特番でスペシャルキャスターとして太田を再登板させることを決定。総合司会として井上貴博アナとホラン千秋、特別司会として石井亮次が出演する。

 ホランがTBS系『Nスタ』で明かしたところによると、週2回の入念な打ち合わせで「太田をしつけている」といい、太田は「あれは言っちゃダメ、これは言っちゃダメって針のむしろ」と告白。しかし、周囲から「暴れないで」と言われると暴れたくなってしまうのが太田のサガであるため、2021年以上の大炎上の恐れがある。

 さらに、ネット上では「なぜ小川彩佳アナを使わないのか」といった声が。小川アナは9月にMCを務める同局系『news23』で、自民党総裁選の9候補に「自身が総裁になった場合、教団(旧統一教会)との関係についてなんらかの再調査を行うか」と質問。9人全員が「ダンマリ」状態で挙手せず、海千山千の政治家たちも黙るしかなかったキレキレの質問に多くの視聴者から称賛の声が上がった。

 小川アナと政治家たちの対決に期待を寄せていた視聴者は多いのだが、今のところ選挙特番への起用は発表されておらず、TBSは彼女ではなく太田を選んだようだ。炎上騒動の影響で太田の注目度が高いのは間違いなく、うまくハマって視聴者に受け入れられれば視聴率での最下位脱出の原動力となりそうだが、彼の再起用は一か八かの賭けになりそうだ。

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