フジテレビ系で放映中のドラマ『絶対彼氏〜完全無欠の恋人ロボット〜』。主演は、速水もこみち相武紗季

この2人の名前が並んだことで、テレビ関係者やドラマウォッチャーなど、あちこちから「まさか!?」という声があがった。

 この2人、かつてテレビ朝日で放映されたドラマ『レガッタ』で、金曜21時という時間にもかかわらず、1話目から視聴率フタケタ割れ。その後、4%台の視聴率を連発し打ち切り。その惨状に、2ちゃんねるなどでもドラマが大きくコケることを「レガる」という言葉で表すという現象まで発展した、ある意味伝説のコンビだったからである。

 主演ドラマの低迷が続くもこみち、相武紗季とのコンビということで、ふたたび「レガっちゃう」のか、その行方が懸念されていたが、初回視聴率が13.1%と、まずまずの好発進(関東地区/ビデオリサーチ調べ)、その後、視聴率はさらに上がり、4月29日の第3話は15.1%にまで伸ばし、逆の意味で驚きの事態を巻き起こしている。

 「数字と関係なく、もこみちの所属事務所『研音』のゴリ押し」とも揶揄されたりもしていたのに、もこみちに、何が起こったのか。

テレビ関係者に聞いた。

「速水もこみちは、残念ながら決定的に演技力がない役者だと思うんですよ。それでも事務所は、自社の看板を張らせて二枚目として売っていきたい事情もあるので、正統派の主役がまわってくる。そこで、カッコいい役を演じれば演じるほど、悲しいことになってしまうんです」

 今回の「奇跡」は、設定とキャスティングのよさによるところが大きい。もこみちが演じるのは、「理想の恋人」として生み出されたロボット(価格は1億円)。ロボットなので、ぎこちない表情や動きなど、いわゆる“棒”演技が、すべて許される。

実際に、もこみちの演技も、ロボと思えば納得がいき、「この手があったか!」と、まさに目からウロコなのである。

「ある意味、“一番演技力がいらない役柄”ですもんね。もこみちの現実離れした体型なんかも含めて、うまい配役だなと思います」(前出テレビ関係者)

 とはいえ、もこみちの演技問題が解決されただけでは、なかなか15%はとれないもの。実際のドラマの中身も受け入れられているということだ。ドラマは、03年から「少女コミック」で連載されたマンガが原作となっている。今クールも『ごくせん』『ROOKIES』『おせん』など、例によってマンガ原作ドラマが多いのだが、この『絶対彼氏』は、原作では高校生のメインキャラを会社員にしたりなど、原作の内容を変えたことも、いい方向に作用したのではとみられている。

あるマンガ誌の編集者が言う。

「マンガ原作は、基本的には難しいんですよ。原作のイメージを、それぞれに抱いているファンの思い入れが強いですから、ちょっとしたことで『全然イメージが違う』と、そっぽをむかれます」

 そんななか、イメージがまさに原作どおりと大好評だったのが、『のだめカンタービレ』だ。「あれはもう、脇役に至るまで、奇跡的なぐらいイメージを変えずにはまってましたよね」(同)

 その一方で、主役の性別まで変えた『カバチタレ!』や『弁護士のくず』など、原作から離れても成功した例も多いが、「これはもう、ドラマの作り手側がうまいんだと思います。いくらいじっても、ちゃんと原作へのリスペクトが感じられるつくりになっていたからだと思います。『絶対彼氏』は、設定がそもそもドリームでありえないじゃないですか、ギャグですよね。

そこが10代〜20代前半ぐらいの層には、ちょうどいいゆるさとして受けたんではないでしょうか」(同)

 感情表現がややつたない、ロボットとして開花した、“俳優・速水もこみち”。これにならって、顔がいいけど演技は“いまいち”役者が、次々ロボット役に挑戦、という事態も、訪れるかもしれない。
(太田サトル)

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