――芸能界を牛耳る巨大アイドル帝国・ジャニーズ事務所。ジャニー喜多川社長率いる、この帝国からは数々のスターが誕生した。
ジャニーズ暴露本の歴史の中で、ジャニー喜多川の変態性をもっとも生々しく描写し、ジャニーズ事務所の異常なタレント育成環境を詳細に綴っているのが、この『Smapへ』(鹿砦社、2005年)である。
著者の木山将吾氏は、「元・光GENJI」とされている。そんなメンバーいたっけ? と思われるのも無理はない。彼は、ジャニー喜多川の寵愛を受けて光GENJI入りが決まり、ポスター撮りまで済ませていたものの、"ある出来事"をきっかけにデビュー直前にメンバーから外された、幻のメンバーなのである。
当時、木山氏はジャニー氏一番のお気に入りで、取材陣の前でも膝の上に座らされ、食事もジャニー氏の手で口に運んでもらっていたという。そして、夜はジャニー氏の欲望の捌け口として濃密過ぎる時間を過ごしていたというのだ。彼は、そんな生活を余儀なくされた15~17歳の2年間を振り返り、「ジャニー喜多川の愛人だった」「性の奴隷だった」と表現している。
しかし、木山氏の告白は、「愛人」「奴隷」という言葉が生易しく聞こえてしまうほどの、まさに地獄以上の体験に満ちているのだ。
初めて合宿所を訪ねたその日に、ジャニー氏と一緒に風呂に入らされ、全身をくまなく洗われる"泡風呂の儀式"と、入念なマッサージの洗礼を受けた木山氏。
■「これだけのことに我慢したら、アイドルとして成功しなければ」
そんな木山氏に、ジャニー氏がその毒牙を剥き出しにして襲い掛かるのに、時間はかからなかったようだ。二回目に合宿所を訪ねると、ジャニー氏は木山氏を後ろから抱きしめ、硬くなった股間を"まるで発情した犬のように"太ももに擦り付けてきたという。そして、そのまま擦りつけ続け、なんと服を着たままズボンの中で果ててしまったというのだ。
そして三回目に訪ねたときには、ジュニアたちが寝泊りする大部屋で舌技をしかけられ、木山氏はその口に発射してしまうことになる。一回目の"泡風呂の儀式"のときに、「すぐにデビューだよ。雑誌のインタビューがあるからね」と言っていたジャニー氏は、本当に、その直後に、木山氏をアイドル誌の取材で雑誌デビューさせていたという。
その後は、どこへ行くにもベッタリで自らが運転する車の中でも、ジャニー氏は助手席の木山氏の体を触りまくり、「キス! キスしてきなさい」とせがんできたという。
ついに一線を越えてしまうのは、木山氏がテレビに出始めたころ。いつものようにジャニー氏の舌技で、あっさりと一本抜かれてしまったが、その日のジャニー氏はそれで満足することはなく、再び、木山氏の分身に力をみなぎらせると、馬乗りになって自らの中に木山氏の分身をめり込ませ、「ああ~ん、ああ~ん」と嬌声をあげていたというのだ。これを機に、さらにジャニー氏は木山氏を特別視するようになり、さらに濃厚なプレイを強要され、木山氏もそれに従ったという。
そう思いながら、木山氏は陵辱に耐え続け、ついに光GENJIとしてのデビューという夢へのチケットを手に掴んだ。しかし、その夢は、木山氏の手からスルリと零れ落ちることとなってしまう。きっかけは、諸星和己のこんな言葉だったという。
「次は木山くんだから。注射打たれる番」
ジャニー氏の部屋にはよく分からない薬品と注射器がいつもあり、それが一体、なんの薬なのか知らされることもないまま、デビューが決まったタレントは強制的に、その注射を打たれていたというのだ。
■一体、その注射はなんなのか? 現在のタレントたちも、打たれているのか?
地獄のようなホモ行為には耐え続けてきた木山氏だったが、「ホルモン剤」とも「覚せい剤」とも噂されていたその不気味な注射を受け入れることはできず、合宿所に行かなくなると、ジャニー氏からのお呼びもかからなくなり、すでに撮影済みだった光GENJIのポスターは、木山氏の写った右端をカットした形で発表され、その存在は"無かったもの"にされたという。
ほかにも、ジュニアたちを裸にひん剥いて四つん這いにさせて一列に並べ、肛門のアップ写真を撮影し、興奮して肛門に舌を這わすジャニー氏、裏ビデオを合宿所に持ち込み、「見ろ! 女のおま○この醜さを!」と繰り返すジャニー氏、盗聴器を仕掛けたり、トイレをのぞくジャニー氏、タレントの陰毛を集めるジャニー氏......ほかにも、都市伝説でしかなかったジャニー氏の、想像以上の変態性がリアルに描かれているのだ。
木山氏は、執筆当時に話題になっていたマイケル・ジャクソンの少年への性的虐待事件を引き合いに出しているが、マイケルは昨年6月に非業の死を遂げ、様々に再検証が行われた結果、現在では潔白とされ、その存在のすべてが伝説として語り継がれることとなっている。
間もなく80歳になるジャニー氏が現役でいられるのも、あと数年だろう。そのとき、彼はどのように語られるのか。"稀代のアイドルメーカー"として伝説になる前に、そのすべてをもう一度、しっかりと検証すべきではないだろうか。
闇があってこそ輝くのがアイドルよ
【バックナンバー】
第1回 ジャニー喜多川氏との恋人関係を明かした衝撃作『光GENJIへ』
第2回 11歳でジャニー氏の"洗礼"を受けたメンバーが綴る『ジャニーズの逆襲』
第3回 「ジャニー氏を野放しにしたのは自分だ」、苦悩する元ジャニーズの懺悔
第4回 "ビッグ"アイドルから転落した田原俊彦、現在も続く「ほんの冗談」の悲劇