
田村正和について、一体どれぐらいのことを知っているだろうか。
ドラマやCMなどの出演作はよく知っていても、トーク番組やバラエティー番組には滅多に出演しない。だから、作品における田村正和は知っていても、素の正和について知っていることはほとんどない。好きな食べ物は? 普段のファッションは? 髪型の秘密は? おならはするのか? 納豆は食べるのか? 聞いてみたいことだらけだ。そもそも、正和が日ごろどんなトーンで話すのかといったことすらよく分からない。
そんな田村正和が1月13日、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)にやってきた。やっぱりトーク番組は「苦手で」とのことで、この番組も18年ぶりの出演だという。で、見てみて分かったことは、当たり前かもしれないが、やっぱり田村正和は、田村正和なんだということだった。トークの受け答え、テンション、すべてドラマやCMのまんま、二枚目俳優・田村正和的空気のまんまである。「田村正和」というイメージを演じきっているようにも見える。
徹子と正和が初めて出会ったのは、六本木付近の道路だったそう。車を運転していた徹子さんが、上手く曲がりきれずに一旦後ろに下がったところ、「ゴン」という音と衝撃が。後ろには一台の車が。その後ろの車のドライバーに徹子は尋ねた。
「アタシ、ぶつかりました?」
するとドライバーはただ、
「いえ......」
と返事した。これを聞いて、どこか壁か何かにぶつかったんだと思って安心した徹子さん、そのまま先へと進んだわけだが、その「いえ......」の相手が、「そういえば、田村正和さんだったんじゃないだろうか」と、後から思ったのだと。その話を、少しうつむき加減で手をいじりながら聞き、はにかんだ笑顔で正和が言う。